世の中には大小様々な消費者金融や銀行があります。一見どこで提供されているサービスも似たように見えますが、よく見てみるとその内容は千差万別であり、非常にバラエティに富んでいます。
今回は「消費者金融とは何か?」「銀行とは何か?」はもちろん、自分にとって最も適切な金融機関を選ぶ方法などもわかりやすく解説したいと思います。
目次
消費者金融はお金の貸出を行う金融機関
消費者金融は、消費者、つまり個人を対象とした少額融資をメインに行う金融機関のことです。銀行と違い預金の受け入れは行っておらず、銀行から低い金利で借りたお金を、それよりも高い金利で貸し出すことによって利益を得ています。
消費者金融と聞くとなんだか危ないイメージがあるかと思いますが、消費者金融は正しく使えば危険なものではありません。そもそも消費者金融とは、法律に則ってお金を貸している業者の総称です。
かつてはサラ金(サラリーマン金融)と呼ばれていましたが、最近はイメージを考慮してかこの呼称が使われることはほとんどなくなりました。
これに対して、違法な金貸しを行っている企業はヤミ金と呼ばれます。消費者金融と闇金をごっちゃにしている人が少なくないようですが、本来両者は全く別物です。
消費者金融からお金を借りるのは(ちゃんと返済できるなら)セーフですが、ヤミ金からお金を借りるのは金額にかかわらずアウトです。何があってもヤミ金からは絶対に借りないでください。万が一借りてしまった場合は、警察や弁護士などに相談しましょう。
ヤミ金の見分け方
まずは電話番号をチェックしてみてください。広告などに掲載されている電話番号が携帯電話の番号だった場合、その金融機関は99.999%ヤミ金であるといえるでしょう。
現在の法律で、貸金業者として登録する際には必ず固定電話を登録しなければならないという決まりがあります。携帯電話の番号を登録しているということは、その法律を守っていない、つまりはヤミ金であるということです。
また、消費者金融として貸金業を営むためには、必ず国・都道府県から営業の許可を受け、登録する必要があります。
登録すると登録番号が発行されます。例えば、アコム株式会社の登録番号は「関東財務局長(11)第00022号」です。登録番号がない金融機関は全てヤミ金だと考えてください。
ただし、この番号があるからといってヤミ金でないと断言することはできません。中にはきちんと登録したうえで、違法な金貸しを行う金融機関もあるからです。
そうした金融機関を完璧に見抜く方法はありませんが、怪しいなと思った場合は登録番号の()内の数字を見てください。この数字は登録を更新した回数を表したものです。
例えば先の例で上げたアコムは今までに11回登録を更新していることになります。この()内の数字が1の業者は出来立てで実績がない金融機関なので要注意です。もしかしたら、設立と廃業を短期で繰り返しているヤミ金かも知れません。
もう一つチェックして欲しいのが広告文です。異常なまでに低い金利を提示していたり、「融資率100%!」「多重債務者歓迎!」といった、一見魅力的な文章がある場合は利用を避けたほうが良いでしょう。
まともな消費者金融ならば異常なまでの低金利は提示しません(そんなことをしたら商売が成り立たないからです)し、他店で断られ続けているような人にはお金を貸しません。
ヤミ金かどうかわからない金融機関は利用しない
ヤミ金家の判断に迷ったら、そこからは借りないほうが良いでしょう。君子危うきに近寄らず、です。アコム、プロミス、モビットといったTVCMを積極的に行っている大手消費者金融は少なくともヤミ金ではないため、そちらで借りたほうが良いでしょう。
銀行は預金の預け入れと資金の貸出を行う金融機関
銀行は預金の借り入れと資金の貸し出しを行う金融機関です。消費者金融との最大の違いは、預金を受け入れていることです。預金者に対して低い利子を支払い、それよりも高い金利で他社に貸し出すことによって利益を得ています。
融資の対象は個人、中小企業、あるいは大企業など様々です。日本全国に店舗を持つ都市銀行、限られた地域に多数出店している地方銀行、信託業務を行う信託銀行などがあります。銀行には以下の3つの機能があります。
金融仲介機能
お金の貸し手と借り手の仲介をすることです。貸し手とは預金者のことです。預金者はお金を貸しているという意識は低いかもしれませんが、銀行にお金を渡し、それによって利息を手にしているのですからこれも立派な金貸しの一つといえます。
借り手は銀行が見つけてくれるので、預金者がそれを探す必要はありません。
このように、貸し手と借り手の間に仲介業者が入るお金の貸し借りを間接金融といいます。貸し手と借り手が直接行う貸し借りは直接金融といいます。日本は間接金融の割合が大きい国であると言われています。
信用創造機能
お金を貸すことによって、預金残高をその何倍にも増やす機能のことです。銀行は預金の一部を引き出しのために残して、残りを貸し出しに回します。引き出しのために残しておくお金を法定準備預金といい、その割合を法定準備率といいます。
例えば、AさんがX銀行に1000万円を預けたとします。この時点で、X銀行の預金総額は1000万円です。法定準備率が10%だった場合、X銀行はこの内100万円を手元においておき、残りの900万円をBさんに貸し出します。
Bさんは借りた900万円を事業の資金としてX銀行に預けます。この時点で、X銀行の預金総額は1900万円です。このようなことを繰り返せば、預金残高は何倍にも増え、銀行は何倍ものお金を貸すことができます。これを信用創造といいます。
これは銀行に信用があり、しかも順調に返済が行われている限りはずっと続きます。もし銀行に信用がなくなってしまうと、多くの預金者が銀行からお金を引き出すようになり、法定準備預金が枯渇してしまいます。このような現象を取り付け騒ぎといいます。
決済機能
決済機能とは、現金を使わずに支払いを行う機能です。銀行は預金者の預金口座にあるお金を確認して、引き落としや振り込みなどの業務を行います。公共料金の支払などが現金不要で行えるのは、決済機能があるからです。
消費者金融のローンと銀行のローン、3つの違い
お金を貸してくれる期間は消費者金融だけではありません。銀行からもお金を借りることができます。ですが両者は全く別の金融機関であり、そのサービスには大きな差異があります。消費者金融と銀行の主な違いは以下の3点です。
金利が違う
消費者金融と銀行の一番の違いは金利です。一般的に、銀行のほうが消費者金融よりも金利は低いです。
銀行は顧客から借りたお金を別の顧客に貸し出しています。それに対して、預金業務を行わない消費者金融は銀行から借りたお金を別の顧客に貸し出しています。つまり、消費者金融で借りるお金には金利が2回かけられているわけですね。
なので必然的に銀行よりも金利は高くなるのです。と言っても、現在の利息制限法では利息の上限が設定されているため、違法業者でもない限りは詐欺的な金利をふっかけられることはありません。
なお、現在の法律では金利上限は以下のように定められています。
元本 | 金利上限 |
~10万円 | 20% |
10万円~100万円 | 18% |
100万円~ | 15% |
総量規制の有無
総量規制とは、個人が金融機関から借りられる金額の上限を、年収の3分の1までに抑えるという規制です。消費者金融からの借り入れで債務整理に追い込まれる人が跡を絶たなかったことから、このようなルールが制定されました。
しかし、このルールをすべての借り入れに適用してしまうと、殆どの人は住宅ローンも自動車ローンも組めなくなってしまいます。そのため、総量規制の対象とならない借り入れも幾つか設定されました。
銀行からの借り入れも総量規制の対象外であり、年収の3分の1を超えて借りることができます。
審査が違う
銀行と消費者金融では、審査の難易度が違います。金融機関によって多少のばらつきは見られますが、基本的には銀行のほうが消費者金融よりも審査は厳しい物になっています。銀行のほうが金利が低いので、その分融資に対して慎重になるのは当然といえます。
銀行カードローンと銀行系カードローン、1文字違いで大違い
世の中には「銀行カードローン」と「銀行系カードローン」があります。どちらも同じように思えますが、実は両者は似て非なるものです。
銀行カードローンとは、銀行が直接取り扱っているカードローンです。例えば、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、横浜銀行など、多くの都市銀行、地方銀行がカードローンを取り扱っています。
それに対して、銀行系カードローンとは、銀行傘下にある消費者金融がやっているカードローンです。例えばプロミスやアコムは銀行グループの参加企業なので、銀行系カードローンに含まれます。
銀行系カードローンは銀行と名が付いているものの、その実態は消費者金融と同じです。
消費者金融から借りたほうがいい人はこんな人!
短期の審査で借りたい人
消費者金融は銀行カードローンと比べると、審査期間が非常に短いです。最近は即日審査、即日融資に対応している消費者金融も少なくありません。場合によっては、借りようと思ってから30分で現金が引き出せるような消費者金融も増えてきています。
例えば冠婚葬祭が入って急な出費が発生したり、旅行先で現金がなくなってしまった場合などは、消費者金融のを使うといいでしょう。
1ヶ月以内で完済が可能
消費者金融の金利は前述のとおり銀行と比べて高いのですが、消費者金融の中には初回に限り30日間利息を取らないというサービスを提供しているところが少なくありません。
例えば、アイフルの場合は3500万円を限度に、30日間無利息で借りることができます。返済期間が30日を過ぎた場合は、それ移行は通常通りに金利がかかります。
無利息で貸し出して消費者金融側にメリットが有るの?と思われるかもしれませんが、消費者金融としてはなんでも良いのでとりあえずお客さんを確保したいものなのです。
無利息は言ってみれば、新規のお客さんを引き寄せるための餌です。無利息期間がある消費者金融はいくつかあるので、気になる方はチェックしておいてください。
銀行のカードローンに落ちた(落ちそう)
消費者金融の審査は銀行のそれと比べて審査の内容が緩いです。銀行のカードローンに落ちてしまった人でも、消費者金融の審査にならば合格する可能性があります。
過去に返済事故を起こしていたり、債務整理をしたりしている場合は銀行でも消費者金融でも借りられませんが、ちょっと属性が悪いくらいならば消費者金融で合格する可能性は十分にあります。
銀行から借りたほうがいい人はこんな人!
低い金利で借りたい
銀行のカードローンは消費者金融のそれと比べて低いです。借りられるものならば、銀行から借りるに越したことはありません。
もちろん審査は消費者金融とくられれば厳しいですが、住宅ローンの審査などよりは遥かに簡単ですし、人並みの職業についていて人並みに稼ぐことができていれば問題なく合格できる可能性が高いです。
急いでいない
銀行のカードローンの審査には1週間程度の時間がかかることがあります。急いでいる場合は消費者金融を利用した方がいいでしょう。逆に、予め将来出費があることがわかっている場合は、余裕を持って銀行のカードローンに申し込んだほうが良いでしょう。
返済期間が長く借入額が大きい
返済期間が長くなればなるほど、あるいは借入額が大きくなればなるほど、金利1.0%の差が重くのしかかってきます。消費者金融は銀行と比べると3.0%ほど金利が高い傾向があるので、長期間・高額の融資を受ける場合は銀行カードローンを選んだほうが良いでしょう。
専業主婦(主夫)
パートやアルバイトをしていない専業主婦(主夫)は基本的にお金を借りることはできませんが、一部の銀行のカードローンは、配偶者に安定した収入があれば申し込むことができます。
消費者金融・銀行の選び方
世の中には様々な消費者金融や銀行があります。これだけ選択肢が多いと、どの金融機関を選べば良いのかわからなくなってしまうこともあるかと思います。その際には以下の基準を参考にしていただければと思います。
金利
最初にチェックすべきはやはり金利です。金利は低いに越したことはありません。しかし、消費者金融や銀行が提示している金利にはかなりの幅があります。例えば、三井住友銀行のカードローンの金利は4.00%~14.50%となっています。更に細かく見ると、以下のようになっています。
100万円超200万円以下:年10.0%~12.0%
200万円超300万円以下:年8.0%~10.0%
300万円超400万円以下:年7.0%~8.0%
400万円超500万円以下:年6.0%~7.0%
500万円超600万円以下:年5.0%~6.0%
600万円超700万円以下:年4.5%~5.0%
700万円超800万円以下:年4.0%~4.5%
一体どの金利が適用されるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に最初の借り入れの際には上限金利(例えば100万円以下の融資の場合は14.5%)が適用されます。
借り入れと返済を繰り返し、優良顧客であることを証明できれば、いずれは低い金利で借りられるようになります。
返済方法
返済方法は見逃しがちですが、実は意外と重要です。返済が1日でも遅れると、それに対して遅延損害金が発生します。近所にATMがないと返済が億劫になってしまうので、できれば自宅近くにあるATMが利用できる返済方法を選ぶようにしましょう。
金融機関によっては口座引落に対応していることもあるので、返済をうっかり忘れそうだという人は口座引落が選べるところを選んでください。
知名度
知名度の高い金融機関が必ずしも顧客にとって良い金融機関であるとは限りませんし、その逆もしかりですが、大手の金融機関を選べば少なくとも違法業者に当たることはありません。
今の金融機関はイメージを非常に大切にしているので、それに傷がつくような違法な取り立てをすることはありません。一方、中小の金融機関の中には違法な取り立てをする業者もあります。安全を重視したいのならば、やはり知名度が高いところを選んだほうが良いでしょう。
審査
審査は簡単であるに越したことはありませんが、審査が簡単な金融機関ほど金利が高いのが困りものです。この辺りはトレード・オフの関係にあるので、どちらを優先させたいか前もって自分の中で決めておきましょう。
借り入れの前に
借り入れの前にかならずチェックしたいのが、きちんと返済できるかどうかです。いくら低金利で借りることができても、返せなければ意味がありません。無理な借り入れは避け、返済プランは余裕を持って作りましょう。