中古マンションを売却するときは、周辺の相場価格を参考にして価格を決定しましょう。
相場よりも安い価格を設定すれば売れやすくなりますが、その分得られる利益は少なくなってしまいます。
なかには、マンションの売却価格を不動産業者に言われるままに決定している方もいるでしょう。
しかし、それでは相場より不当に安く売却しなければならない羽目になってしまったり、価格が高すぎてなかなか買い手が見つからなかったりする可能性もあります。
そこで今回は、所有者自身がマンション価格の相場を理解し、できるかぎり相場より高くマンションを売却するためのコツをご紹介したいと思います。
マンションの相場を自分で調べる3つの方法
まずは、マンションの相場を自分で調べるための一般的な方法を3つ、ご紹介しましょう。
REINS Market Information
(http://www.contract.reins.or.jp/)
こちらは、過去の不動産売買における成約価格を調べられるサイトです。最初に都道府県と大まかな地域を指定すると、築年数ごとに過去の成約価格がグラフで表示されます。
そこからさらに間取り、専有面積などで絞り込みをかければ、自分が保有するマンションと同等条件での過去の成約価格、つまりは相場価格を調べることが可能です。
ただし、マンション売買ではたとえ条件が同じであっても、売却価格もまったく同じになるというケースは稀なため、こちらで調べられる相場価格はあくまで参考価格だということを忘れないでください。
土地総合情報システム
(http://www.land.mlit.go.jp/webland)
過去の不動産売買価格や、地価公示・都道府県地価調査の価格を調べられるサイトです。国土交通省が運営しているため、安心して利用できます。
利用する際は、まず「取引が行われた時期」と「取引の種類」を選択してください。マンションの場合は「中古マンション等」を選びます。
住所、あるいは鉄道の路線を選択すると条件に該当する過去のマンション売買価格が一覧で表示されるので、自分の条件に近いものを探せば相場価格を知ることが可能です。
不動産ポータルサイト
一般的な不動産ポータルサイト(不動産情報サイト)でも、価値相場を調べることができます。
今現在、自分が売りたいマンションと同じ条件で物件検索し、今現在の売値を調べればいいわけです。具体的な探し方はサイトにより異なるので詳細は省きますが、利用者にとってはもっとも手軽な方法かもしれません。
ただし、この方法にはいくつか注意しなければならない点もあります。たとえ条件が同じだとしても、「現在売りに出されているマンションの価格」はあくまでもそのマンションの売主が「この価格で売りに出したい」と考えて価格設定したにすぎません。
つまり、同一条件における過去の成約価格とは差のある価格が設定されている可能性もあるのです。
相場価格を調べる際の注意点
このように、マンションの相場価格を調べる方法はいくつかあります。実際には、「違う方法で調べたら、それぞれの相場価格が異なっていた」という状況もあり得るでしょう。
相場価格はあくまでもマンションの売却価格決定における「基準のひとつ」にすぎません。それを基準にして、マンションの価格をどのように設定するかが重要だということを覚えておいてください。
また、以上のような方法で相場価格が調べられないときや、ほかの方法を試したい場合は、路線価や公示地価を利用しても参考程度の情報は得られます。
同じ都道府県、同じ地域の路線価、公示地価を調べて、「ほぼ同等の地価の場所に立っている同じようなマンションの価格」を調べるという方法です。
「路線価・地価が同じ」ということは、「マンションの立地に対する評価がほぼ同等」といえるはずなので、相場価格より確実性は劣るもののひとつの基準になり得る物件価格は調べられるでしょう。
マンションの相場を決める要素とは…?
マンションの相場は、どのような要素によって決定されるのでしょうか?挙げていけばキリがありませんが、特に影響力が強いものをまとめると主に次の3要素に分類できます。
立地条件
最寄り駅など公共交通機関からの距離、周囲の交通量や治安、公共施設の充実ぶりなど、「そのマンションがある土地は、どれだけ生活利便性が高いか」は極めて重要な要素です。
当然ながら、生活利便性が高いエリアにあるマンションの方がより人気は高くなり、相場価格も高くなります。マンションの相場を決める要素全体の中でいうと、立地条件はマンションがある場所、土地に根ざした要素であるといえるでしょう。
建物の仕様
部屋の階数、日当たりの良し悪し、専有部分の面積など、マンション建物自体の仕様に依存する部分も相場価格が決まる上で重要な要素です。ほかにも、築年数、共用部分の品質、防音効果といった物件情報もこの要素に含まれます。
いくら立地条件がいいからとって、マンション自体のクオリティが低ければ買い手はなかなか見つからないはずです。言い換えると、相場価格を参考に実際の売値を決める際は「建物の仕様が、相場と比べて劣っているか、勝っているか」に注意する必要がある、ということになります。
利用希望者の需要
「利用希望者の需要」とは、「そのマンションに住みたい人がどのくらいいるか?」を示す要素です。基本的には、立地条件と建物の仕様がどちらも良ければ利用を希望する人はたくさん見つかるでしょう。
ですが、立地条件や建物の仕様以外にも需要を左右する要素があることは覚えておきましょう。たとえば、売りたいマンションが「ここ数年住みたい土地として人気の場所」にあるのなら、従来よりも利用者の需要は高まっているかもしれません。
また、「子育て世帯向けマンションが少ない土地にある、子育てに適した間取りのマンション」のように、たまたま同一条件内で人気を集めやすい建物の仕様を備えている場合も高い需要が生じる可能性があります。
相場より高くマンションを売却するには…?
マンションの相場が決まる仕組みがわかったところで、どうすれば相場よりも高くマンションを売却できるのか、具体的な方法をご紹介しましょう。
複数の仲介業者に査定依頼する
通常、中古マンションは不動産会社などの仲介業者を通じて売りに出されます。どの仲介業者を選ぶかによって、最終的な売却価格も変わるので、業者選びはとても重要です。
依頼する業者を決めるために、まずは複数の仲介業者に対して査定を依頼しましょう。査定を依頼すると「マンションを売る意志がある」と見なされ、営業電話がかかってくる場合もあるので注意してください。
ちなみに、仲介業者から提示される査定価格も、相場価格を参考にして算出されます。過去の成約価格に近い査定額がそのまま示される場合もあれば、現在の受給を反映して相場より安めの金額が提示される場合もあるでしょう。
あるいは、契約を取るためにわざと高めの金額が提示されることもあります。
不動産一括査定サイトを利用すれば、簡単に複数の業者に査定してもらえるので、平均価格も把握でき、交渉する際に有利になります。
仲介業者と媒介契約を結ぶ
査定金額が各業者から出揃ったら、次は媒介契約(仲介を依頼する契約)を結ぶ業者を決めます。媒介契約には主に以下の3種類があるので、どの業者と契約したらどの契約方式になるのか事前に確認しておきましょう。
①専属専任媒介契約
契約期間3ヶ月以内、1週間に1回以上依頼者への報告義務あり。他業者への媒介契約は不可。指定流通機構への登録義務あり。契約したら依頼主が自力で購入希望者を見つけることはできない。
②専任媒介契約
契約期間3ヶ月以内、2週間に1回以上依頼者への報告義務あり。他業者への媒介契約は不可。指定流通機構への登録義務あり。依頼主が自力で購入希望者を見つけても良い。
③一般媒介契約
契約期間は無制限、依頼者への報告義務なし。他業者への媒介契約は可能。指定流通機構への登録は任意で、依頼主が自力で購入希望者を見つけても良い。
特に、(専属)専任媒介契約と、一般媒介契約との違いが大きいので注意してください。
販売価格の見直しを行う
仲介業者を選んだら、販売価格を設定し買い手を募集します。販売価格は終始同じ価格を設定するのではなく、最初は高めの価格を設定しておき、需要を見ながら少しずつ下げていくという方法を取ります。
逆に問い合わせ件数が10件以上あるなら、成約の瞬間が近いと考えてください。毎週、問い合わせ件数をチェックしながら、必要に応じて値下げしていけば、いずれ受給のバランスが取れたときに売却が成立するはずです。
内覧会に力を入れる
売買が成立する前に、問い合わせがあった購入希望者に売却するマンションの実物を見せる「内覧会」があります。この内覧会は、購入希望者と直接顔を合わせて住宅の魅力をPRできる貴重な機会です。売買成功のためには積極的に活用していきましょう。
内覧用のパンプレットやホームページ資料を用意するなど、仲介業者のPR資料とは別に物件の内覧を歓迎している旨を購入希望者に訴える情報提供を行うのも重要です。資料作成には手間や時間もかかりますが、その分、高い価格でマンションが売れる可能性も高められます。
内覧の際は、購入希望者への印象が良くなるよう、室内の美化に努め、できる限り魅力的に見えるようにしてください。こうした努力がマンションを少しでも高く売るためのカギを握っているのです。
まとめ
マンションの相場と、売却価格についてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?最後に全体の流れを振り返っておきましょう。
マンションの相場価格は、いくつかのサイトを利用すれば調べることができます。
一般的には、過去の同一条件における成約価格、または現在同一条件で売りに出されている物件の売値が相場となります。相場を決定しているのは、主に立地条件、建物の仕様、利用者の需要という3つの要素です。
できるだけ高くマンションを売るには、複数の仲介業者で査定金額や仲介手数料を比較し、適切な業者を選んで媒介契約を結んでください。
中には、仲介手数料が無料の業者もありますが、サービスの質が悪い、買主から多めに手数料を請求するなどの場合もありますので、注意が必要です。
売りに出している間、最初は強気の価格を設定し、問い合わせ件数に応じて徐々に価格を下げていくという方法を取ると買い手が見つかりやすくなります。購入希望者に直接PRできる機会である、内覧会は積極的に活用してください。
以上のようなことに注意すれば、マンション売却は必ず成功するはずです。今お悩みの方もぜひ挑戦してみてください。自分だけでは分からないことも多いでしょうから、専門家に頼ることも大切です。