これまでの太陽光発電の売電価格の推移は?これからはどうなる?

太陽光発電システムを住宅の屋根に設置することにより、発電された電気を電力会社に売ることができます。昼間など、日射量が多く自家消費が少ない時間帯はより効率的な発電、売電が期待できます。

では、売電価格はどうなっているのでしょうか?残念ながら、年々価格は下落しており、これからも下がり続けることがほぼ確実に決定しています。

2009年時点では、住宅用の売電価格は1kwあたり48円でしたが、2017年には28円、もしくは30円となっており、およそ3分の2程度になってしまっていますね。

ただ、売電価格が下がったから太陽光発電を行うメリットがなくなったとは言い切れません。以前に比べて、設備費用は大幅に安くなっているためです。詳しくは後述しますね。

まずは、太陽光発電による売電価格の推移を見ていきましょう。

売電価格の推移

電気の買取価格は、2009年以前とそれ以降によって大きく異なります。2009年までは電気の買取に関する制度が整っておらず、そのために各電力会社が自主的に電気買取を行っていました。売電価格の平均は24円といったところでしょうか。

2009年からは売電価格が一律に定められ、さらに太陽光発電を国内で普及させるため、以前に比べて高額な価格設定が行われました。2009年、2010年の売電価格は1kwあたり48円で、それまでのおよそ2倍となっています。

2010年以降、売電価格は年々下落しています。ただ、これは元から決められていたことで、先行者と後発者の利益に大きな差が出ないよう調整されているのです。これについても後ほど詳しくお話ししますね。

それでは、これまでの売電価格の推移を一気に見てみましょう。以下にまとめておきました。

          住宅用      産業用

2009年以前    24円程度     24円程度
2009年      48円       24円程度
2010年      48円       24円程度
2011年      42円       24円程度
2012年      42円       40円
2013年      38円       36円
2014年      37円       32円
2015年     33円 35円       29円
2016年     31円 33円      24円
2017年     28円 30円      21円

2015年から売電価格が2パターンあるのは、出力制御対応機器の設置の有無が大きく関係しています。東京や、中部、関西地方ではこの機器がなくても売電が可能ですが、他の地域では出力制御のための機器が必要になります。

この機器の設置費用は個人持ちなので、同じ価格で買取をしてしまうと不公平感が出てしまいます。それをなくすために2円の差を設定しているのですね。

買取価格は設置した年から住宅用は10年間、産業用は20年間固定です。つまり、2017年に設置した場合は、以降どれだけ売電価格が下がろうとも2027年までは28円、もしくは30円で買い取ってくれるということになります。

売電価格は住宅用と産業用で大きく違います。そもそも住宅用と産業用の違いはなんでしょうか?以下で見ていきましょう。

住宅用と産業用の太陽光発電システムの違いとは?

一番わかりやすい違いは、設置容量が10kwを超えているかどうかです。設置容量を簡単に説明すると、発電力を表す数値のようなもので、値が大きくなるほど短時間でより大きな電気を生み出すことができます。

この設置容量が10kw未満であれば住宅用、10kw以上であれば産業用と定義することができるのですね。

もう一つの違いとして買取制度があり、住宅タイプでは余剰買取、産業タイプでは全量買取と決められています。

余剰買取制度では、その時間に発電された電力のうち、使われなかった分だけを電力会社に買い取ってもらえます。家族が外出する昼間や休日などは買い取り量が増える、ということですね。

対して全量買取制度では、発電された電力全てを電力会社に売ることになります。太陽光発電で利益をあげることに特化していると言えます。

基本的に、住宅に設置するのはやはり住宅タイプのものになります。大量の電気を発電させるためにはそれなりの大きさの発電モジュールがいりますし、設置費用も高額になりがちです。

この条件を一軒家でクリアするのは現実的ではないので、選択肢としては住宅タイプしかないと言えるでしょう。

これから太陽光発電システムを設置するのは損?

売電価格が年々下がっていると聞くと、これから太陽光発電システムを設置するのは損なのではないか?と思ってしまいますよね。

さらに、国や自治体からの補助金制度も終了フェーズに入りつつあります。実際、国からの補助金は平成26年に終了しており、現在のところ復活の見込みはありません。

自治体によってはまだ補助金制度を実施しているところもありますが、こちらも次第に終了していくのではないかと予想されています。

ただ、売電価格が下がり、補助金がなくなったからといって、太陽光発電にはもう旨味がないとは一概には言えません。

というのも、太陽光発電システムの設置費用も年々安価していっているためです。2009年度に売電価格を決める際、10年で設置費用を回収できるように、ということを参考に価格が決定されました。

少なくとも10年間は同じ価格で電気を買い取ってくれる固定買取価格制度は、この目標を確実に達成するために設定された制度だと言えます。

現在、発電システムの設置費用は10年前の3分の1になったと言われています。具体的な相場でいうと、100万円から150万円程度ですね。

導入費用が小さくなったぶん、売電価格が多少下がろうとも10年間でその費用を回収することはそう難しいことではありません。

むしろ、ずっと同じ売電価格が続けば、初期に設置した人のほうが投資費用が大きいので、不公平感が発生してしまいますよね。

ですから、設置時期に関わらず全ての人が同じくらいのメリットを得られるよう、売電価格は適切な値に調整されているのです。

設置価格が安くなったということは、必要な初期費用も少なくなったということですから、太陽光発電システムを設置する住宅はさらに増え続けるかもしれません。

これからも売電価格は下がり続けると予測されている

2009年以降、売電価格は右肩下がりになっていますが、この傾向はこれからも続くと考えられています。

ただ、電力自由化によって売電価格が影響を受ける可能性は大いにあります。

たとえば、太陽光発電による電力を買い取る業者が増えず、かつ激しい価格競争が起こった場合、売電価格も買いたたかれることになり、現在予想されているよりも早いスピードで価格の下落が始まるでしょう。

逆に、電気買取を行う業者が増えれば、より高い売電価格を提示する業者が現れやすくなり、価格の下げ止まり、さらには上昇が起こるかもしれません。

もちろん、今の水準のまま徐々に価格が下がっていくことも十分考えられます。いずれにせよ、現時点では確実なことは言えないので、大きなリスクを背負いたくないならば、なるべく早めに導入してしまったほうがいいのかもしれませんね。

まとめ

売電価格は下がり続けていますが、太陽光発電システム設置にかかるコストも同じく下がっていることを考えれば、以前と比べて損であるとは言い切れません。

ただ、国の補助金制度の終了、これからも売電価格が下がり続けることから、太陽光発電の市場は縮小していく可能性があります。市場が小さくなれば大手メーカーが撤退し、設置費用が増大してしまうかもしれません。

そうなれば本格的に太陽光発電システムを設置する旨味がなくなってしまうので、導入を検討しているならば、導入しない、するに関わらず、なるべく早いうちに決断をしてしまうべきとも言えるでしょう。