太陽光発電のメンテナンス費用は年間どのくらい?

2010年ごろから急速に普及した太陽光発電。ある程度の初期費用がかかるとはいえ、発電した電気を自家消費することで月々の電気代を抑えることができますし、余った分は電力会社に売却できるので、設置には大きなメリットがあります。

また、基本的にメンテナンスがあまり必要ないことも魅力的です。中には永久メンテナンスフリーを提唱しているメーカーも存在します。

ただ、永久にメンテナンスがいらないということはありえません。外部に取り付けるものである以上、経年劣化は避けられませんし、思わぬ不具合が生じ、修理が必要になることもあります。

太陽光発電のメーカーを総括している「一般社団法人 太陽光発電協会」も定期的なメンテナンスを推奨しており、それによると4年に1度の定期点検が必要であるとされています。

それでは、太陽光発電のメンテナンス費用は年間にするといくらくらいになるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。なお、以下の内容は住宅向けの太陽光発電について書いたものであり、産業用ではまた少し事情が変わってきます。

太陽光発電システムで必要なメンテナンスの種類は?

太陽光発電システムのメンテナンスの種類はそう多くありません。大きく分けて3つで、「定期点検」、「パワーコンディショナーの交換」、「電気メーターの交換」です。

これらは同時に行う必要はなく、定期点検は4年に1回以上、パワーコンディショナーの交換は故障時、売電メーターの交換は10年に最低1回です。

定期点検の頻度は義務化されているわけではありませんが、太陽光発電協会が発表している「太陽光発電システム保守点検ガイドライン【住宅用】」で4年に1回以上と推奨されているので、多くのメーカーもそれにのっとっています。

パワーコンディショナーの交換も義務ではありません。ただ、これが故障するとシステム全体が作動しなくなってしまうので、早急に取り換える必要があります。

最後の電気メーターの交換は法律で義務化されており、その頻度は先述したように10年に最低1回以上です。また、交換費用は設置者負担になることも知っておきましょう。

他にも、パネルの清掃や交換などにも費用がかかりますが、ソーラーパネルが故障することはあまりないので、そこまで考える必要はないでしょう。

万が一故障したとしても、パネルの保証期間は20年以上と非常に長いのが一般的なので、無償で交換できる可能性が高いです。

以下からは、各メンテナンスにかかる費用について解説していきます。

定期点検の費用は?

一般的な定期点検の費用は2万円程度です。基本的に設置を依頼したメーカーに頼むことになりますが、そのメーカーが倒産してしまっている場合などは、他の業者に依頼することになるでしょう。

定期点検は1年目、5年目、9年目と、4年ごとに行うことが先述したガイドラインで推奨されており、定期点検の内容もガイドラインで定められた通りに行うケースが多いです。

また、設置者による日常点検も推奨されています。全て目視だけで行えるので、毎日とはいわずとも定期的に設備が正常に動作しているかチェックするようにしましょう。

パワーコンディショナーの交換費用は?

パワーコンディショナーの交換費用の目安は20万円から30万円程度です。これは現在の相場なので、将来的にはもっと安くなる可能性が高いです。

実際、太陽光発電システムの設置費用や部品代はここ10年で大幅に安くなっており、この傾向はこれからも続くことが予想されているので、パワーコンディショナーの交換費用も安くなると考えるのが妥当でしょう。

ただ、具体的にいくらになるかまでは推測できないので、やはり20万円ほどで見積もっておくのがベストだと言えます。

パワーコンディショナは故障するまで持続的に使えますが、壊れてしまうと発電した電気を使えなくなってしまうので、早急に交換しなければなりません。

故障までの期間はまちまちです。早ければ7年ほどで壊れてしまいますし、物持ちがよければ15年程度使えることもあります。

故障の原因は人為的なものでなく、外部的な要因であることがほとんどなので、どれだけ持つかは正直運頼みだと言えるかもしれません。

メーカーによってはパワーコンディショナーの交換補償オプションを設定しており、加入すれば10年前後は交換時に補償が受けられます。もちろん、オプションの有効期限が過ぎたあとの交換は全負担です。

電力メーターの交換費用は?

電力メーターの交換は10年に一度と法律で定められています。また、その交換費用は全額設置者負担になることも知っておきましょう。

交換費用は電力会社によって異なり、相場は5万円から10万円程度です。パワーコンディショナーの交換と違い、こちらは交換のタイミングがわかっているので、日ごろから交換費用を貯金しておくとよいでしょう。

保障の延長費用

各メーカーはそれぞれ保障オプションを設定していますが、それらのほとんどは10年で期限切れとなり、以降も保障を受けたいなら延長を申し込む必要があります。

延長費用はメーカーごとに異なりますが、5年延長で1万円から2万円が相場です。この期間内に部品が故障しなければ捨て銭になってしまいますが、リスクヘッジのためにも延長しておくことをおすすめします。

メンテナンス費用を年間にするといくらくらい?

太陽光発電のメンテナンス費用は、あるタイミングで大きな金額がかかることになります。それでは年間に直すといくらくらいの費用になるのでしょうか?こちらのほうがイメージしやすいでしょうから、換算して考えてみましょう。

購入から10年後であると仮定して、定期点検は1年目、5年目、9年目の3回、パワーコンディショナーの交換が1回、電気メーターの交換が1回あったとしましょう。また、保障の延長も申し込んだと想定します。

このケースで、メンテナンス費用が相場通りであったとすれば、定期点検費用が2万円×3回で6万円、パワーコンディショナーの交換費用が20万円、電気メーターの交換費用が8万円、保証延長が1.5万円となり、合計費用は35.5万円となります。

これを10で割れば1年あたりのメンテナンス費用を算出でき、この場合は約3.5万円となりますね。この金額はパワーコンディショナーが故障するかどうかによって大きく左右されます。

10年であればまだ保障も生きているでしょうから、もし故障してもここまでの金額はかからない可能性が高いです。

パワーコンディショナーが故障しなかったケースを考えると、10年間でメンテナンス費用は15.5万円となり、これを年間に換算すると約1.5万円となって、故障したケースの半分以下のメンテナンス費用で済むことになります。

太陽光発電の導入前には見積もりをしっかり取っておこう

太陽光発電は10年で投資費用が回収でき、そのあとは黒字で運用できると言われています。ただ、この言葉を真に受けて、何も考えずに設置しようとするのはおすすめしません。

初期費用はいくらくらいかかるのか、長い目で見たときのメンテナンス費用はどのくらいか、そしてしっかり黒字化できるのか、最低このくらいは見通しを立てたうえで導入を検討しましょう。

そのためには必ず見積もりを取ってもらうことをおすすめします。また、見積もり内容についてわからないことがあれば積極的に質問し、あいまいな部分を残さないようにしましょう。

太陽光発電システムの設置費用は決して安くありませんし、長期的に運用していくものですから、自分が納得できる条件での設置を目指してくださいね。

まとめ

メーカーの営業マンに太陽光発電はメンテナンスフリーで、絶対黒字になるお得な設備ですよ、なんて言われても騙されてはいけません。売電価格は年々低下しているため、将来性まできっちり考えてから契約することが必要です。

メンテナンスも絶対に必要ですし、周辺環境によっては発電効率が上がらず、初期費用を回収することすら難しくなることもあります。

見積もりをとってもらったうえでよく吟味し、あとで後悔することがないようしっかり考えてから導入を決定してくださいね。