借金一本化のデメリットと対処法は?

近年人気のおまとめローン。借金を一本化してまとめることが出来る金融商品です。うまく使えば非常に便利かつお得なおまとめローンですが、使い方を誤るとかえって損してしまうことがあります。

今回はおまとめローンのデメリットと、その対処法を考えていきたいと思います。

おまとめローンは借金を一本化して返済負担を少なくする金融商品

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おまとめローンは複数の借金を一本化出来る借り換え専用の商品のことです。例えば、消費者金融Aから50万円、消費者金融Bから30万円、消費者金融Cから20万円借りているとします。

3社からの合計100万円の借金を返すために、銀行Aからおまとめローンとして100万円を借ります。そしてそのお金で消費者金融A,B,Cの3社からの借金を一括で返済し、その後残った借金を毎月返済していく、というのがおまとめローンの概要です。

一見返済先が変わっただけで特にメリットはないように思えますが、おまとめローンのには以下のようなメリットが有ります。

金利が低くなれば総返済額が少なくなる

おまとめローンの一番のメリットは、総返済額を少なく出来る可能性があることです。例えば、前述の例では消費者金融A,B,Cから借金をしています。仮にこの3社の金利の平均が15.0%、返済期間が3年だった場合、毎月の返済額は3万4665円になります。

しかし、これを金利10.0%の銀行でまとめて、返済期間は3年のままにした場合、毎月の返済額は3万2267円まで減ります。ただローンを借り換えただけで、毎月の返済額を2000円以上減らすことが出来るのです。

たかが2000円と思われるかもしれませんが、この返済を3年繰り返せば7万2000円以上の差がつきます。この額は結構大きいですよね。

そんなに簡単に金利の低い金融機関が見つかるの?と思われるかもしれませんが、おまとめローンは通常のカードローンやキャッシングと比べると借入金額が大きくなりやすく、その分金利は低めに設定されています。

おまとめローンにかぎらず、どんなローンでもだいたい借入総額が高いほうが金利は低くなるものなのです。

返済日が一つになる

あまり注目されませんが、返済日を一つにまとめられるのもおまとめローンの大きなメリットです。複数の金融機関から借金をしていると返済日がばらつくため、家計の管理がおろそかになったり、返済日を忘れてしまったりすることがあります。

おまとめローンで返済日を統一しておけば、そのようなリスクを減らすことができます。

おまとめローンにはデメリットも多い!?

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このようにメリットも多いおまとめローンですが、その一方でデメリットも少なくありません。上手に使わないと、かえって損をしてしまうこともあるのです。

おまとめローンで金利が高くなってしまうことがある

先ほど、おまとめローンは借入金額が大きくなりやすいのでその分金利も低くなると申し上げましたが、必ず現在の借入先よりも低い金利で借りられるわけではありません。

例えば、おまとめローンの金利は消費者金融ならば大体15.0%~18.0%前後、銀行ならば12.0%~15.0%となっています。もともと金利18.0%の消費者金融で借りていた人が金利12.0%の銀行から借り換えるならば得ですが、逆の場合は損することになります。

もともと比較的金利の低いところからしか借りていない場合は、おまとめローンを利用しないほうがいいこともあります。

おまとめローンの目的は、金利の負担を減らして毎月の返済額や総返済額を抑えることです。おまとめローンを利用すること自体が目的になってしまっては本末転倒です。おまとめローンに申し込む前に、必ずそれで本当に得できるのかを確認した方がいいでしょう。

おまとめローンで金利が低くなっても、総返済額が増えてしまう可能性がある

金利の安いところで借り換え得られたからといって、必ず総支払額が減るとは限りません。借り換え前よりも返済期間を長くすると、かえって総返済額が増えてしまうことがあるのです。

具体例を交えて計算してみましょう。例えば、今現在平均利率が18.0%、借入期間が4年で200万円を借りているとします。このまま返済を続けていった場合、毎月の返済額は5万8749円、総返済額は281万9952円となります。

一方、この借金を金利15.0%で借り換え、代わりに返済期間を6年に伸ばした場合、毎月の返済額は4万2290円まで減りますが、その代わり返済総額は304万4880円まで増えてしまいます。

金利が3.0%も安いところで借り換えたにも関わらず、返済期間が伸びてしまったため総返済額が20万円以上増えてしまいました。

返済期間が伸びればそれだけ毎月の返済負担は少なくなりますが、その分利息の払いが増えるので総返済額も増えてしまうのは自明の理ですね。

もちろん、総支払額が増えてしまったとしても、毎月の返済額を減らすことができればそれでいいという方もいらっしゃるでしょう。特に毎月の返済がカツカツで、少しでも毎月の返済額を減らしたいという人にとっては、返済期間が伸びることは大きなメリットと言えます。

しかし、現在の返済が特に苦しくなく、一本化で総支払額を減らしたいと考えている場合は、返済期間は決して伸ばしてはいけません。最低でも今と同じに、できれば今よりも短くした方がいいでしょう。

金利の低い銀行はおまとめローンに積極的でない

大手都市銀行は普通のカードローンをおまとめローンとして使ってもOKとしているところが多く、専用のおまとめローンを用意しているところがほとんどありません。

地方銀行やネット銀行などはそれと比べれば専用のおまとめローンは豊富ですが、それでも特別多いというわけではありません。

一方、大手消費者金融は殆どが専用のおまとめローンを用意していますが、金利は高めです。本来利用者が一番借りたいはずの銀行が貸し出しに消極的であり、なるべく使いたくない消費者金融が貸し出しに積極的なのです。

一体なぜ銀行はおまとめローンに対して消極的なのか。理由は簡単で、面倒で利益が上がりにくいからです。おまとめローンの審査をする際には、その顧客の借入先を全て把握する必要がありますが、これが非常に面倒なのです。

また、おまとめローンの利用者は全員多重債務者です。多重債務者は言い換えれば債務整理予備軍です。そうしたリスクの高い人達にお金を貸し出すのは銀行としては避けたいところです。

一方、消費者金融はもともと高めのリスクを取ることに対して寛容であるため、おまとめローンを積極的に取り扱っています。

とはいえ、すべての銀行がおまとめローンに対して消極的かというと、そんなことはありません。独自性を打ち出したいネット銀行や地方銀行などは比較的おまとめローンにも積極的です。

中でも人気なのがイオン銀行カードローン。こちらはおまとめローン専用商品ではありませんが、おまとめローンとしても利用することができます。金利が3.8%~13.8%と非常に低く、担保・保証人不要なため多重債務者からの人気が非常に高いです。

このようにおまとめローンに積極的な銀行を探していけば、お得に借金を一本化することが出来るでしょう。

おまとめローンの審査は通常のローンの審査より厳しい

前述のとおり、おまとめローンは原則として金利が低めに設定されています。金利が低いということは、つまりそれだけ審査が厳しいということです。特に銀行は審査が厳しく、合格するのは簡単ではありません。

とはいえ、おまとめローンの審査内容自体は原則として通常のカードローンの審査と変わりありません。最も重視されるのが返済事故です。過去に返済事故を起こしていた場合、たとえ他の属性が優秀でも借りられない可能性が高いです。

おまとめローンを利用したい人は、返済事故を起こしてはいけません。将来返済事故を起こしそうだという場合は、その前に審査を受けましょう。

年収は額よりも安定性が重視されます。公務員や大企業、あるいは中小企業でも設立されてから十分な期間が立っている企業の会社員などは高く評価されます。いわゆるベンチャー企業の会社員や自営業者などは評価が低くなる傾向があります。

勤務先は前述のとおり公務員、大企業、あるいは歴史の長い中小企業が基本的には有利ですが、それと合わせて勤続年数も見られるので注意が必要です。

勤続年数とは今の会社に入ってからの年数のことであり、社会人になってからの年数ではないので注意しましょう。将来転職する予定がある人は、転職の前に審査を受けておきましょう。

おまとめローンの審査で借入件数が重視される理由

おまとめローンでもう一つ重要になってくるのが借入件数です。おまとめローンでは借入額の大きさよりも、借入件数のほうが重視されます。借入件数がが多いということは言い換えれば1件あたりの借入額が少ないということです。

1件あたりの借入額が少ないということは、それだけ属性が悪いということです。一方、借入件数が少ないということは1件あたりの借入額が多いということであり、それだけ属性がいいということです。

借入件数は当然少なければ少ないほど高く評価されます。3件以下ならば問題ないことが多いですが、4件だと要注意、そして5件だとほぼアウト、というのが定説です。

現時点で5件以上から借り入れている場合は、まとまったお金を用意してとりあえず借入額が少ないところの借金だけでも返しておくのがいいでしょう。それすらできないという場合はすでに返済が滞りつつある可能性が高いので、債務整理をした方がいいでしょう。

おまとめローン詐欺にご用心

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多重債務者の焦りに漬け込んだおまとめローン詐欺が増えてきています。詐欺の内容は様々ですが、低金利で高額の融資を持ちかけた後、何かと理由をつけて手数料や保証料の名目で金銭を請求し、その後雲隠れするというのが多いです。

冷静になって考えればそんなうまい話はあるわけないのですが、多重債務で疲れている人は藁にもすがる思いでこのような話に乗ってしまいがちです。

もちろん、大手や中堅の銀行・消費者金融はこのようなあくどい商売とは全く無縁です。気をつけなければならないのは名前も聞いたことがないようなヤミ金です。こうしたヤミ金は一見大手の消費者金融に似た会社名やロゴをつけています。

なんだか聞いたことがあるようなないような社名の消費者金融を見つけたら、まずはGoogleで検索してみましょう。そこで悪いうわさが出てくればヤミ金であることはほぼ確定ですので、近づかないようにしましょう。

おまとめローンか、債務整理か

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おまとめローンは上手に利用すれば非常に有益な金融商品ですが、これはあくまでも複数の債務を一本化するだけの商品でき、借金自体はそのまま残ります。

もちろん金利が低いところで借り換えられればそれだけ毎月の返済額を減らすことができますが、劇的に返済を少なくすることは不可能です。

劇的に借金を少なくしたい、そうしなければ返済がままならないといのならば、おまとめローンではなく債務整理を利用した方がいいでしょう。

債務整理は借金そのものを少なくする制度なので、おまとめローンよりもさらに毎月の負担を減らすことができます。もちろん、債務整理には一定期間借金ができなくなるなど相応のデメリットも有りますが、うまく使えば生活再建の手助けになります。

自身の困窮度合いに応じて、おまとめローンと債務整理のどちらを選ぶかを決めるようにしましょう。