住宅ローンは申し込めば通るものと考えている人も少なくありません。借り換えについても同様です。
しかし、最近では住宅ローンの審査に落ちる人も増えているようです。ここでは、住宅ローンの借り換え審査のコツについて紹介をします。
住宅ローンの借り換えの審査で見られるポイント
現在、金利はとても低い状態にありますので、金利が高いときに住宅ローンを組んだ人は、借り換えをすることで大きく利息を節約できると言われています。
借り換えでメリットが出るかどうかを判断する目安として、次の3つの条件があげられています。
2.残りの返済期間が10年以上
3.金利差が1.0%以上
この3つの条件すべてを満たしている人が、住宅ローンの借り換えをすることでメリットがある可能性が高い人です。
しかし、これらの基準はやや古いという意見も出てきています。3つの条件のうち1つだけを満たしている人でも、借り換えをすることでメリットが出るケースもあるようです。
例えば、
残りの返済期間が9年
金利差が1.5%
という場合には、2つの条件は満たしていませんが、金利は大きく下げることができるので、メリットが出る可能性が高いでしょう。
住宅ローンの借り換え審査は新規とどこが違う?
住宅ローンの借り換えとは言っても、新規で住宅ローンを組むときと手続きの流れは変わりません。
借り換え審査に通るかどうかを決めるのは、大きく分けて
不動産の担保価値がどれだけ減少しているのか
という2つのポイントになるでしょう。
「新規で住宅ローン審査に通っているから、借り換え審査でも余裕だろう」などと慢心をしていると、あっさりと審査落ちしてしまうことになるかもしれません。くれぐれも油断は禁物です。
本人の属性としては、
勤続年数
勤務先
勤務形態
完済時年齢
健康状態
返済負担率(返済比率)
などが重要になります。年収が高いということよりも、年齢や勤続年数、職業の安定性のほうが重要になる傾向です。
年収3,000万円の芸能人や年収500万円の契約社員よりも、年収500万円の正社員、年収450万円の公務員のほうが有利になる傾向です。
新規で住宅ローンを借りた後に転職をして勤続年数がリセットされてしまった人などは要注意です。転職をしてキャリアアップをした人、職業に連続性がある人などは考慮してもらえる可能性があります。
年齢が高くなっていたとしても、完済時年齢の条件を満たしているならば問題はないでしょう。
しかし、健康状態に問題ができていて団信に加入できないと住宅ローンの審査に通らなくなります。その場合にはフラット35などの団信への加入が任意となっている住宅ローンを選びましょう。
返済負担率とは?
返済負担率が新規で借りたときと比べて変わっていないかどうかを計算しておきましょう。
返済負担率=(住宅ローンの年間返済額+その他の借金の年間返済額)÷年収
で計算されます。新しく自動車ローンや教育ローンを借りたという人は、返済負担率が上がっている可能性があります。
昇進・昇格をして年収が上がった場合には逆に返済負担率が小さくなって有利になっていることでしょう。
住宅ローンの延滞は絶対にNG!
住宅ローンで延滞をしている人は、借り換え審査に通る可能性がかなり低くなってしまいます。
同じ遅延でも、クレジットカードや携帯電話で支払いを遅延しているケースよりも住宅ローンで遅延しているケースのほうが不利になる傾向です。
「この人は過去に住宅ローンの支払いを遅延しているので、今後も遅延する可能性がある。」と思われるからです。
特に、過去1年で延滞がある場合には100%近い確率で審査に通らないようです。1回でも支払いを遅延してしまったら最低でも1年間は健全な支払いを続けて、信用を取り戻す努力をしましょう。
不動産の担保評価
本人の属性に問題がないのに審査に落ちてしまったら、不動産の担保評価に問題がある可能性があります。
例えば、
住宅ローン残高が2,000万円
不動産の担保としての価値が1,500万円
というケースでは、オーバーローンとなってしまっています。基本的には、
住宅ローン残高<不動産の担保評価
でなければ融資は受けられません。物件の評価が大きく落ちてしまった場合、新規借入時に頭金を入れなかった場合などにオーバーローンとなりやすいです。
新規の借入時に比べると、借り換え時には不動産の担保評価についての基準は緩くなっている傾向のようです。
フラット35では借入額について、100万円以上8,000万円以下で、「借換対象となる住宅ローンの残高」または「機構による担保評価額の200%」のいずれか低い金額までという条件がついています。
カードローンの延滞なども関係するの?
住宅ローンの審査において
携帯電話の滞納
カードローン・クレジットカードの延滞
税金の未納
なども影響するという噂があります。それぞれ順番に見ていきます。
公共料金の未納は基本的には影響なし?
電気料金など、公共料金の未納については基本的には影響がないようです。
それはなぜかというと、電気会社などは個人信用情報機関に加盟をしていないということが理由となります。
公共料金についても滞納をしていた・もしくは現在進行形で滞納をしていることがバレると、約束を守らない人、お金に困っている人といった悪いイメージをもたれてしまうでしょう。
しかし、住宅ローンの審査を行う銀行は公共料金の支払い状況について調べようがないので、バレることはなく、基本的には審査に影響しないということになります。
もちろん、審査に影響がないからといって未納をしてよいということにはなりませんので、しっかりと支払うようにしておきましょう。
携帯電話の滞納は影響することがある!?
例外的に、携帯電話の滞納は住宅ローン審査に影響をすることがあります。
携帯電話の基本料金・通話料金については、公共料金と同じで滞納をしても個人信用情報に影響しません。
しかし、携帯電話本体の割賦払い料金については、ローンとほぼ同じですので、延滞をすると個人信用情報に影響します。
携帯電話本体の割賦払い料金は携帯電話の基本料金・通話料金と一緒に請求されるので注意が必要です。知らず知らずのうちに携帯電話の料金を滞納するとローンを延滞することになり、個人信用情報に傷がついてしまうというトラブルが多発しているようです。
すでにローンを完済している場合、そもそも一括払いで購入をしたので割賦払い契約をしなかった場合などにはこの心配はありません。
カードローン・クレジットカードの延滞
住宅ローンの借り換え審査に通らない原因として近年増加傾向にあるのが、カードローン・クレジットカードの延滞です。
携帯電話本体の割賦払いも一種のローンですので、これに含めてよいでしょう。
カードローンには銀行カードローンだけでなく、消費者金融キャッシングなども含みます。
昔と比べると消費者金融を利用することに抵抗がないという人が増えているので、要注意です。
消費者金融を利用すること自体はそれほど問題がありません。しかし、延滞をしていると非常にイメージが悪くなります。
カードローンやクレジットカードの支払いの記録は、個人信用情報に残っています。
しかも、たった1回でも延滞をすると、最長で7年間記録が残ります。住宅ローンを借り換えるために最長で7年も待たなくてはいけなくなるかもしれないということです。
クレジットカードよりもカードローンのほうが危険?
CICには毎月の支払い記録が24ヶ月間残ります。
クレジットカードの場合ですと、1回延滞をしてもその後24ヶ月間健全な支払いを続けることで延滞の記録を押し出して消すことができます。
カードローンの場合でも同じことができますが、カードローンの場合には24ヶ月が経過するまでに完済をしてしまうということも多いでしょう。
「1回延滞をしても24ヶ月間健全な支払いを続けたら延滞の記録を消すことができる」
ということを知っている人なら、うまく少額の借入を繰り返しながら延滞の記録を消すことでしょう。
しかし、多くの人はこの事実を知らないので、延滞をした後で比較的すぐに完済をして解約をしてしまうようです。解約をしても延滞の記録は消えず、完済後5年間残ります。
カードローンやクレジットカードを利用するときには、延滞をせずに利用をするのが一番です。
しかし、万が一延滞をしてしまってもその後24ヶ月間は健全な支払いを続けて、延滞の記録を消してから解約をするようにすれば、デメリットを小さく抑えられる可能性が上がります。
税金の未納は住宅ローンに影響する
税金の未納というと、
固定資産税・都市計画税を滞納している
所得税を払っていない
といったケースが考えられます。所得税についてはサラリーマンなら源泉徴収されるので払い忘れるということは少ないでしょう。個人事業主の場合には所得税は自分で確定申告をして納めなくてはなりません。
このような税金の未納があると、住宅ローンの審査に影響します。それはなぜかというと、納税証明を提出する必要があるからです。
納税証明はどちらかというと収入証明書としての意味合いが強いですが、税金の未払いがないかどうかをチェックするという意味合いもあります。
税金の未納があると審査に通らない?
税金の未納は審査に大きく影響します。
なぜなら、延滞税の優先度は高く、あらゆる債務に優先して回収がされてしまうからです。
債務者が住宅ローンを払えなくなって競売になったとしたら、通常ならば競売で売れたお金でローンの返済にあてられるはずです。
しかし、税金の未納があると、競売で売れたお金から優先的に税金の未納分が回収されてしまい、残ったお金からローンの返済にあてることになります。
銀行側の貸し倒れのリスクが高まってしまうので、税金を未納している人は住宅ローンの審査には通らない可能性が高くなります。
税金の未納は個人信用情報にはのらないので、書類でチェックをされます。
副業収入がないサラリーマンの場合なら「源泉徴収票+住民税課税決定通知書」でチェックされます。
不動産所得、事業所得などもある方は「確定申告書+納税証明書」を提出するので所得税、住民税、法人税、不動産取得税・固定資産税などについてもすべてチェックされます。
このように、書類から税金の未納がないかどうかがほぼ完全にチェックされてしまうので、基本的に抜け道はありません。
総合的に判断されるが、致命的なケースもある
住宅ローンの借り換えでは、カードローンで延滞をしていてもさほど影響しないこともあります。
総合的に信用がある人ならば審査に通ることもあるでしょう。
しかし、過去1年以内に延滞がある人、1年より前であっても何度も延滞を繰り返している人などは審査に通る可能性はかなり低くなります。
ブラックリストにのってしまっている人は致命的な理由であり、ほぼ100%審査には通らないと言えます。
住宅ローンの借り換えでは、現在借りている住宅ローンよりも金利の低い商品に申込みをすることになります。今よりも好条件のローンに申込みをするのだという意識を持って、良好なクレジットヒストリーを築く努力をしておきましょう。