マンション売却時の仲介手数料を安く抑える方法

仲介手数料は、マンション売却時に発生する費用の中でも最も主要で、かつ負担の大きいものです。したがって、これからマンションの売却を検討されている方は、仲介手数料とはどのようなものなのか、相場金額はいくらなのかを知っておくと役に立ちます。

仲介手数料について詳しく知っておけば、費用を安く抑えることも可能です。

当記事では、マンション売却時の仲介手数料について、その仕組みや安くする方法をわかりやすくご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧になり、マンション売却をお得に成功させる方法を学んでください。

マンション売却時の仲介手数料について

最初に、マンション売却時の仲介手数料について、どのようなものなのか簡単にご説明しましょう。

仲介手数料とは?

マンションを売却する際は、基本的に売り手が自力で買い手を探したり、必要な手続きを行ったりするのではなく、不動産業者などに仲介を依頼するケースがほとんどです。

次の項目で詳しく説明しますが、不動産取引にはさまざまな段階で複雑な作業が必要であり、これを売り手が自力で行うのは大きな負担です。従って、不動産会社にこれらの業務の代行を依頼し、その対価を支払うというやり方が一般的になっています。

仲介手数料とは、この「マンション売却に伴い、売り手から仲介業者に支払われる料金」のことを指します。

マンション売却の基本的な流れ

マンションを売却する際、具体的にどのような手続きを進めていく必要があるのかご存じでしょうか?

マンションの売却は、ただ「売り手が買い手を募集して、見つかったら売買して終わり」というわけにはいきません。具体的には以下のような4つの手続きを順番にこなしていかなければいけないのです。

①売買準備と媒介契約

最初はマンション売却のための事前準備からスタートする必要があります。複数の仲介業者に価格査定を依頼し、査定金額や対応の善し悪しなどから媒介契約を結ぶ業者をどこにするのか決定しなければいけません。

同時に、最初の売出し価格も決定されます。なお、売出し価格は売出しの開始後、市場の需要に合わせて変更される場合が多いので注意してください。

②売出し開始から売り先決定

業者と価格の設定が済んだら、売出しを開始する段階です。購入希望者からの要望に合わせ、必要に応じて問い合わせや内見への対応を行わなければいけません。

マンションの売出し条件が購入希望者の要望と一致し、かつその時点での売出し価格に納得してもらえるようであれば、無事売り先は決定。売り手と買い手の間で売買契約を結びます。

③決済と引っ越し、引き渡し

売買契約に基づき、代金の決済など決済手続きが行われる段階です。決済が済んだら、買い手がマンションに引っ越してきます。買い手がマンションに入居し、鍵を渡すなどの引き渡し手続きが済めばこの段階は終了です。

④翌年の確定申告

マンションの売買契約は、代金を受け取って物件を引き渡して終わるわけではありません。売主は不動産売買によって所得を得たということになりますので、翌年の確定申告の際にその旨を記載する必要があります。普段自分で申告している方はともかく、そうでない方にとってはこの負担も決して無視できないでしょう。

仲介手数料を支払うタイミング

以上のようなマンション売却の4つの段階の中で、仲介手数料を支払うべきタイミングは決まっています。

まず、「②売出し開始から売り先決定」において、「売買契約を結んだとき」が支払うべきタイミングのひとつ目です。さらに、「③決済と引っ越し、引き渡し」において、決済を行う際にも仲介手数料の支払いが行われます。

一般的には、「売買契約成立時に半額、決済時に残りの半額」というふうに、2回に分けて仲介手数料の支払いが行われるパターンが多いと考えていいでしょう。

しかし、なかには決済時のタイミングに一括で仲介手数料を支払う方式を取っている業者もあります。実際には、利用する仲介業者がとっている方式に合わせて支払いを行うことになるでしょう。

仲介手数料の相場

さて、いよいよ仲介手数料の具体的な金額についてご紹介したいと思います。

まず仲介手数料の相場金額ですが、これは「法律で定められた上限額」を設定している業者が多いです。

仲介業者にとって、仲介手数料は「唯一の収入」に当たるもの。「可能ならできる限りたくさんの成功報酬をもらいたい」と考えるのは当然でしょう。

しかし、言い換えると売り手にとっては「仲介手数料で業者を比較して費用負担を抑える」ことが難しいともいえます。

後ほどご紹介するように、仲介手数料を安く抑える方法は存在しますが、「業者が一般公開している仲介手数料の金額だけを比較して、業者選びの基準にするのは難しい」ということだけ覚えておいてください。

仲介手数料の上限

具体的な仲介手数料の相場=法定上限金額を計算するには、以下の表を参考にしてください。

売買価格(税込み)仲介手数料
200万円以下5%+消費税
200万円を超えて400万円以下4%+消費税
400万円を超える3%+消費税

このように、売買代金が高くなるほど仲介手数料の割合は低くなっていきます(売買金額そのものは増えていくことになるので、最終的な支払額は増えてしまいますが)。

すでにお伝えしたように、この「法定上限」の金額こそが「仲介手数料の相場」であると考えて間違いないでしょう。

仲介手数料を安くするには?

利益を確保するため、「多くの仲介業者が法定上限と同じ価格を仲介手数料に設定している」ということはおわかりいただけたかと思います。

しかし、たとえ仲介手数料の標準的な価格が決まっていたとしても、費用負担を安く抑える方法はあります。具体的な方法をご紹介するので参考にしてください。

複数の仲介業者から見積もりを取る

利用する仲介業者を決定する前の段階、つまり、先にご紹介した「①売買準備と媒介契約」の段階においては、必ず「複数の仲介業者に見積もりを取る」ようにしましょう。

複数の仲介業者を比較する理由は、売値の査定金額を比べるのはもちろんのこと、仲介手数料の金額を比較するためでもあります。

「多くの仲介業者が法定上限を設定している」とはいいましたが、なかには法定上限よりも低い価格を設定している業者があるかもしれません。そういった業者を見つけ出すためにも、見積もりは複数社に依頼するべきです。

仲介手数料が半額・無料のところも

一部の業者に限られますが、仲介手数料が半額、もしくは無料に設定されている業者も存在します。すでにご説明したように、仲介手数料の値引きは業者にとって収入減を意味するはずですが、なぜこのようなことが可能なのでしょうか?

業者は、仲介手数料を売主からだけでなく買主からも受け取っています。したがって、「売り手側からは仲介手数料をもらわないが、買い手側には請求する」、あるいはその逆のパターンを取るといったことも可能なのです。

仲介手数料を無料に設定すれば費用負担をできるだけ抑えたい利用者が殺到するはずなので、利益を抑えつつたくさん利用者を増やす、いわば「薄利多売」のビジネスを展開していることになります。

こういった仕組みを導入できるのは、不動産取引の買い手、もしくは売り手を自社内で多く抱えているような仲介業者だけです。

こうした業者は売り手または買い手を新規に募集する必要がありませんので広告費を抑えられますし、同業他社に比べてコストダウンが可能になり、その部分を仲介手数料の引き下げという形で利用者に還元しているのです。

また、東京都心など物件需要が旺盛な地域に限定して展開している仲介業者も、需要の多さを背景に仲介手数料を減免した薄利多売のサービスを展開している場合があります。

安さだけで選ぶのはキケン!

以上のような説明を受けると、「なら、仲介手数料が半額や無料の業者を選べば良いんだな」と思われるかもしれません。しかし、そう考えるのは早計です。

業者からしてみれば、利用者が最も気にする点が仲介手数料の金額であることはわかっています。そして、多くの業者はその部分を「提供するサービスに対する正当な対価」と考えて法定上限と同じ金額を設定しているわけです。

つまり、「仲介手数料は安いが、サービスの品質は低い」という業者が存在する可能性もある、ということになります。

ですから、仲介業者を依頼するときは仲介手数料の金額だけを見て決めるのではなく、必ずサービスの品質を見て契約先を選ぶようにしましょう。

こちらからの問い合わせには丁寧に対応してくれるか、過去の実績は申し分ないか、利用者から満足の声は上がっているか、といったことを総合的に判断して業者を選ぶ必要があるのです。

仲介手数料の「値引き」を依頼する

仲介手数料の金額とサービスの品質を天秤にかけ、契約する業者にある程度目星がついたとしましょう。この段階においても、仲介手数料を安くするためにできることはまだあります。

たとえば、仲介業者A社とB社に見積もりを依頼したケースを考えてみましょう。見積もりの結果、A社よりもB社の方が仲介手数料は安いものの、サービスの品質を総合的に勘案して「A社に申し込みたい」と考えたとします。この時点で仲介手数料を安くしてもらえないかA社に掛け合ってみるのです。

「そちらと契約したいが、仲介手数料の金額がネックになっている。B社はこの金額を提示しているが、これと同じくらい安くしてもらえないか」というふうに、A社に問い合わせを行うのもいいでしょう。

もちろん、仲介手数料の金額は業者ごとのルールで定まっているものなので、簡単に値引きに応じてくれるとは限りません。しかし、可能性がある以上は何もしないよりもやってみる価値はあります。

「値引き」に応じてもらいやすい条件とは?

一部のケースでは、通常よりも業者が仲介手数料の値引きに応じやすいこともあり得るでしょう。

たとえば、「査定金額が高い・需要が高い土地の物件である・値引きに応じればすぐ契約できそう」といった場合は仲介手数料の値引きに応じてもらえる可能性も決して低くはありません。

査定価格が高いということは、仲介業者にとっては大きな利益が得られる顧客ということになります。「大きな魚を逃してはならない」という気持ちが、手数料の値引きを引き出すポイントになるかもしれません。

需要が高い土地の物件は、仲介業者にとっては競合他社との競争が激しい案件ということです。「多少利益が減ることになっても、他社に競り勝って実績を重ねたい」という思いは少なくないはず。こうした思いに便乗する形で値引きを提案するのは有効だといえるでしょう。

不動産取引は、媒介契約から成約までのステップが長いビジネスです。購入者が見つからなければ利益を挙げられないというリスクもあります。

したがって、「値引きに応じさえすればすぐに媒介契約を結ぶ」といった雰囲気を伝えておくことで、「利益は少ないが、確実に取れる契約を取っておこう」という業者側の気持ちを引き出す効果が期待できるはずです。

そういった意味で「短期間で契約できそう」と業者側に思わせることは重要な意味を持っています。

このように、仲介手数料はもともと安い業者を探すか、複数社を比較して媒介契約の前に値引きを提案するといった方法でできるだけ安く抑えることが可能です。

マンション売却時の費用は仲介手数料だけではない

マンション売却時に得られる利益と、発生する費用といえば、売却利益と仲介手数料がよく知られています。しかし、それ以外にも契約に伴う印紙の代金や、決済後に支払う税金として、印紙税・譲渡所得税・住民税などを必要になります。

他にも、クリーニング費用やリフォーム費用がかかりますし、住宅ローンを組んでいた場合は、抵当権抹消費用などもかかります。

こうした、マンション売却時に発生する仲介手数料以外のお金の流れについてくわしく知りたい方は、以下のリンク先にある記事を参考にしてください。

マンション売却時にかかる費用の相場と流れを解説
マンションの売却にはいろいろな工程があり、最終的な手続きが済むまで半年から1年かかることも珍しくありません。その間、さまざまな名目で...

まとめ

今回は、マンションの売却を考えている方のために、マンション売却時の仲介手数料をできるだけ安く抑える方法をご説明してきました。

仲介手数料は、マンション売買の業務を売り手に代わって手がける仲介業者に支払う手数料です。基本的に売買契約成立時と決済時の2日位に分けて支払われるケースが多く、多くの業者は法定上限の金額を設定しています。

仲介手数料を安く抑えるために重要なポイントは、複数の業者から見積もりを取ることです。

なかには仲介手数料が半額・無料の業者もいますが、総合的なサービスの質を考慮に入れた上で契約先を決定してください。その際、仲介手数料の値引きに応じてくれる可能性はないか、最後まで検討しましょう。

仲介手数料は、マンション売却に伴う費用の中でも最も負担の大きいものです。できる限り安く抑えてお得にマンション売却を成功させましょう!