出来ちゃった婚で旦那に借金があると分ったら、生活に対する不安と旦那の人柄についての疑いが同時にわきあがって、目の前が真っ暗になりますね。
お母さん自身は子育て中で自由がきかないことも不安を大きくします。そんなときにこれだけは心得ておきたい対処法の基本をまとめました。
目次
借金がありながらできちゃった婚をする男なんて信用できない?
借金をする男性をすべて人格破綻者と決めつけることはできませんが、社会生活を営む上で金銭感覚のルーズさは重大な欠点です。そこを直さない限りいっしょに結婚生活を送り、子育てしていくことは不可能といってよいでしょう。
問題は旦那の借金癖は治るのか治らないのかということですが、すでに子どもが出来ちゃって結婚もした以上はとりあえず治る方にかけるしかありません。
そこでまず心得ておかなければいけないのは、あなたの立場は「一緒に借金を返済していくパートナー」ではなく「旦那の借金癖を治すコーチ役あるいは監督」だということです。あなたが働いて旦那の借金を返すことは、たいがいの場合旦那の借金癖を助長することになります。
したがって子どもが小さくてお母さんが働けないという現在の状況は、旦那の借金癖を治すためにはむしろプラスの状況だと考えてください。
収入はあるのに借金してしまう男性の共通点
例えば年収300万円は多いといえば多いし、少ないといえば少ない収入です。この収入で貯金をする人もいれば、借金を作ってしまう人もいます。これは年収500万円でも600万円でも同じです。
収入のレベルは同じでも、毎月少しずつ余す人は貯金ができて、少しずつ足りなくして借りてしまう人は借金ができます。
とくに貯金の金利は年利0.02%などの実質ゼロ金利なのに借金の金利は年利15~18%と大きな差があります。この高金利のせいで借金は利子を払うのに忙しくてなかなか元金が減らないのが現実です。
では、収入は同じレベルなのに貯金をする人と借金を作る人はどこが違うのでしょうか。借金を作る男性の共通点には次のような性格の傾向や考え方があります。
借金を作る男性の共通点
- 今貯金をしなくても将来は収入が増えて貯金できるようになると何となく思っている。
- 若いうちにちまちま貯金するよりは自分に投資するべきだと思っている。
- 若いのに貯金している人を何となくバカにしている。
- 借金の怖さ(金利の怖さ)を知らず、足りないときは借りても返せると思っている。
- 性格は悪くないのだがお人好しでプライドに欠けるところがあり、お金を借りることをさほど恥ずかしいとは感じない。
- 借金を返せる余裕があるときも、つい目先の楽しみのためにそれを使ってしまう。
- クレジットでの買い物で翌月払いでも返済できるのについリボ払いにしてしまう。
- いい格好をしたがり、おごりぐせがある。
- 歩ける距離でもタクシーを利用してしまう。
どうしてこんなに借金ができてしまったかは本人にも分らない
付き合っているときに彼が1万円とか2万円のわずかな額でも貸してくれと言ったことはありませんか?
そして、それをきちんと返してくれましたか? デートなどでそれ以上におごってもらっていることが多いのでつい催促もしないでいるとなかなか返さないことがあります。そういう人は借金を作っている可能性があります。
少しでも貯金がある男性はデートの相手にお金を借りることはありません。給料前に毎月足りなくなるような金銭感覚の男性がデートの費用を恋人に立て替えてもらったりするのです。そしてそれと同じようなノリでカードでキャッシングしてしまいます。
その積み重ねでいつの間にか200万円、300万円という大きな借金になるので、「どうしてこんなに借金ができたの?」と聞いても本人にもよく分らないのです。
最初に述べたようにこれだけで性格破綻者とは言えないし、今すぐ離婚した方が良いとも言えません。しかし旦那のこういう金銭感覚は容易には治らないことを覚悟する必要があります。
旦那に借金があると分ったときに絶対にしてはいけないこと
自分の貯金で旦那の借金を肩代わりする
あなたに独身時代にためた貯金があればそれで旦那の借金を返して、旦那には心を入れ替えて一から出直してもらおうと考えるかもしれません。少しずつ返済して利子を払っていくのはもったいないからそれが合理的のように思えますが、実は一番やってはいけないことです。
そのとき旦那は泣いて感謝して心を入れ替えようと決心すると思いますが、その一方で心のどこかに借金をしても誰かが助けてくれるという甘えが必ず生まれています。
たとえクレジットカードや消費者金融のカードをそのとき破棄したとしても、事故なく返済した人には2年間のカード期限が切れると新しいカード郵送されてきます。その時そのカードにハサミを入れて捨ててしまう人は実は少数派です。
何かのときのためにと思ってカードを手元に置いておくと確実にまた借金が増えてきます。なぜなら、給料前だけど同僚とちょっと一杯飲みたいなど「何かのとき」は必ず起きるからです。
親に話をして借金を肩代わりしてもらう
親に借金を肩代わりしてもらうのは、誰にも知られずにあなたの貯金で借金を返すよりは旦那の面目がつぶれるぶん薬になりますが、「誰かが助けてくれる」という気持ちがめばえる点では同じです。
とくにあなたの親にあなたが頼み込んで肩代わりしてもらうのは、あなたの貯金で返すのとほとんど変わりがありません。それを身に染みてかっこ悪いと思わないのが借金を作ってしまう男性の心根なのです。
自分の親に自分で肩代わりを頼むのはよりハードルが高いぶん反省の度合いも大きいでしょうが、のど元過ぎれば熱さを忘れるでいつまでも薬が効き続けることは期待できません。
節約してコツコツ返していく
家計を切り詰めてコツコツ借金を返していくのは借金返済の王道ですが、時と場合によっては失敗する確率の高い方法です。その理由は、収入と借金のバランスによっては、利息の支払いの負担が大きくてなかなか元金が減らないからです。
毎月少しずつ返すのでは返済期間が長引いて利息の支払い総額が大きくなります。例えば4社から50万円ずつ合計200万円の借金があるとします。金利がすべて年17.8%だとすると、返済期間と利息の総額は次のようになります。
200万円の借金を毎月10万円ずつ返済すると
200万円の借金を毎月5万2,000円ずつ返済すると
楽な返済プランにすると期間にして2年10カ月長くなり、支払う利息は約70万円も多くなります。
どちらの返済パターンでも新婚家庭に与える影響は小さくありませんが、実はもっと大きな問題があります。それは、返済を続けていくうちにまた借りてしまう例が非常に多いということです。
とくに旦那の手元にカードがある状態だと、また借りてしまうのはほとんど避けられないと言っても過言ではありません。カードを手元に起きながら返済だけを続けて新たな借り入れをしないということは、借金を作ってしまうような人にはもともと無理なことだと考えるべきなのです。
しかし、そういう約束で借りたとはいえ200万円の借金を5年近くコツコツと返して、総額100万円近い利息を払うしか身軽になる方法はないのでしょうか?
結婚生活を多重債務の返済地獄から救うには債務整理という方法があります。
債務整理にはいくつかの種類がありますが、謝金の額が200~300万円なら「任意整理」、400万円以上なら「個人再生」を選ぶのが一般的です。まずそんなケースはないでしょうがもし2000万円を超すような借金がある場合は「自己破産」を選ぶことになります。
債務整理は知らないとハードルが高い借金整理のようですが、やってみると他のどの方法よりも簡単で効果が大きいと分ります。
出来ちゃった婚で旦那に借金があると分ったときは任意整理を考えよう
任意整理とは司法書士あるいは弁護士に依頼してカード会社と交渉してもらい、今後の金利の支払いをゼロにしてもらい、元金だけを支払いに無理のない回数で分割で支払っていくという借金整理です。
そんなことができるの? と思うでしょうが、弁護士などが交渉にあたることでクレジット会社はもちろん、消費者金融も大手はほとんどのところが交渉に応じて上記の条件を認めてくれます。
カード会社にしても、交渉を断って債権者が個人再生や自己破産の手段をとると、戻ってくる元金の額が大きく減るかまったく戻ってこないことになる可能性が高いからです。
もちろん交渉にあたる司法書士や弁護士には謝礼を支払わなければなりません。その費用の相場はカード会社1社につき5万円前後です。借入先が4社なら20万円前後の費用がかかります。
この費用は分割で弁護士などの事務所に支払います。任意整理に入るとカード会社への支払いが一時ストップするので、その期間を利用して支払うのが通例です。
任意整理のメリット
- 将来金利がカットされ、今後は元金だけを分割で返して行けばよくなります。
- 夫がカード会社から今後5年間は借金できなくなります。これは任意整理すると信用情報機関に事故記録として登録される(ブラックリストに載る)からです。これはふつう債務整理のデメリットと説明されますが、カードがあるとつい借金してしまう旦那にとってはむしろ大きなメリットです。
- 裁判所が関与しない債務整理なので官報に住所・氏名が記載されることがなく、会社や他人に知られる心配がありません。
- 住宅ローン、カーローン、連帯保証人を立てた借金などを除外して、任意の借金だけを整理することができます。
- ほとんどの場合司法書士や弁護士の事務所を訪ねるのは1回だけで済みます。あとは郵便のやりとりや電話連絡で済むことが多いのです。
借金が400万円以上の場合は個人再生を考えよう
個人再生とは?
個人再生は、任意整理で金利をカットしてもらっても元金の返済が大きな負担になる場合に選ぶ債務整理です。
個人再生は弁護士や司法書士を通じて裁判所に申し立てをして、借金の額を5分の1に減らしてもらい、残った借金の金利もゼロにしてもらうという債務整理です。ただし5分の1になるのは借金の額が500万円以上の場合で、それ以下の場合は100万円は借金が残ります。
例えば600万円の借金は120万円になり、500万円の借金は100万円になります。しかし、400万円や300万円の借金の場合も100円は借金が残ります。これはそれくらいは返済可能でしょう、ということです。
残った100万円の借金は3年間の分割で支払いますが、金利がかからないので月に3万円程度の返済額になります。
個人再生のメリット
個人再生のメリットは元金が大きく減って、将来金利がゼロになることの他に、持ち家や住宅ローンを支払い中の家を手放さなくてよいことです。もちろん住宅ローンは軽減されませんが、それをきちんと払っていれば個人再生しても影響は受けません。
個人再生のデメリット
デメリットは官報に住所氏名が載ることですが、官報などを見ている人はほとんどいないので実質的な不利益は考えられません。ただし闇金の中には官報を見て融資の誘いをしてくるものもあるので、個人再生後の融資の誘いには絶対に乗ってはいけません。
個人再生をするとやはり信用情報機関に報告され(ブラックリストに載り)、今後5~10年間はカードを作ったりローンを組んだりすることはできなくなります。しかし、これは旦那の借金癖を治すためにはむしろ好都合と考えましょう。
将来マイホームがほしいのならその間に頭金をコツコツ貯金すれば、ブラックリストから外れたときに住宅ローンを組むことができます。
個人再生の依頼
個人再生を弁護士や司法書士に依頼する費用は事務所によって違いますが、相場は30~60万円です。この費用は任意整理の場合と同様に、手続きに入るとカード会社への返済が一時ストップするのでその期間を利用して分割で支払いします。
借金が2000万円以上あったときは自己破産して出直しを
出来ちゃった婚をした若い男性に2000万円以上もの高額の借金があるというのはふつうは考えられませんが、その場合は個人再生をしても400万円以上が債務として残ります。金利はつきませんがこれを3年間で返済するには毎月約11万円ずつ返済しなければなりません。
こういう場合は自己破産で債務をゼロにして一から出直すことを考えるのがベターです。念のために言うと、旦那が自己破産しても妻名義の預貯金が調べられたり、返済にあてることを要求されることはありません。
まとめ
借金癖は大きな欠点ですが、それだけでいっしょに暮らせない男と決めつけることはできないし、その癖は治らないと決まったわけでもありません。
出来ちゃった婚で旦那に借金があることが分ったときは、離婚を考える前に債務整理を考えましょう。債務整理をすることで、
- 今後旦那が最低5年間はカード会社から借金できなくなる。
- 家庭生活を破壊しない返済プランが可能になる
という大きなメリットがあります。