住宅購入は決して安い買い物ではありませんから、売却するとなれば当時の購入価格にできるだけ近づけたいと慎重になるのは当然のこと。あらゆるものには、「売り時」というものがありますから、中古マンションもその例外ではありません。
「マンションを売りたいけど、できるだけ早く、高く売って得をしたい」
こんなふうに考えている方にとって、マンションの「売り時」は極めて重要なポイントになります。
今回は、マンションの売り時はどのように見極めればいいのか、どのようなタイミングで売るのが最も良いのかについて、その判断基準をご説明しましょう。
マンションの売り時を見極めるポイント
家の売り時とは、「もっとも高値で売れやすいタイミング」です。中古マンションの売り時を決定する要因はいろいろありますが、大きく分けて以下の3つに絞られます。
需要と供給のバランスで見極める
「需要と供給」はものの価格を決定する重要なポイントです。「今、この場所でマンションが欲しい!」と考えている人が多ければ多いほど、その土地でのマンション需要は高いといえます。従って、自身が売却したいマンションがある土地で不動産需要が高まるタイミングこそ売り時を判断するひとつの基準だといえるでしょう。
しかし、いくら需要が高くとも供給が過剰であれば売り時とはいえない場合もあります。たとえば、マンション需要が高まっている、将来的に高まることが確実だと思われる地域があるとしましょう。
不動産業者は消費者の需要を掴み、利益を逃さないためにその地域周辺でマンションの新築、中古の供給量を増やすはずです。この供給量の増加が需要に見合った形であればいいのですが、需要に対して供給が過剰になってしまうようなことがあれば、かえってマンションが余ってしまい、不動産相場の値崩れが起きてしまう可能性もあります。
不動産売買で大切なのは、「需要と供給のバランス」です。それも、「大きな需要があるのに、供給が不足している」という状況こそベストなタイミングであるといえるでしょう。「マンションを求めている人が多いのに、住宅数が足りない」ということになるわけですから、価格を高く設定しても売れやすい状況だといえるのです。
需要と供給のバランスを見極める方法
では、需要と供給のバランスはどのように見極めたらいいのでしょうか?簡単な方法を2つご紹介したいと思います。
一つ目の方法は、不動産情報サイトなどでエリアの人気を確かめるというやり方です。マンションを求めている人からの人気エリア、つまりは「需要が高まっているエリア」では、売りに出されているマンションの数も多いと考えられます。同時に、価格も近隣や似たような条件のエリアに比較して高く設定されているはず。
もし、あなたが売りたいマンションがこうした条件を満たしているのなら、需要と供給のバランスだけに限っていえば、売り時の条件を満たしていると考えていいでしょう。
ふたつ目の方法は、不動産会社に問い合わせする方法です。とはいえ、普通にマンションの「売り手」として問い合わせても本当の情報を教えてくれるとは限りません。
そこで、売りに出したいマンションがあるエリアについて「実はそのエリアでマンションを探しているのでいい空き家はないか」というふうに、マンションの買い手として問い合わせる方法があります。問い合わせの後でセールスの電話などがかかってくる可能性もあるので、まだ検討段階である旨を伝えておくと良いでしょう。
需要が高まる時期を狙う
ここまでの説明を聞いて、「売りたいマンションがあるのはあまり人気のないエリアなので、需要が高まるのは期待できない」と考えている方もいるかもしれません。
確かに、マンションの需要はエリアの人気に左右される部分も多く、将来的にも需要の高まりが期待できないと考えられる場合も多いはずです。そのようなときは需要が高まる「時期」に注目してみましょう。
たとえば、1年のなかでマンションの需要が高まる時期は1~3月、9~11月だといわれています。これらの時期は進学・就職や転勤などのタイミングと重なるため、新しい住まいを探している人が増える時期なのです。これらの時期にマンションを売りに出せば1年のうちでも特に資産価値が高まるタイミングを狙うことができます。
逆に、7~8月などの夏場や年末などの時期は避けた方が良いでしょう。これらの時期は行楽シーズンとも重なるため、マンションを探している人の数も多くはありません。このように、需要と供給のバランスを見極めるときは物件がある地域だけでなく、時期的なタイミングも考えることが大切なのです。
築年数で見極める
マンションに限ったことではありませんが、不動産の価値を判断するもっともわかりやすい指標のひとつが「築年数」です。築年数が新しければまだ新築に近い状態で設備も新しいと考えられるため人気がありますが、築年数が一定以上経過してしまうと「古いマンション」と見られてしまうため人気もそれほど集まりません。
当然ながら、マンションを高く売りたいのであれば築年数が新しいうちに売ってしまった方が良いのです。
節目となる時期を迎える前に売る
では、具体的に築年数が何年を迎える前に売った方が良いのでしょうか?実はこれにはいくつか「節目」となる重要な時期があります。
まず、築年数5年のマンションですが、これは中古とはいえ購入者からは「ほぼ新築」として見なされます。「新築マンションを購入するほどの余裕はないけど、中古でいい物件を見つけたい」と考えている層がこういった物件を探しています。
次に、築年数10年のマンションについてご説明しましょう。この時期のマンションはもう「ほぼ新築」とみなされることはありません。その代わり「まだそれほど老朽化は進んでいない」と判断できる時期です。
このくらいの築年数のマンションを購入するのは、「中古マンションだからクオリティに過度な期待はしないけど、修繕費などで余計な出費がかかるのは避けたい」という層です。
そして最後の築年数15年ですが、この時期には需要な意味があります。マンションを購入すると、日常の管理業務に用いる管理費に加えて、共用部分や建物の品質を維持するための費用である「修繕積立金」を定期的に支払わなければなりません。
築年数が15年は、この修繕積立金の金額が増え始める時期なのです。築15年を迎えると、水回りや配管といった設備の更新が間近に迫ってきます。これらの設備を更新しないとマンションの住みやすさや美観が損なわれてしまうため、買い手を探すのも難しくなってしまうのです。
つまり、「メンテナンスによって、建物としての品質が維持される時期」という節目に当たるのがこの築年数15年という時期なわけです。
節目の時期は、購入希望者が意識しやすい時期でもある
現在、売りたいマンションを抱えている方は自身のマンションがこうした節目の時期のいつごろを間近に控えているのかチェックしてみてください。たとえば、築年数が7年のマンションを売りたいと考えている方は、次の節目の時期である築年数10年を迎える前がマンションの「売り時」ということになります。
これら節目の時期は、単に購入希望者の見る目が変わるタイミングだから重要だというわけではありません。中古マンションを探している方の多くは、不動産情報サイトでの検索、あるいは不動産業者への相談によって購入物件を決めます。
そのとき、「築年数として何年以内を希望するか」という条件には切りの良い数字を選ぶ傾向が強いのです。今回ご紹介した節目の時期は皆「5年、10年、15年」というふうに切りの良い数字になっています。それは、「購入希望者がこれらの時期で築年数を区切ることが多い」という前提に基づいているわけです。
経済状況で見極める
マンションの売り時を見極める3つ目の条件は、「経済状況」です。これは大きな意味でいえば「好景気か、不景気か」、「将来不動産の価値が高まりそうか?」といったことがポイントになります。
たとえば、わかりやすい例としては「2020年東京オリンピック」があります。現在、関東首都圏では東京オリンピック開催に向けて不動産の整備が進んでおり、その影響で経済も活性化しているため不動産需要が高まっています。要は、数年後に大きなイベントを控えているため、需要の増加と好景気を見込んで不動産の売買価格上昇に期待できるのです。
大きな経済イベントの直前が売り時
こうした大きな経済状況の変化から売り時を判断するのは素人であってもそれほど難しいことではありません。
オリンピックに向けて不動産の開発が進んでいるのは日々のニュースでも報道されていますし、実際に不動産業者に問い合わせて今後の見込みを確認して売り時を見極めるのもいいでしょう。専門的な知識がなくてもわかるような「大きな経済の流れ」に絞って考えればいいわけです。
したがって、オリンピックの開催時期を「売り時」と考えるのではなく、その少し前2017~19年頃を「売り時」と判断した方がより安全だといえます。
あくまで「大きな動きを大まかに捉える」という意識で
オリンピックに限らず、通常の景気変動やその他の大型イベントの予定などマンションの価値を左右する経済イベントは少なくありません。
これらのイベントによる不動産価値の高まりは動きとしては大きいものの、「いつまでに、どれだけ価値が高まるのか?」を正確に予測するのは困難です。だからこそ、素人でもわかりやすい「大きな経済の流れ」を大まかに捉えるということを忘れないでください。
マンションをスピーディーに売るためのコツ
以上のような前提を踏まえた上で、スピーディーに不動産売却のコツをご紹介しましょう。
エリアと時期から売り時を絞り込む
マンションの売り時を左右する「需要と供給」。これを決定づけるのはそのマンションがあるエリアと、売りに出す時期です。周辺エリアの需要を見極め、いま売るべきか、それとももう少し検討するべきか考えてみてください。
その上でもし、いま売るべきなのだとしたら年間でも特にマンション需要が高まる時期を狙って売りに出す計画を立てましょう。
築年数の節目になる前に売る
マンションの買い手にとって、判断のポイントとなる「築年数」。これを意識していつまでにマンションを売るか、目標となる時期を定めます。もし、思うように買い手が見つからない場合は、価格など条件を見直した方が良いかもしれません。
大きな経済の流れに乗る
需要と供給、築年数を踏まえたうえで、もし今後さらなる不動産価値の高まりが期待できるような経済状況であれば、あえて売り時を先に伸ばすのもいいでしょう。
ただし、経済状況はそのときどきの出来事で大きく変化するものです。あくまでもほかのポイントを抑えておき、その上で可能なら意識するという程度に留めておいた方が安全でしょう。
マンションを高く売るためのコツ
適切な売り時を逃さないためには、ときには売出価格を調整するなどの方法を用いる必要があります。今回は売り時に絞ってご紹介してきたのでそうした「マンションを少しでも高く売る方法」をくわしく知りたいという方もいるかと思います。そんな方のために、下記のリンク先にある記事で売却相場について詳しい内容をご紹介していますので、参考にしてください。
不動産市場の価格相場を調べる方法はとても簡単。不動産一括査定サイトの活用でスピーディーに進みます。一括査定サイトでは、一度で複数の査定価格が分かりますので、高値で売却契約できる可能性を秘めています。
まとめ
マンションの売り時は、需要と供給のバランス・築年数・経済状況という3つの要素によって決定されます。どれか一つに絞って考えればいいというわけではなく、適切な売り時を見極めるためにはすべての要因を総合的に判断する必要があります。
マンションの売り時とは、そのマンションの価値が最大限に高められたタイミングにほかなりません。したがって、適切な売り時にマンションを売却できれば高く売れる可能性も高まるはず。
ただし、不動産投資では最高の売却価格で売ることばかりにこだわり、売り時を逃してしまっては元も子もありません。あくまでも「少しでも高く売れたらいいな」という程度に考えておき、「価値が最高に高まる直前で売る」という意識で臨みましょう。そのほうが、結果的に売り時を逃さず、スピーディーに高くマンションを売ることができるでしょう。