借金の連帯保証人になって大ピンチ!自己破産するしかないの?

どんなに親しい友人といえども、いや、親しい友人だからこそやってはいけないことがあります。大きな金額のお金の貸し借りをすることです。親しい友人とのお金の貸し借りは、人間関係を狂わせます。

特に、連帯保証人にだけには絶対になってはいけません。その後に待っているのは地獄です。

保証人は「債務者の借金を肩代わりする義務を負う人」である

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日本には保証人制度という仕組みがあります。海外ではあまり見られないこの制度は、簡単に言えば「万が一債務者が債務を履行できなくなった場合、その履行を債務者に代わって保証人が行う制度」です。

具体的な例を見てみましょう。Aさんは事業を始めるために、1000万円ほど銀行から融資を受けたいと考えています。銀行としては借金を取りっぱぐれるのは嫌なので、Aさんに「保証人がいないなら貸せませんよ」と告げます。

Aさんは友人であるBさんに保証人になってくれないかと頼み、Bさんはこれを快諾します。晴れてAさんは銀行からお金を借りることができました。

その後、Aさんが問題なく借金を返済できればなんてことはない話ですが、Aさんの事業が失敗するなどして借金を返済できなくなった場合、銀行はBさんに対して借金を返済するよう求めることができます。

Bさんは保証人になったので、返済能力のないAさんに代わって借金を返済しなくてはなりません。これが保証人制度の概要です。

これだけ読んでも保証人制度がいかに恐ろしいものであるかご理解いただけたかと思います。

連帯保証人は債務者と同じ立場に立たされる

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あまり知られていないことですが、実は借金の保証人には2種類あります。単なる「保証人」と、「連帯保証人」です。一般的には連帯保証人になることも「保証人になる」というので大変ややこしいですね。

保証人になってほしいと頼まれたら、まずはそれが単なる「保証人」なのか、それとも「連帯保証人」なのかを確かめましょう。

単なる「保証人」と「連帯保証人」の主な違いは以下の3点です。

催告の抗弁権

単なる保証人は、債権者がいきなり返済を求めてきた時に「まずは本来の債務者に請求してください」ということができます。この権利を「催告の抗弁権」といいます。一方、連帯保証人には催告の抗弁権がなく、このような主張をすることができません。

検索の抗弁権

単なる保証人は、債権者がいきなり財産を差し押さえようとしてきた時に「まずは本来の債務者の財産を差し押さえてください」ということができます。これを「検索の抗弁権」といいます。一方、連帯保証人には検索の抗弁権がなく、このような主張をすることができません。

分別の利益

単なる保証人が複数いる場合、保証人一人当たりの保証額は債務の合計額を全保証人の数で割ったものが上限となります。

たとえば債務者の債務が500万円であり、単なる保証人が5人いる場合、それぞれの保証人が背負わなければいけない責任の上限額は100万円となります。これ以上支払わされることはありません。これを「分別の利益」といいます。

一方、連帯保証人には分別の利益がありません。500万円の借金があったら、すべての保証人が500万円請求される可能性があるということです。

これらを見てもわかる通り、連帯保証人はいわば「債務者そのものになる制度」といえます。もちろん、単なる保証人になることもおすすめはできませんが、連帯保証人はそれ以上になってはいけないものです。相手が親しい人間であっても、絶対に断るべきです。

「根保証」で債務が増える?

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根保証とは、将来発生する債務についても補償しなければならないという制度です。たとえば、今の時点での債務が100万円でも、極度額が500万円ならば、債務者は500万円まで借りることができます。

いいかえれば、連帯保証人の負わなければならない債務が500万円まで膨らむ可能性があるということです。連帯保証人と根保証がセットになったものを「根連帯保証人」といいます。

連帯保証人はやめられない!一括請求で債務整理も

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残念ながらこれをお読みの時点ですでに連帯保証人になってしまっている方は、債務者本人が真面目に返済を行ってくれることを願うぐらいしかできません。連帯保証人を辞めることはまず不可能です。

万が一債権者が「連帯保証人はいつでも契約を解除してよい」と定めていたり、債務者が「あなたは保証人をやめてもいいですよ」と言ってくれたりすれば連帯保証人を辞めることができますが、それはまず考えられません。

債権者が自分に不利な条件を提示するはずがないですし、債務者にとって連帯保証人は借金を肩代わりしてくれる大事な人柱なのですから逃がしてくれるはずがありません。

ピンチになってから「やっぱりやめたい」と思っても後の祭りです。現実は往々にして無残なものであり、債務者が返済できなくなり、あまつさえ失踪してしまうようなケースも珍しくありません。もしそうなったら、連帯保証人はどうすればいいのでしょうか。

連帯保証人として債務の責任を取る場合、基本的に返済は一括で行わなければなりません。そうはいっても、数百万円ならともかく数千万円クラスの借金を一括で返済するなどほぼ不可能です。そのような場合は、債務整理をすることになります。

分割返済したい場合は「任意整理」を

一括返済は無理だが分割でなら返済できるという場合は、債権者と交渉することによって分割払いにしてもらうことができます。また、一部は返済できるが全額は返済できないという場合は、債務そのものを減らしてもらえる可能性もあります。

これを「任意整理」といいます。債権者もこのような状況には慣れているので、あまり強硬に「何が何でも一括で全額払え」とは言ってきません。それで連帯保証人に自己破産されて借金をチャラにされたら困るからです。

しかし、任意整理をするとその後5年~10年間程度は新たな借り入れができなくなるなどのデメリットもあります。

なお、債務者が失踪などしていない場合は、債務者自身も借金を返済します。債務者と連帯保証人の返済した合計額が債務額に到達した時点で返済は終了します。

ただし、そのあとで連帯保証人が債務者に対して「私が払った金額を返してくれ」と請求することはできないので注意が必要です。

返済が全くできない場合は「自己破産」を

返済できそうもない場合は、自己破産をする必要があります。自己破産は任意整理と違って借金そのものをチャラにする仕組みです。反面、20万円以上の財産は処分する必要があったり、一定期間特定の職業につけなくなったりするなど、デメリットも大きい仕組みです。

連帯保証人を断るコツは「明言すること」

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ここまで読んでくださった方は連帯保証人制度の怖さについてよくご理解いただけたかと思います。現実では連帯保証人になってほしいと頼み込んできた相手との人間関係もありますし、簡単には断れないケースもあるでしょう。

しかし、連帯保証人を頼まれたときは「連帯保証人には絶対になれない。なれないものはなれない」と明言するのが一番です。というか、それ以外に選択肢はありません。

下手にお茶を濁すよりよほど効果的です。もしそれでその相手との人間関係が壊れてしまっても別にいいではありませんか。あなたに連帯保証人になってくれと頼み込んできて、断ると逆上するような人間には今後も付き合っていく価値がありません。

連帯保証人を探す場合は「保証会社」を使おう

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逆に、あなたが連帯保証人を探す立場になった場合、友人や親に頼んではいけません。たとえあなたがどんなに返済できるという自信を持っていたとしてもです。そんな自信はちょっとした事故や天災などの不意の出来事でであっという間に崩れてしまいます。

しかし、連帯保証人になってくれる人がいなければローンが組めないのもまた事実。そんなときに利用したいのが保証会社です。保証会社は連帯保証人になってくれる企業です。債務者はその見返りに、保証会社に対して保証料を支払います。

債務者がローンを返せなくなった場合は、保証会社が代わりに返済してくれます。ただし、債務そのものがなくなるわけではなく、債務者は今度は保証会社に対してローンを支払う必要があります。いわば建て替えですね。

なんだか借りる側に不利な仕組みになっている気もしますが、こうでもしなければローンを組めないのですから仕方ありません。

最後に

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連帯保証人には、絶対になってはいけません。もう一度繰り返しますが、連帯保証人には絶対になってはいけません。どんな相手が頼んできても、心を鬼にして断りましょう。万が一すでに連帯保証人になってしまっている場合は、法律事務所の弁護士など、専門家に相談してください。