アパートローンをお得に借りたい!良い条件で借りる方法は?

不動産に関わる融資といえば、なんといっても住宅ローンが有名です。では、「アパートローン」というものがあることをご存じでしょうか?アパートローンを利用すれば初期費用を抑えつつ、賢く賃貸用住宅を手に入れることができます。

ここではアパートローンとは何か、良い条件で借りるにはどうしたら良いのか、利用上の注意点などをあわせてご紹介しましょう。

アパートローンとは?

アパートローンとは、「アパートを購入、もしくは建設するための融資」のことです。ただ、アパートと表現していますが、銀行では賃貸マンションも同様の意味になります。つまり、賃貸住宅であれば融資対象ということです。

住宅ローンと比較すると、あちらが「居住のための融資」なのに対して、アパートローンは一般的に自分が居住するためではなく、不動産投資・経営のために利用されるケースが多いです。

住宅ローンの金利は一般的に0.5~1%程度ですが、アパートローンの金利は2~3%程度と、割合にして2倍から3倍もの違いがあります。居住のための住宅が生活必需品なのに対して、アパート経営は「事業」です。

貸し手である金融機関は「自ら不動産経営ができるくらいの人なら支払えるはず」という見込みがあって融資利率の水準を設定しています。ちなみに金利は、固定金利と変動金利から選べます。

主なアパートローンの種類

一般的にアパートローンには、リコースローンとノンリコースローン、提携ローンと非提携ローンといった種類があります。それぞれの特徴を確認しておいてください。

リコースローン

ローンでは、何らかの理由でローンの支払いが滞ってしまったときの債務の返済方法があらかじめ決められています。リコースローンとは、ローンの支払いが滞った場合、「まず担保物件を処分し、それでも債務が残ったときは債務者や連帯保証人が残りを返済する」というローンです。

ノンリコースローン

ノンリコースローンとは、リコースローンとは異なり「担保物件を処分するだけで、それ以上の債務返済義務を負わないローン」のこと。支払い条件だけを見れば借り手側が有利に見えますが、その分、審査が厳しくなるというデメリットも抱えています。

提携ローン

提携ローンとは金融機関とハウスメーカー、不動産業者などが提携して提供しているローンのことです。融資を受けられる代わりに「提携しているハウスメーカーや不動産業者に住宅建設を依頼しなければいけない」といった制限があります。

契約に縛りがある分、審査が甘い、金利が安いといったメリットがある場合もあるので資金的に余裕のない人に向いているといえるでしょう。

非提携ローン

金融機関から直接アパートローンの借り入れを行う方法です。単純に個人と金融機関の関係で融資の条件が決まるので、利用する不動産業者やハウスメーカーに制限が加わることはありません。

ただし、金融機関から確かな信用が得られなければ融資額が減少したり、審査が厳しくなってしまったりする可能性もあります。

アパートローンを良い条件で借りるには…?

住宅ローンの場合、融資を受けるには確かな支払い能力があることを示さなければいけません。具体的には勤務先や給与の情報を公開し、「返済終了までの期間、一定の所得が得られる見込みがあること」を保証する必要性があったのです。

アパートローンは基本的に給与所得などではなく、ローンを利用して手に入れた不動産を運営して利益を上げ、その収入で借り入れ資金を返済することになります。

そのため、本人の所得よりもアパート経営の事業性や資産価値といった要素がより重要な意味を持ってくるのです。具体的には、金融機関に次の3つの基準を高く評価してもらえると、良い条件でアパートローンを借りられる可能性が高くなります。

アパート経営の事業性

現在はもはや「不動産を買えば必ず値上がりした」といわれるバブルの時代ではありません。アパートの立地や人気、家賃の設定などを勘案して事業がうまくいく可能性(収益性)はどのくらいか、という点を判断されることになるでしょう。

賃貸用不動産を購入することで、本格的に投資家としての活動が始まりますので、自身でも事業計画や利率の勉強も必須になってきます。

建物の資産価値

融資によって手に入れた物件(アパート)は、同時に借り入れのための担保です。

一般的には「過去に同等の条件で取引したときの評価額」、「不動産を建てるために必要な原価を計算し、そこから経年劣化で失われた分の価値を引いた金額」、「物件が借入期間終了までの間に生み出す利益から逆算した評価額」などを参考に資産価値が見極められます。

利用者の個人的信用力

利用者個人の信用も、良い条件で融資を受けるためのポイントのひとつです。過去のアパート経営の実績はどうか、今までメインバンクから融資を受けた経験はあるか、といった点が評価されます。

アパートローンを借りる際の注意点

アパートローンを借りるときは、主に次のような点に注意してください。

アパートローンで手に入れた不動産に住宅ローン控除は使えない

通常の住宅ローンで購入資金を借りられる「居住用不動産」とは異なり、アパートローンの対象は「投資用不動産」となります。従って、「居住用不動産への優遇措置」である住宅ローン控除を受けることはできません。

確定申告が必要になる

アパートローンを借りると同時に、不動産経営がスタートすることになります。不動産経営で得た利益は「不動産所得」となり、確定申告で利益や経費を計算し税金を支払わなければいけません。

個人事業主や経営者など、これまでに確定申告を自分で行っていた方は問題ないはずですが、サラリーマンの方などはなれない手続きに戸惑ってしまわないようよく準備しておいてください。

連帯保証人が必要

アパートローンによる借り入れには、利用者に加えて債務を保証する連帯保証人が必要です。連帯保証人にも一定の経済力が必要になるので、まずは適切な人を見つけなければなりません。

最近では、団体信用生命保険に加入すれば連帯保証人なしでも借り入れができるアパートローンを提供する金融機関も出てきています。

ただし、その場合は本来の金利に団体信用生命保険の保険料負担が上乗せされる形になるので注意しましょう。

繰り上げ返済の可否を確認しておく

「繰り上げ返済」とは、通常の返済額に上乗せした額を支払うことで元金を早く減らす・・・つまり、本来の返済期間よりも早めに終えられるという仕組みです。

繰り上げ返済により融資期間を短くすることで利息の支払額や手数料を抑えられますので、可能であれば積極的に利用したい制度だといえるでしょう。

住宅ローンの場合、繰上返済は一般的に認められている方法ですが、アパートローンでは認められていなかったり、回数に制限が加えられていたりするところもあります。返済条件の変更は可能なのかを事前によく確認しておきましょう。

まとめ

アパートローンは、アパートを購入、建設するために借り入れる融資です。アパート経営を事業として行い、得られた利益から返済と金利の支払いを行います。

融資条件などの違いによりいくつかの細かい種類に分かれていますが、一般的に住宅ローンよりも金利が高いのが特徴です。

住宅ローンなどとは異なり、借り入れの際に個人の所得額は大きな意味を持ちません。

できるだけ良い条件でアパートローンを借り入れるためには、アパート経営の事業性、物件の資産価値、利用者の個人的信用力という3つのポイントを金融機関に高く評価してもらう必要があります。

アパートローンを借り入れる際は、確定申告や連帯保証人の準備が必要です。また、居住用不動産ではないため、住宅ローン控除は受けられないので気をつけましょう。繰り上げ返済の可否を含めて、返済計画を慎重に考えてから申し込むようにしてください。