借金は必ず単利の金融機関で借りる!複利の怖さ・凄さを徹底解説

お金を貸し借りする際の計算方法には、単利計算と複利計算があります。短期間の貸し借りならばどちらで計算しても大した差はつかないのですが、長い期間貸し借りをしていると、単利と複利では最終的な利息額に大きな差が生まれます。借金をする場合は、必ず単利で貸してくれる金融機関を選ぶべきです。

単利計算は元本にだけ金利がかかる計算方法


まずは理解しやすい単利計算の開設をしていきたいと思います。単利計算とは、何年借金をしていようが、金利が元金にしかかからない仕組みのことです。

例えば、ある時期に100万円を金利10%で借りたとします。すると、1年目には10万円の利息がつくので、1年目終了時点での借金の合計額は110万円となります。

その時点での借金の合計額は110万円ですが、この内元金は100万円なので、2年目の利息も10万円になり、2年目終了時点での借金の合計額は120万円となります。

3年目の利息も10万円なので、3年目終了時点での借金の合計額は130万円となります。このように、元金に対してのみ金利がかかり、毎年一定の利息がついていくタイプの計算方法を単利計算と言います。

複利計算は元本と利息に金利がかかる計算方法

これに対して、複利計算とは、元金のみならず、金利が利息にもかかる計算方法です。

例えば、ある時期に100万円を金利10%で借りたとします。すると、1年目には10万円の利息がつくので、1年目終了時点での借金の合計額は110万円となります。ここまでは単利計算と代わりありません。

しかし、2年目開始時点の借金の合計額は110万円で、複利計算では元金と利息の両方に金利がかかるので、2年目の利息は110万円×10%=11万円となります。したがって、2年目終了時点での借金の合計額は121万円になります。

3年目の利息は、121万円×10%=12万1000円です。したがって、3年目終了時点での借金の合計額は133万1000円となります。このように、元金のみならず利息に対しても金利がかかり、利息が加速度的に増えていく計算方法を複利計算と言います。

複利で借金をしているとあっという間に借金が増える

前述の例では、3年目終了時点では単利と複利で3万1000円しか差が付いていないので、どちらで借りても大した差はないように思えます。借金を長年続けると、大きな差が付きます。

前述の例の借り方を30年間続けたとしましょう。単利で30年借りた場合、30年目終了時点での借金の合計額は400万円になります。

一方、複利で30年間借りた場合、30年目終了時点での借金の合計額はなんと約1744万円になります。計算ミスかと思われるかもしれませんが、実際に計算するとそうなるのです。毎年の利息に金利がかかるだけで、このようにとんでもない借金の増え方をするのです。

正規の金融機関から借りれば、必ず単利計算で借りられる

現在の日本には出資法及び貸金業法という法律があります。この法律では、貸金業者が複利でお金を貸すことは禁止されています。

つまり、正規の金融機関で借りれば、そもそも複利で計算されることはないというわけです。

出資法や貸金業法が関係ない貸し借り、つまり当事者間で合意があれば複利計算を行うことも認められるケースがありますが(例えば銀行の利息は個人や法人が銀行にお金を貸したことに対する利息ですが、商品によっては複利で計算されることもあります)、逆に言えば両者の合意がない状態で複利を押し付けられることは絶対にないということです。

もちろん、いわゆる闇金はこのような法律などお構いなしですから、複利計算を押し付けてくることもあります。

見た目の金利が安いので契約してみたら複利でどんどん借金が増えていってしまうことも考えられますので、闇金からは絶対にお金を借りてはいけません。万が一借りてしまった場合は、早急に弁護士に相談しましょう。

借金の借り換えは実質的に複利計算になるので注意!

正規の金融機関から借りれば単利で借りられますが、正規の金融機関であっても、借り換えを行うと実質的には複利計算になってしまいます。

単利の期末ごとに元利合計額を別の金融機関から借金してしまうと、実質的には利息の部分にも金利がかかってしまうためです。

借り換えは利息負担を少なくする効果的な方法として多くのサイトで紹介されていますし、たしかに利息負担が少なくなることも多いです。

しかし、金利が対して変わらない金融機関で借り換えを行ってしまうと、却って毎月の負担が大きくなってしまう可能性もあります。借り換え前には慎重にシミュレーションを行い、本当に負担が少なくなるのかを確認しましょう。

投資にも単利と複利がある

借金に単利と複利があるように、投資にも単利と複利があります。お金を貸す側の立場からすれば単利が有利ですが、逆に投資する側から考えれば複利のほうが有利です。

例えば、銀行の提供している定期預金の中には、単利のものもありますが、複利のものもあります。多くの金融機関では、3年以上の定期預金は複利を選べることが多いです。

元本100万円、金利0.200%の場合、単利で10年預けると102万円になりますが、複利で10年預けると102万176円になります。わずか176円の差ではありますが、複利で預けたほうが有利になります。

一方、債券投資は原則として単利で計算します。例えば、額面金額100万円、金利1.0%の社債を購入した場合、毎年受け取れる利息は1万円で固定されます。

複利効果を得られる投資なら加速度的に資産が増えていく

投資をする上では、金利が同じならば当然単利よりも複利のほうが効果的にお金が増えていきます。複利効果を得るために重要なことは、投資で得た利益を使ってしまわずに、再投資することです。

例えば、元本100万円である投資を行い、1年目に10%の利息を得たとしましょう。1年目終了時点での手元の資金合計額は110万円になります。

この資金をもとに再投資を行い、再び10%の利息を得た場合、利息が11万円付きます。投資で得られた利息を再投資することによって、複利でお金が増えていくわけです。

一方、1年目終了時点で利息の10万円を消費してしまうと、2年目には100万円しか投資できず、利息も10万円しか付きません。利息を再投資しなかったせいで、単利でしかお金が増えなかったのです。

このことを考慮すると、いわゆる毎月分配型のような投資信託は複利効果が十分に得られないため、あまり良い金融商品ではないことがわかります。分配をするということはそれだけ元本を減らすということであり、それは複利効果を減らしてしまうことにつながります。目先のお金に釣られず、長期的な観点に立って投資をしましょう。

複利は元金、金利、投資年数が長いほど効果が大きくなる

複利効果を十分に得るには、元金、金利、投資年数の3つを増やす必要があります。元金は増やすと言っても限度がありますし、金利は元本保証でもない限り投資家がコントロールすることはできませんが、唯一投資年数だけは投資家自身の意志で自由にコントロールすることができます。

投資年数を増やした方が大きな効果を得られるということは、言いかえれば若いうちから投資を始めたほうが大きな効果を得られるということです。投資は人生の残り時間が長い、若いうちから始めるべきなのです。

72の法則で投資の効果を図る

最後に、投資の世界では有名な72の法則というものを紹介したいと思います。これは複利で資産運用をすると、どのくらいの期間で元本が2倍になるかを簡単に計算できるという優れた計算式で、以下のようなものになります。

年利回り×運用年数=72

例えば、想定される年利回りが10%の場合、運用年数が7.2年に達するとだいたい元本が2倍になるというわけです。実際には利回り10%で7.2年間運用しても1.986倍にしかならないのですが、ほぼ2倍であることは確かであり、大雑把に捉えるのには役立ちます。

また、資産を2倍にしたい年数を予め決めておき、それを実現するためにはどのくらいの利回りを達成すればいいのか計算することも可能です。

例えば、20年で資産を2倍にしたい場合は、年利回り3.6%で運用すればいい、ということになります。実際には利回り3.6%で20年間運用すると2.028倍になるのですが、こちらもほぼ2倍になっているので問題ないでしょう。

この式さえ覚えておけば、いつでも簡単に大雑把に複利計算ができるようになります。