数ある土地活用法の中でも、初期費用が少なく低リスクとされているのが月極駐車場経営です。
仮に失敗したとしても初期費用が少ないので損失が小さく、建物を建てるわけでもないため更地に戻しやすく、とにかく後戻りがし易い土地活用法であり、リスクを負いたくない方には特におすすめです。土地をすでに持っている場合、実質利回りが50%を超えることも珍しくありません。
しかし、低リスクだからといって深く考えずに取り組むと、せっかくの土地を十分に活かしきることが出なくなってしまいます。今回は月極駐車場経営のメリットとデメリット、始める際の注意点や利回りなどをまとめてご説明したいと思います。
目次
月極駐車場は1ヶ月契約で貸し出す駐車場
月極駐車場とは、読んで字のごとく月単位で契約するタイプの駐車場です。これに対して、数十分~数日程度のより短いスパンで貸し出す駐車場はコインパーキングと言います。
コインパーキングの主な顧客が一時的に自動車を止めたい人であるのに対して、月極駐車場の主な顧客は継続的に自動車を止めたい人です。
継続的に自動車を止めたいというニーズは都市部で個人が駐車場を確保しづらい住宅地などに多く、そうしたところに月極駐車場を作れば十分にニーズを吸い取ることができるでしょう。
月極駐車場経営のメリット
月極駐車場経営は、他の土地活用法と比べて様々なメリットがあります。
初期費用がほぼかからない
月極駐車場経営の最大のメリットは、初期費用がかからないので資金があまりない個人でも始めやすいことです。そもそも駐車場経営自体が建物を必要とするものではないため(大掛かりな立体駐車場などは除きます)、必然的に初期費用はアパート・マンション経営などと比べて少なくなります。
さらに月極駐車場の場合はコインパーキングなどと違って精算用の機械やロック板なども必要ないため、初期費用はさらに少なくて済みます。土地活用に興味はあるけれど、極力初期費用を抑えたいという方には月極駐車場がおすすめです。
収入が安定しやすい
月極駐車場はある程度の長期的な契約が見込めるため、一度契約してくれる顧客が見つかればそこからは安定的に収入収入を得やすいです。
また、ある程度規模が大きい土地ならば、駐車場のほうがアパート・マンションよりも最大契約件数(駐車場台数、戸数)が多くなるため、1つの契約解除で負うダメージが小さくなります。
コインパーキングはお客さんの出入りが激しいため、うまく行けば大きな収益が見込める反面、失敗するとほとんど無収入になってしまうリスクもあります。
賃料未払いのリスクが少ない
アパート・マンション経営の大きなリスクが賃料の未払いです。アパート・マンションでは、借地借家法という法律で借主の権利が大きく保護されています。
そのため、すぐに追い出したり、回収したり、一方的に契約を解除したりすることは出来ません。回収するために弁護士などの協力が必要になるケースもあり、その場合は費用がかかるぶん収益が少なくなってしまいます。
コインパーキングの場合は基本的に賃料は後払いなので、料金未納のまま出庫されたり、無理やり出庫しようとして設備が壊されたりする可能性が考えられます。
一方、月極駐車場は原則として前払いなので、賃料未納のリスクは殆どありません。加えて駐車場は借地借家法の対象外であるため、契約を一方的に解除することも可能です。例えば滞納を繰り返したり、マナー面で問題があったりする利用者は経営者の都合だけで追い出せるのです。
更地に戻しやすい
駐車場経営は前述の通り、貸主の都合で一方的に契約を解除することが可能です。つまり、辞めたくなったらいつでも辞められるわけです。経営を始めてみたもののうまく行かなかった場合、駐車場経営で手に入れた賃料を元手にアパート・マンション経営を始めたい場合などは、簡単に更地に戻せます。平均的な広さの月極駐車場の場合、概ね1週間程度で完全に更地に戻すことが可能です。
土地を保有しているけれど活用方法が思いつかない、アパート・マンション経営をしたいけれど資金が足りないという場合は、短期間で更地に戻すことを前提に駐車場経営を始めてみてもいいでしょう。
狭小地や変形地でも活用しやすい
狭小地とは狭い土地、変形地とは正方形や長方形などのきれいな形ではない土地のことです。狭小地と変形地はどちらもアパート・マンションが建てづらいですが、駐車場ならばそのような心配はありません。
住宅地で成功しやすい
月極駐車場に適した土地は住宅地です。月極駐車場の主な顧客は家の中に駐車場が確保できない人たちですので、そうした人が多そうな土地に月極駐車場を出せばお客さんを集めることは難しくないでしょう。
たとえ駅から離れていても、比較的大きなマンション群の近辺や、住宅が増え始めている新興住宅地ならば、成功する可能性は高いです。
月極駐車場経営のデメリット
以上のように様々なメリットがある月極駐車場ですが、もちろんデメリットもあります。デメリットを理解せずにメリットだけに目を向けてしまうと、経営を始めた後にこまることになります。
得られる賃料は少ない
月極駐車場経営で得られる賃料は、アパート・マンション経営やコインパーキングよりも少ないです。
月極駐車場の賃料は地域にもよりますが、東京駅近辺のような超一等地では5万円、政令指定都市ならば1万円~3万円、もっと人が少ない地方だと5000円~1万円程度が目安となります。
駐車場に留められる台数は概ね坪数÷7で計算できるので、例えば30坪(約96m2)だと30÷7=4.2…≒4台となります。仮に政令指定都市内で4台止める駐車場を作った場合、常に満車でも毎月得られる賃料は4万円~12万円程度にしかなりません。
一方、同じ面積の土地にアパートを建てる場合、1階につき2戸は確保できます。仮に2階建てにすれば全部で4戸、1室あたりの賃料が6万円だとすえば毎月得られる賃料は24万円になります。同じ面積の土地ならば、アパート・マンションのほうが得られる賃料は高くなりやすいといえるでしょう。
なお、コインパーキングの賃料は時間単価で換算すれば月極駐車場の2倍程度になることが多いです。つまり、ずっと満車やそれに近い状態を維持できるならば、コインパーキングのほうが得られる賃料は多くなるわけです。月極駐車場は安定性や初期費用の少なさと引き換えに、賃料も少なくなる土地活用法だと覚えておきましょう。
固定資産税の節税効果がない
土地の上にアパート・マンションなどの賃貸物件を建てた場合、土地が「住宅用地」という扱いになります。住宅用地として認められた土地は、固定資産税評価額が最大で6分の1に減るため、毎年支払わなければならない固定資産税大きく減らすことが出来ます。
一方、駐車場にした土地は住宅用地とは認められないため、固定資産税はそのままです。例えば現在アパート・マンションを経営していて、その土地を駐車場にする場合は、その年から固定資産税が高くなるため注意しましょう。
個々の立地条件に左右されやすい
月極駐車場は基本的に住宅地で成功しやすい土地活用法です。言い換えれば、住宅地以外では成功しにくいともいえます。商業地では月極駐車場よりもコインパーキングのほうが需要があることが多いので、そちらを経営した方がいいでしょう。
また、月極駐車場経営の成否は住宅地家商業地かといった大雑把なくくりだけではなく、個々の立地条件にも大きく左右されます。特に大きな影響を与えるのが車の入りやすさです。住宅地の駐車場があまり多くないところに月極駐車場を作っても、車が入りにくい狭い路地にしか面していないと、それだけで避けられる原因となってしまいます。
また、交通量が少なすぎる土地ではそもそも月極駐車場があることに気がついてもらえない可能性があります。逆に交通量が多すぎても入りにくいのが悩みどころです。立地の良し悪しは素人が判断するのは難しいので、駐車場管理会社の意見も参考にするといいでしょう。
月極駐車場の管理形態は2種類
月極駐車場の管理形態は、一括借上(サブリース契約)と管理委託に分けることが出来ます。一括借上とは、駐車場管理会社に駐車場をまるごと貸し出し、その見返りとして毎月一定の賃料を受け取る管理形態です。駐車場の管理や運営はすべて駐車場管理契約会社が行います。
駐車場の稼働率にかかわらず毎月一定の賃料を得られるというメリットがありますが、稼働率が上がっても利益は増えません。
一方、管理委託とは、駐車場経営で発生する様々な業務、例えば契約や賃料の回収などをすべて駐車場管理会社に委託し、その見返りに管理会社に報酬を支払うという管理形態です。
稼働率に収益が左右されるためややハイリスクですが、稼働率が高くなれば一括借上よりもオーナーの収入は多くなります。
一括借上と管理委託はどちらがお得?
一括借上の場合、オーナーが毎月得られる収入は稼働率が100%だった場合に得られる賃料収入の80%程度に調整されることが多いです。例えば、駐車場台数が10台、1台あたりの月額賃料が2万円だった場合、オーナーの月間収入は2万円×10台×80%(0.80)=16万円となります。
一方、管理委託契約の場合、毎月得た賃料の5%程度を管理委託報酬として支払う必要があります。例えば、駐車場台数が10台、1台あたりの月額賃料が2万円、月間稼働率が100%だった場合、管理委託報酬は2万円×10台×100%(1.00)×5%(0.05)=1万円となります。
したがって、オーナーの手元に残る月間収入は20万円-1万円=19万円となり、管理委託契約のほうが収入が多くなります。
しかし、これはあくまで月間稼働率が100%であった場合です。仮に月間稼働率が80%だった場合、管理委託報酬は2万円×10台×80%(0.80)×5%(0.05)=8000円となります。
したがって、オーナーの手元に残る月間収入は16万円-8000円=15万2000円となり、今度は一括借上のほうがお得になります。稼働率が高い場合は管理委託契約が、稼働率が低い場合は一括借上のほうがお得になる、というわけです。
では稼働率が心配ならば必ず一括借上げを選ぶべきかというと、必ずしもそうとはいえません。一括借上は将来的に賃料自体を下げられてしまう心配があるからです。
例えば、ある駐車場管理会社は、借り上げ期間30年、定額賃料は10年という形態で一括借上契約を提供しています。
借り上げ期間は30年になるけども、賃料が固定されるのは最初の10年間だけ、というわけです。この場合、11年目以降は稼働率に応じて賃料が下げられてしまうリスクがあります。
もともと10年以下の期間しか駐車場として活用しないという場合はそれでも特に問題ないかもしれませんが、長期的な経営を考えている場合は注意が必要になります。
月極駐車場の賃料は周辺相場に合わせるのが基本
月極駐車場の賃料の決め方に決まったルールはありませんが、高すぎれば当然お客さんが集まりませんし、安すぎればお客さんは集まっても赤字になってしまう可能性があります。一体賃料はどのようにして決めればいいのでしょうか。
最も基本的な方法は、周辺の月極駐車場の賃料を参考にする、というものです。周囲の月極駐車場よりも明らかに高い金額にしてしまえば、当然お客さんは集まりません。しかし、余り周囲の月極駐車場より安くしてしまうと、過度な価格競争が発生して共倒れしてしまう可能性があります。
そのことを考えると、周辺の月極駐車場に溶け込むような賃料をつける、というのが最も穏当と言えるでしょう。
ただし、月極駐車場の適正賃料は個々の立地によっても左右されます。例えば、立地的には非常に近くても、道路に大きく接していて入りやすく出やすい駐車場と、狭い道路に少ししか接しておらず入りにくく出にくい駐車場では、当然お客さんは前者を選びます。
また、砂利敷の駐車場とアスファルトの駐車場では、後者のほうが好まれます。このような個々の要素も加味して賃料を決めるといいでしょう。賃料に関しては管理委託先に相談することも可能ですので、彼らの力も借りて適切な価格を決めましょう。
周辺に駐車場がない場合は地価公示価格の5%前後が目安
周辺に駐車場がなく、相場そのものが存在しない場合は、周辺の地価公示価格を参考にするといいでしょう。地価公示価格は毎年国土交通省が発表している、1m2あたりの地価の目安です。調査の対象となる標準値は全国に約2万5000地点あります。
地価公示価格は土地の取引価格を直接左右するものではありませんが、複数人数の不動産鑑定士が割り出した価格であるため信頼性が高く、国や地方公共団体なども用地買収の際に参考にしています。特別な事情がある土地でない限り、地価公示価格と実際の取引価格はそう大きく乖離することはないと考えて構いません。
目安はズバリ、地価公示価格の5%です。例えば、その土地の地価公示価格が20万円という場合、月額賃料は20万円×5%(0.05)=1万円となります。
月極駐車場の初期費用は整地の種類や設備に左右される
月極駐車場を始めるに当たっては、まずは土地を駐車場として使えるように整地しなければなりません。月極駐車場の整地方法は大きく
- 砂利敷き
- アスファルト敷き
- コンクリート敷き
の3つに分類できます。下に行くほど使いやすくなりお客さんの満足度も上がります。満足度が上がれば、その分賃料も上げられます。
しかし、下に行くほど整地に費用もかかるため、費用をかけたくない、短期間で更地に戻したいという場合は砂利敷でもいいでしょう。
また、駐車場内に車止めブロックを整備したり、屋根をつけたり、照明をつけたり、歩道を切り下げたりすれば、その分だけ費用が高くなります。
設備を充実させれば賃料を高く出来ますが、例えば低所得者層が多い地域にグレードも賃料も高い駐車場を作っても人は集まらないでしょう。立地に応じて適切なグレードを見極めることが大切です。
整地費用の目安
まずは駐車場の舗装費用を見ていきましょう。整地と一口に言っても掘削や残土処分、砕石材料の購入、転圧作業など様々なプロセスがありますが、それらをまとめて考えた場合の目安は以下のとおりです。
- 砂利敷:2000円/m2
- アスファルト舗装:5000円/m2
- コンクリート舗装:8000円/m2
例えば、アスファルト舗装で100m2の場合、舗装にかかる費用は5000円/m2×100m2=50万円となります。
区画にかかる費用
駐車場には区画、つまり1台毎の駐車スペースを明確にするラインが必要です。砂利敷の場合は区画用のロープ、アスファルト舗装やコンクリート舗装の場合はラインを引くことが一般的です。
区画用ロープのなかでもよく使われるのはトラロープという黄色と黒の縞模様のロープで、50円/m程度の価格で買えます。また、ロープを固定するための道具(ペグ)は1本200円程度です。ロープは自分で張ってもいいですし、業者に任せても構いません。業者に任せる場合、費用は5万円程度になるでしょう(広さにも左右されます)。
ラインを引く場合は素人が行うのは難しいので、業者に任せることになります。単価は業者次第ですが、1台につき5000円程度になることが多いです(広さにも左右されます)加えて番号を付ける場合は、文字数×数百円程度の費用がかかります。
歩道の切り下げ費用
歩道の切り下げとは、歩道と車道の間に段差がある場合に行う工事です。段差の解消にブロックなどを利用している駐車場も多いですが、これは明確な道路法違反になるので辞めましょう。切り下げ工事にかかる費用は30万円~50万円程度です。
月極駐車場のランニングコストは税金と管理委託報酬が大半
月極駐車場はアパート・マンションと違い建物がないため管理は非常に楽で、短期的には補修などが必要ありません。長年使い続ければそれなりにガタも見られるようになりますが、補修工事の費用が最初の工事の費用を上回ることはまずありえないので、過剰に心配する必要はありません。
一方、前述の通り駐車場は住宅用地ではないので固定資産税評価額が減額されず、その分固定資産税が高くなります。月極駐車場経営のランニングコストの殆どは税金であると行っても過言ではありません。
管理委託報酬
管理委託契約を結ぶ場合は、駐車場管理会社に管理委託報酬を支払う必要があります。月極駐車場はコインパーキングと比べて人の出入りが少なくトラブルもあまり起きないため、自分で管理してもいいですが、規模が大きい場合や本業が忙しい場合は駐車場管理会社に任せたほうが安心です。相場は賃料収入の5%程度です。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税は毎年1月1日の時点で固定資産(土地や家屋など)を所有している人が納税義務者となる税金です。固定資産税はすべての固定資産に、都市計画税は市街化区域内の固定資産にかかります。市街化区域に駐車場を所有している場合は、固定資産税と都市計画税の両方を支払うことになります。
税額は固定資産税が固定資産税評価額の1.4%、都市計画税が原則0.3%(市区町村により異なるが、0.3%を超えることはない)です。
市街化区域の場合、最大で固定資産税評価額の1.7%を支払うことになります。固定資産税評価額は実勢価格の70%程度になります。例えば市街化区域の土地の固定資産税評価額が2000万円の場合、固定資産税・都市計画税の合計は2000万円×1.7%(0.017)=34万円となります。
所得税・事業税・住民税
駐車場経営は事業なので、所得に対する税金がかかります。個人事業主として事業を行う場合、国に所得税、都道府県に事業税と住民税を支払うことになります。所得税は所得が大きくなるほど税額も高くなる累進課税制度(最大で40%)、事業税は原則5%(控除あり)、住民税は原則10%(控除あり)となっています。
補修費用
補修費用が必要になったときに困らないように、しっかりとキャッシュを用意しておきましょう。
利回りを計算してみよう
月極駐車場経営の利回りをシミュレーションしてみたみましょう。条件は以下の通りとします。実質利回りを高く見せるために非現実的な設定をしたわけではないので、安心して読み進めてください。
- 面積:100坪(約320m2)
- 駐車台数:14台
- 稼働率:90%
- 立地:政令指定都市の市街化区域
- 土地の固定資産税評価額:8000万円
- 舗装:アスファルト舗装
- 歩道切り下げ:1箇所
- 月額賃料:2万円
- 管理形態:管理委託契約(管理委託報酬5%)
- 確定申告:青色申告
賃料収入
まずは賃料収入を計算します。月額賃料が2万円、駐車台数が14台、稼働率が90%なので、年間賃料は2万円×14台×12ヶ月×90%=302万4000円となります。
初期費用
次に初期費用を計算していきましょう。アスファルト舗装の場合費用は5000円/m2が目安なので、舗装にかかる費用は5000円/m2×320m2=160万円となります。
区画にかかる費用はライン引きが5000円/台が目安なので、5000円/台×14台=7万円となります。
歩道切り下げ費用は30万円~50万円なので、今回は間を取って40万円とします。
すると、初期費用の合計は160万円+7万円+40万円=207万円となります。
ランニングコスト
次にランニングコストを計算していきます。管理委託報酬は賃料収入の5%なので、302万4000円×5%(0.05)=15万1200円となります。
固定資産税・都市計画税は合計で固定資産税評価額の1.7%なので、8000万円×1.7%=136万円となります。
所得税・事業税・住民税は非常に計算が複雑です。まず、事業税は所得(賃料収入-経費)が290万円を超えない場合はかかりません。今回の例の場合賃料収入は302万4000円で管理委託報酬が15万1200円なので、所得は290万円を超えず、したがって無税となります。
所得税と住民税については、シミュレーションサイトで計算します。今回はスピモバの個人事業主のかんたん税金計算シミュレーションを利用します。このシミュレーションによれば、所得税額は9万4000円、住民税額は19万4000円となります。
補修費用についてはめったに発生しない上費用も余りかからないので、とりあえず今回は無視します(計算上無視するだけであって、補修費用が発生しないわけではないので注意が必要です)。
すると、ランニングコストの合計は15万1200円+136万円+9万4000円+19万4000円=179万9200円となります。
駐車場経営における実質利回り
ここまでの計算結果を確認してみましょう。
- 賃料収入:302万4000円
- 初期費用:207万円
- ランニングコスト:179万9200円
一方、実質利回りは以下の式で計算できます。
実質利回り=(賃料収入-ランニングコスト)÷初期費用×100%
したがって、この場合の実質利回りは
(302万4000円-179万9200円)÷207万円×100=59.1%
となります。2年あれば初期費用分は回収できるという計算になります。
これだけ見てみれば、駐車場経営は非常においしい投資に見えます。しかし、このシミューレーションはあくまでも土地をすでに持っていると仮定した上での結果です。
土地を持っていない場合は土地の購入費用が初期費用に上乗せされるため、実質利回りは低くなります。固定資産税評価額が8000万円の土地の実勢価格は概ね1億1400万円です。この場合、実質利回りは以下のようになります。
(302万4000円-179万9200円)÷(1億1400万円+207万円)×100%=1.05%
これでは初期投資分を回収するのに90年以上かかってしまい、とても割に合うものではなくなってしまいます。駐車場経営はあくまでもすでに所有している土地を活用するためのものであり、そうでない場合は手を出さないほうがいいでしょう。
まとめ
- 月極駐車場経営は少ない初期費用で始められる
- 月極駐車場は狭小地や変形地でも経営しやすい
- 賃料は地価公示価格の5%程度が目安
- ランニングコストの殆どは固定資産税・都市計画税
- 実質利回りは50%を超えることも多いが、土地を所有していないと一気に下る
月極駐車場経営は少ない初期費用で大きな実質利回りを得られる、非常に有効な土地活用法です。現時点で土地を持て余しているという方は、ぜひ月極駐車場による土地活用を検討してください。