サラリーマンの借金やローンは節税対象になるの?

借金の返済額分を税金の控除に充てることはできないか?こんな風に疑問に思ったことがあるかもしれませんね。控除額が大きくなり、課税所得が減れば所得税や住民税の課税額も小さくなるので、有効な節税対策になります。

毎月、高額な返済をしている人にとっては大きな助けになりますね。

ただ、結論からお話しすると、サラリーマンとしての給与所得しかない人が、借金を節税につなげるのはほぼ不可能です。しかし、一部のローンでは特別な控除を受けられる可能性があります。

副業として本業以外の収入があり、その事業に関わる借金であれば、利息分は経費として計上できます。

少しややこしく感じるでしょうから、事例別に分けて詳しく解説していきますね。

本業がサラリーマンで、副業はしていない場合

この場合、借金の元本やその利息分を経費として計上し、所得控除を受けるのは不可能です。そもそも、サラリーマンには経費という概念が基本的に存在しません。

経費に相当する控除はありますが、それは勤め先の会社が計算するものであり、本人が調節するのは不可能なのです。

毎年年末に、年末調整に関する書類と源泉徴収票が渡されますよね。これらは会社側であなたの確定申告を行っておきましたから、間違いがないか確認してくださいね、というものです。

さらに、借金の利息分を経費として計上できるのは、先述したように「借金の用途がその事業」に関わる場合のみです。生活費のために借りたお金は経費として認められません。

サラリーマンとしての本業のために借金をすることはまずないでしょうから、たとえ確定申告を自身で行えたとしても、利息分を経費として計上するのは不可能でしょう。

住宅ローンなら特別控除を受けられる可能性がある

サラリーマンとしての収入しかない人が、借金を所得の控除につなげるのは不可能だとお話ししましたが、一部例外が存在します。それは住宅ローンです。

住宅ローンを組んでいて、さらにいくつかの基準を満たしているなら「住宅借入金等特別控除」という制度を利用できます。この制度は、住宅ローンの支払い残高に応じて税額控除を受けられるもので、場合によっては1年間で最大40万円の控除が適用されます。

適用のための条件には、

・ローンを利用して建築した住宅に実際に住んでいる
・1年間の合計所得が3000万円以下である
・住宅の床面積が50メートル以上で、その半分が居住用として使われている
・ローンの返済が10年以上に設定されている、

というものがありますが、多くのケースでこれらを満たせるでしょう。

40万円の控除により、所得税や住民税が数万円安くなるので、住宅ローンを利用している人は必ずチェックしておくべき制度です。

サラリーマンが借金による所得の控除を受けられる制度は少ないので、こういった数少ないチャンスは見逃さないようにしましょう。

あとは、配偶者控除や寄付金控除をフル活用して、できるだけ課税所得を抑えたいところですね。

本業がサラリーマンで、本業以外にも収入がある場合

サラリーマンとしての収入以外にも、事業所得やなにかしらの収入があるならば、借金を節税につなげられる可能性が出てきます。たとえば不動産投資をしていて、マンションやアパートからの家賃収入がある、といった場合ですね。

このように本業以外の収入があり、かつそれが一定額以上なら、2月から3月にかけて確定申告を行う必要があります。この際に、借金の利息分を経費として計上することが可能なのです。

ただ、経費として認められるのはあくまで利息分だけです。元本の返済額分については認められないので注意しましょう。

さらに、経費になりうるのは借金がその事業に関わりがあると判断された場合のみです。たとえば、副業のためにどうしても車を購入する必要があり、そのために自動車ローンを組めば、そのローンの利息分は経費として認められるでしょう。

しかし、生活費のためとして借金をした場合は経費として計上できません。確定申告のシステム上、ごまかして提出することも可能ですが、バレると脱税として厳罰に処されるので、ルールに則って正しく申告することをおすすめします。

税務署は厳しくチェックしているので、明らかにおかしい部分があれば必ず指摘されてしまいますよ。

節税目的で無理やり借金をするのは無駄

借金の利息分が経費として計上できるなら、無理やり借金をしてなんとか事業につなげればいいのでは?と思うかもしれませんが、それは無駄です。

経費になるといっても結局は自分の財布から出ていくわけですし、控除によって減額される税金より、借金の利息のほうが金額としては大きいですから、無理に借金をしても損をしてしまうだけです。

節税対策としての借金は全く意味がないといえるでしょう。

まとめ

ここまでをまとめると、

・副業をしていないサラリーマンが借金を所得の控除に充てるのは不可能、ただ住宅ローンならば可能性がある

・副業収入があり、その事業に関する借金ならば、利息分に限り経費として計上できる。もちろん、住宅ローンによる特別控除も可能

ということになります。

税金に関する知識は実生活でも役に立つことが多く、身に付けておいて損することはありませんよ。余裕があるときにでも、ぜひ勉強することをおすすめします。