借金によるうつ病の症状とは?精神と肉体に出る症状9つ

借金とうつ病は、全く関係ないようで実は意外と深い関係があります。返済が厳しいほどの借金がある人は、そうでない人と比べてうつ病になりやすいことが過去の様々な調査から明らかになっています。

今回は借金と切っても切れない関係にあるうつ病がどのような病気なのかを詳しく解説していきたいと思います。

うつ病は「脳の病気」

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うつ病というのは非常に複雑で、また未解明な部分も多く難しい病気とされていますが、非常にざっくりとした言い方をすると、脳のエネルギーが不足し活動状態が低下してしまう病気です。

かつてはうつ病は心の風邪などと言われていましたが、この言い方は若干不正確で、現在ではうつ病は心の病気というよりはむしろ脳の病気に近いことが明らかになっています。

我々人間の精神や肉体というのはうまく出来ており、多少ダメージを受けても日常生活の中で改善することができます。

生きていれば誰しも少なからず不快な経験をすることがありますが、通常は嫌なことがあっても時が経てばその記憶が薄まって元通りの元気を取り戻すことができます。

しかし、うつ病になってしまうと時がたっても精神的に回復しづらくなり、その結果社会生活が満足に送れなくなってしまうことがあります。

うつ病で精神と肉体に現れる症状9つ

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うつ病と聞くととにかく気が滅入って何もできなくなる病気というイメージが強いですが、実はその症状は非常に多岐にわたっています。うつ病で現れない症状の方が少ないと言っても過言ではありません。中でも代表的な症状を幾つか紹介したいと思います。

1. 気分の落ち込み

うつ病の症状の中でも代表的なものが気分の落ち込みです。と言っても、気分が落ち込んだら必ずうつ病というわけではありません。生きていれば誰しも気分が落ち込むことがあります。うつ病による気分の落ち込みの最大の特徴は、時が解決してくれないことです。

うつ病初期の段階では楽しいことが起きれば楽しいと感じる感覚も残っているのですが、だんだんそうした感覚が少なくなり、何をやっても、誰と合っても楽しさを感じることができなくなり、気分は落ち込み、非活動的・悲観的になっていきます。

2. 意欲の低下

うつ病になると、ありとあらゆることに対する意欲が低下します。最初のうちは仕事が手につかなくなることが多いですが、症状が進むと好きだった趣味に対する興味も失われていきます。

様々なことに興味がなくなってくるので希望を持つこともできず、次第に活動範囲が狭まり、最終的に布団から出られなくなってしまうこともあります。

これだけ見てると単なる怠けにも見えますが、怠けとうつ病には大きな違いがあります。それは本人の気持ちです。

怠けている人間は「やらなくても良い」と思ってなにもしないという選択肢を選んでいるのに対して、うつ病患者は「やらなければならない」と思っているのにもかかわらず行動ができないという違いがあります。

3. 思考力・判断力の低下

人間誰しも年を取れば思考力や判断力が低下していきますが、うつ病になると年齢に関係なくこれらの能力が大きく低下します。

はじめのうちはちょっと仕事が遅くなるくらいですが、やがて物事の優先順位が判断できなくなったり、自分の意見が言えなくなったりします。病院に行けば良くなるかもしれない、ということに気がつけなくなってくるといよいよ重症です。

4. 自傷行為

うつ病が進行して重症化してくると、自傷行為に走ることがあります。うつ病でない人間にはなぜそんな痛いことをするのか理解できませんが、専門家に寄ればそれはSOSのサインなのだとか。

身近な人が自傷行為を繰り返している場合は、なぜそうなるに至ったのかを考えて、再発を防止する必要があります。

5. 睡眠の質の変化

うつ病になると眠れなくなる、というイメージが強いかもしれません。確かにうつ病から不眠症になる人も少なくないのですが、一方で寝すぎてしまう人も少なくありません。例えば昼まで眠ってしまったり、あるいは一日中起きれなかったり……。

うつ病患者はノンレム睡眠(深い眠り)が無くなってしまうため、いつまでたっても脳が休めずに寝続けてしまうのです。

6. 食欲の変化

うつ病になると痩せていくイメージが有りますが、一方で食欲が暴走し太ってしまう人も少なくありません。特に理由がないにもかかわらず、突然特定の何かを無性に食べたくなることもしばしばあります。

7. 胃腸周りの不調

ストレスがかかれば誰でも胃が痛むものですが、うつ病患者はストレスに対して非常に敏感になっているため、少しのストレスだけで胃の痛みや吐き気、便秘、下痢などの症状を起こしてしまいます。

こうした症状は胃腸に原因があるわけではないため、一般内科などで処方される薬を飲んでも良くならないことが多いです。

8. 性欲の低下

うつ病によく見られる症状の中でも、周りに相談しづらいのが性欲の低下です。うつ病では基本的にありとあらゆる事象に対する興味関心が低下しますが、その中に性欲が含まれていると言ってもいいでしょう。

いわゆるED(勃起不全)になる男性も少なくありません。うつ病が回復しても性欲低下は治らないことが多いので、別途専門医にかかるのが良いでしょう。

9. 呼吸困難

通常、我々は意識することなく呼吸を行っていますが、うつ病にかかると呼吸に意識が回りすぎてしまうことがあります。それが原因で過呼吸になったり、呼吸に意識が行き過ぎて他のことに満足に手がつけられなくなってしまうこともあります。

うつ病発症の仕組み

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うつ病の原因は完璧には解明されていませんが、現時点では脳で異常が起きているという説が有力視されています。

脳内に存在する神経伝達物質は100種類以上存在するとされており、その中で発見されているのは60種類程度です。なかでもうつ病には前述のノルアドレナリンとセロトニン、それとドーパミンという3つの神経伝達物質の働きが強く関係していると言われています。

神経伝達物質は通常は安定して分泌されており、それによって心の健康を保つことができているのですが、何らかの原因でこの分泌が減ってしまうことがあります。

するとうつ病の症状が現れるようになり、その結果ますます分泌量が減ってしまうという悪循環に突入してしまいます。

うつ病を放置するとどうなるの?

うつ病を治療せずに放置すると、殆どの人はますます症状が悪化してしまいます。うつ病は風邪と違って、ただ安静にしていれば治るというものではありません。医師や周辺の人のサポート、そして本人の治そうという気持ちがあって初めて治療が始まるものです。

生活を維持したいからといって無理を続けるとますます症状が悪化し、いつか動けなくなってしまいます。そうなってから治療を始めると、早期に治療を始めた場合と比べて治療期間は長く、費用も高くなってしまいます。

少しでも体調が悪いと感じたら、必ず医師の診察をうけるようにしましょう。

うつ病になりやすい人・なりにくい人

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うつ病はすべての人が掛かる可能性のある病気ですが、一方でなりやすい人・なりにくい人がいるのもまた事実です。なりやすい人は特にうつ病には気をつける必要があります。うつ病になりやすい人の特徴としては、以下の様なものが上げられます。

循環型

気分に一定のサイクルがあり、元気な状態の時は社交的、親切で親しみやすいけれど、その一方で落ち込みやすい気質のことです。陽気と陰気が交互に現れるというとわかりやすいかもしれません

執着型

一つの物事に対する執着心が非常に高く、几帳面で責任感が強い気質です。仕事に関しても凝り性で完璧主義であるため、仕事の質自体はとても高いのですが、一方で量がこなせないため現場からの評価は必ずしも芳しくありません。

いわゆる燃え尽き症候群にかかりやすいタイプでもあり、大きな仕事が終わった後にうつ状態になりやすいとされています。

メランコリー気質

仕事に対しては生真面目で、ルールやマナーを重んじる気質です。周囲に対して気配りを忘れず、円満な人間関係を維持することを良しとするタイプです。

周囲からの評価は総じて高いですが、一方で周囲の評価を気にしすぎてしまう麺があり、問題が起きると悲観的になって追い込まれるタイプでもあります。

うつ病になりにくい人は?

上記のような特徴に当てはまらない人、例えば総じて適当に物事を受け流せて、仕事に対してそれほど熱心でなく、精神的な好不調の波があまりない人は、総じてうつ病にかかりにくいといえるでしょう。

年齢と性別

年齢に関しては、10代から30代の人がとくにかかりやすいとされています。これらの年代の人は進学や就職、転職などで新しい環境に放り込まれる事が多く、それがストレスとなってうつ病を発症することがママあります。

一方で配偶者との離別・死別や孤独、病気などが原因で、うつ病になる高齢者も少なくありません。年齢によって多少ばらつきはあるにせよ、すべての年代の人が軽快すべきと言っても過言ではないでしょう。

また、性別で比較した場合は男性よりも女性のほうがかかりやすいとされています。2003年の厚生労働省の発表に寄れば、一生の間に1回以上うつ病になる確率は、男性は4.2%であるのに対して、女性は8.3%となっています。

心療内科か精神科に行こう

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うつ病かな?と思ったら、心療内科や精神科を受診します。「どっちだよ」と思われるかもしれませんが、正直な所それほど両者の間に差があるわけではないので、どちらでも構わないでしょう。

一応、心療内科は精神的なストレスによって起きている肉体的な疾患を、精神科は精神疾患を見るという違いがありますが、判断が難しい場合は精神科または心療内科のどちらかに症状を話し、場合によっては適切な病院を紹介してもらう、という形を取れば問題ありません。

心療内科はともかく精神科と聞くとなんだか危ない人がいっぱいいるところと言うイメージをお持ちになるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。重度の患者さんはいわゆる閉鎖病棟にいるため、関わり合いになることはまずありません。

外来に来ている患者さんは、日常生活はどうにか遅れているけど心に何らかの問題がある人達が多く、従って一見しただけではそれとわかりません。怖いところではないので、安心していきましょう。

病院では基本的に問診を行います。うつ病の診断基準には、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-IV」の2つが特に有名です。

また、うつ状態の軽重を診断するための評価スケールもたくさんあります。また、それとは別に問診を行い、いま仕事はしているのか、家族との関係はどうなのか、薬は飲んでいるかなどの聞き取りを行います。

一般的な検査(尿や血液、体重測定など)も合わせて行う場合が多いです。身体症状が出ている場合、それがうつ病によるものなのか、それとも身体的な疾患によるものなのかを判断するためです。

胃痛の原因がうつ病かと思っていたけど実は胃潰瘍だった、というようなこともありえます。大病院の場合はCTやMRI,心理検査などを入念に行うこともあります。

うつ病治療における病院の選び方

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現在、日本にはッ約9400の心療内科・精神科があります。実際に通える範囲にある病院は僅かでしょうが、選択肢が複数あると迷うものです。どこに通ったら良いのかわからないという方も少なく無いでしょう。

街のクリニックか、総合病院か、精神科単科か

街のクリニックは駅前など便利な場所にあり通いやすく、病院によっては夕方や休みの日に診察を行っていることもあるため、こちらの都合を十分に汲んでもらえる可能性が高いです。

一方で治療法や検査用の設備などが限られており、入院施設はないかあっても小規模なことが多いため、基本的には通院治療で事足りるような軽度~中等度の患者さん向けと言えます。

一方、総合病院は入院もでき、設備も充実しているので検査の正確性という点では優秀です。他の診療科もあるため他科を受診しやすく、先進的で総合的な治療が受けられます。

一方で組織が大きいため街のクリニックのような柔軟な対応には期待しづらく、待ち時間が長い割に診察時間は数分、というようなこともままあります。

精神科単科の病院はうつ病に関してはエキスパートで、様々なサポートやプログラムが充実しており、より治療に専念しやすいです。一方で精神は地域に馴染みにくいため郊外に作られるケースが多く、通うのが大変というデメリットも有ります。

結局はどこも一長一短なので、より自分のニーズに合った病院を選べばいいでしょう。どうしても決めかねるという場合は、保健所などに相談してもいいでしょう。

こんな医者は要注意!

話を聞こうとしない、しようとしない医者は総じて要注意です。通院のたびにどんな症状が出たか、治療によって変化があったかなどをしっかりと説明してくれる医者を選ぶようにしましょう。

また、薬の説明も医師の重大な仕事です。そこを怠る医者の元からは転院した方がいいでしょう。

そうした目立った悪い点が特になくても、なんとなく医者と合わないということもあるでしょう。その場合も転院をおすすめします。仕事でもないのに合わない人と無理やり会い続ける必要はありません。医者は他にもいるのです。

うつ病の治療は「休養」と「投薬」

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うつ病には様々な治療方法がありますが、基本的には「休養」と「投薬」の2本柱で治療を進めていくことになります。ドチから一方だけでは治癒する可能性は低いでしょう。

正しい休養の取り方

休養とは、ただ単に何にもせずに寝ているということではありません。やりたいことをやる、というのも立派な休養の一つです。もちろん「寝ることがしたい」とおもっているのならば、寝るのも良いでしょう。

うつ病になる人は総じて責任感が強く、休養を取ることに対して後ろめたさを感じる人も少なくないようです。しかし、休養を取らずに無理をして職場で倒れられたりしたらそっちのほうがよっぽど迷惑ですし、なにより仕事より体のほうが大切です。

仕事はなくなってもまた取り戻せますが、健康は一度失ってしまうと取り戻すのが非常に大変です。どうしても家ではうまく休めないという場合は、入院をするのもいいでしょう。無理をしないでも良い環境を作ることが何よりも大切です。

薬は医師の処方に従って飲もう

うつ病の治療には薬が欠かせません。うつ病の薬と聞くとなんだか危なそうというイメージを持たれるかもしれませんが、それは正しくありません。

確かに、うつ病の薬が100%安全でなおかつ効果を迅速に発揮するのかというと、そんなことはありません。副作用が出ることもありますし、効果が出るまでに時間がかかることもしばしばです。

このように、うつ病の薬を飲むという選択に一定のリスクが有ることは確かです。しかし、飲まないという選択にはもっと大きなリスクが有ります。

しかし、副作用は多くの場合それほど激しいものではありませんし、一定の期間飲み続ければいずれは効果が出る可能性は非常に高いです。必ず医者の処方に従って服用してください。

うつ病の際に最もよく使われる薬が抗うつ薬です。抗うつ薬はさらにSSRI,SNRI,NaSSAなどに分類することができます。

SSRIは「選択的セロトニン再とり込み阻害薬」とも呼ばれる薬で、セトロニンの再取り込みを阻害することによってセロトニンの量を増やします。代表的なものにパロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラムなどがあります。

SNRIは「セロトニン・ノルアドレナリン再とり込み阻害薬」とも呼ばれる薬で、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを防ぐことによって両者の量を増やします。代表的なものにミルナシプラン、デュロキセチンなどがあります。

NassaはSSRIやSNRIとは違う作用でセロトニンとノルアドレナリンの放出を促進するもので、代表的なものにミルタザピンがあります。

これとは別に、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬と呼ばれる抗うつ薬もあります。SSRIやSNRIと比べて歴史は長いですが、副作用が大きいため現在はあまり使われません。

うつ病の統計学

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うつ病は子供から高齢者まで世代を問わずに発病する病気です。日本のうつ病の罹患率は、12ヶ月有病率(過去12ヶ月以内にその病気にかかっている人の割合)が2.2%、生涯有病率(一生の間に一度でもその病気になる確率)が6.5%とされています。

男女比で見た場合、女性のほうがうつ病になりやすく、その有病率は男性の2倍であるとされています。

1996年には約43万人だった患者数は時の流れとともに増え続けており、2008年には100万人を突破しました。ただし、だからといって必ずしもうつ病患者が増え続けていると決めつけるのは早計です。

かつてはうつ病というものの存在を知らなかったり、あるいは精神科に対する敷居の高さを感じていたりして、病院にかからなかった人が病院に通うようになったため、患者が増えているように見えるだけなのかもしれません。

世界的に見た場合、少なくとも3億5000万人のうつ病患者がいることが、WHOの統計からわかっています。これは日本の人口の約3倍弱であり、かなりの人がうつ病にかかっていることがわかります。ちなみに、がん患者の数は1270万人、認知症患者の数は3560万人です。

また、製薬会社のルンドベックが世界16カ国を対象に行なった調査によれば、16歳~64歳の働く人に占めるうつ病患者の割合は日本が10%だったのに対して、イギリスは27%、アメリカは23%、オーストラリアは24%、韓国は7%、中国は6%となっています。

アジア圏は総じてうつ病の罹患率が低い傾向があります。

ただし、だからといって日本にうつ病患者が少ないと考えるのもこれまた早計です。欧米圏の人はうつ病によって精神状態に変調が出やすいため、割とすぐに精神科を訪問する傾向があり、その結果うつ病が発覚しやすいとされています。

それに対してアジア圏の人はうつ病で身体的な症状が出やすいため、うつ病を別の病気だと思ったり、気が付かなったりすることも少なくありません。アジア人のうつ病は総じて発見しづらいのです。

また、うつ病患者の自殺率は15~25%であるとされています。うつ病患者の自殺率が高い理由は自分の病気に対する不安、焦燥感、絶望などです。また、うつ病になり脳内の神経伝達物質が正常に働かなくなったことも関係しているとされています。

うつ病と間違いやすい病気一覧

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うつ病は精神疾患であるため、他の病気と非常に間違いやすいです。経験を積んだ医者でも間違えてしまうことがあるほどです。うつ病と間違えやすい病気としては、以下尿なものが挙げられます。

双極性障害

双極性障害とは、別名躁うつ病とも呼ばれる病気です。うつ病はうつ状態が続くのに対して、双極性障害ではうつ状態と躁状態が交互に現れます。

鬱状態の症状はうつ病と似たような感じですが、躁状態の時はそれとは真逆に異様に興奮したり、自分は万能であると思い込んだり、突拍子もない行動をとったりします。

行動力が出てくる反面、注意力や思考力は低下しているので、余計な行動をしてしまうことが多々あります。また、怒りっぽくなったり、浪費や無駄な投資に熱を上げてしまったりするため、周りから人が離れていってしまいがちです。

双極性障害は1型と2型に分類できます。1型は躁状態が明確で症状が重く、2型は躁状態がやや曖昧で軽いのが特徴です。1型の場合は躁状態になると積極性や攻撃性がまして仕事や人間関係でトラブルを起こしたり、損失を被ったりすることがあります。

2型は症状がわかりにくいのですが、摂食障害や不安障害が合併することもあります。

双極性障害の原因はまだ明確にわかっていませんが、環境や遺伝、正確などが複雑に絡み合っているものと推測されています。性格に関しては、社交的で気配りができる現実的な人がかかりやすいとされています。

とはいえもちろんそういった性格の人が全員双極性障害になるわけでもなく、そういった性格でない人が全員ならないわけでもありません。あくまでも傾向の問題です。

双極性障害は躁状態から鬱状態に切り替わった時が最も危険とされています。躁状態の時の自分の行動に苛まれ、自殺などの破滅的な選択肢を選んでしまう人が少なくありません。双極性障害の自殺率はうつ病のそれより高く、適切な治療が必要になります。

治療はうつ病よりも治療が難しいとされていますが、それでも適切な治療を受ければある程度症状を改善することができます。治療は薬物療法と精神療法があり、薬物療法では気分安定剤、抗精神病薬、抗うつ薬などを組み合わせて使います。

精神療法は認知行動療法(否定的な捉え方に気づかせ、行動を変える治療)や心理教育(医師と患者がお互いに話し合って心理について学んでいく)などがあります。

双極性障害はうつ病と違い、躁状態と鬱状態を繰り返します。躁状態は自分的には「調子がいい」状態なので、病気を見逃してしまいがちです。気分の起伏があまりにも激しすぎるときは、双極性障害を疑ったほうが良いでしょう。

統合失調症

人間は様々な感情を持ち、思考をしています。

こうした感情や思考は脳内の精神機能のネットワークを使って行われるのですが、このネットワークが何らかの原因でうまく機能しなくなると、感情や思考にまとまりが無くなってしまい、支離滅裂なことを言い出すようになります。これが統合失調症です。

感情や思考を統合する機能が失われてしまうことから、統合失調症という名前がついています。

統合失調症の症状は、幻覚や妄想などのあるはずのないものが現れる「陽性症状」、意欲の低下、抑うつなどの「陰性症状」、日常生活への対応力が低下する「認知機能障害」の3つがあります。

陽性症状の代表的なものである幻覚や妄想は統合失調症に限らず、いろいろな病気で現れる症状ですが、統合失調症の場合は自分の悪口を言っている、監視されている、騙されているといったような被害妄想が代表的です。

自分を大スターだと思いこむような誇大妄想が見られることもあります。

また、自分と自分以外の存在の境界線が曖昧になり、誰かに操られているような感覚に陥ることもあります。本当は自主的に動いているにもかかわらず、他人に動かされているかのように感じます。

陰性症状は通常、陽性症状に遅れて現れます。気分が平板化し、楽しい、嬉しい、悲しいといった感情がよくわからなくなります。他人と視線を合わせなくなり、外の世界に対する関心を失っているように見えます。

また、何らかの目的を持って行動することが難しくなり、学校の勉強や仕事、あるいは趣味などへの意欲が極端に低下します。集中力や思考力も低下し、何かをしようとしてもすぐにお話あってしまったり、簡単な会話に答えられなくなったりします。

認知機能障害とは、記憶や思考、計算、理解などの能力の障害です。統合失調症になる前は普通に出来ていた選択ができなくなり、過去の記憶と現在の状況を比較することも難しくなります。

細かなことにこだわって全体が把握できなくなったり、言葉の裏にある意味がわからなくなったりすることもあります。

こうした症状は一定のサイクルのもとに現れます。統合失調症の症状は前兆期、急性期、休息期、回復期の4つの単位で経過します。急性期は数週間単位、休息期は数週間~数カ月単位、回復期は数カ月~数年単位で経過するとされています。

統合失調症の原因は明らかになっていませんが、進学、就職、結婚など、人生のターニングポイントで現れることが多いことが多いとされています。ただし、それはあくまで発症のきっかけであり、原因は別にあるという見方もあります。

遺伝に関しては、両親がふたりとも統合失調症だった場合の発症率は40%、片方が統合失調症だった場合は10%、どちらにも該当しない場合は1%とされています。遺伝との因果関係はかなり強いと言えるものの、両親が統合失調症でなくてもなる人はなる、ともいえます。

有病率はおよそ1.0%程度で、国や地域、男女による差は殆ど見られません。世界の患者数は約8000万人ほどで、うつ病患者よりは少ないものの、それでも十分に多いといえます。

発病年齢は思春期から30歳までにほとんど集中しており、30歳を過ぎても発病しなかった場合は、一生のうちに統合失調症になる可能性はほぼ0といえます。

また、統合失調症患者の約半数は社会的生活を営むことができている一方で、そうでない人もいます。

治療は外来、もしくは入院で行います。医学の進歩のおかげで最近は外来で治療できルケースが増えてきていますが、一方で入院を選ぶ人も少なくありません。

入院は日常生活から一旦離れなくてはならないという欠点がある一方で、それが良い休養となりプラスに働く可能性もあります。症状がひどかったり、本人が希望している場合は入院を選ぶこともあります。

治療は薬物療法が中心になります。薬物療法で用いられる薬は「抗精神病薬」「神経遮断薬」です。様々な種類の薬があり、患者にあった薬を選ぶためにはある程度の試行錯誤が必要になります。

こうした薬物には症状の緩和のみならず、再発防止の効果もあります。症状がくなってきたら、医師の指導のもと、減薬したり、断薬したりします。自分の判断で買ってに減薬・断薬してはいけません。

うつ病と統合失調症の違いは症状です。統合失調症でよく見られる幻覚や幻聴、妄想などは、うつ病ではあまり見られません。また、うつ病は病識があるのに対して、統合失調症では病識が無かったり、足りなかったりするケースが多いです。

強迫性障害

人間、誰しも何かに対して不安を抱くことがあります。例えば鍵を締めたか不安になってしまい確認に戻ったり、手の汚れが気になって何回も洗ったりする、というのはそこまで珍しいことではありません。

しかし、中にはこうした不安が強迫観念に変わり、日常生活に支障が出るほど確認を繰り返したり、手を洗ったりしてしまう人がいます。このような症状を強迫性障害といいます。

こうした行動はいつしか習慣性を伴い、確認や手洗いの回数はどんどん増えていきます。本人もそのようなことを繰り返すのは無意味だと頭のなかではわかっているのですが、それでも行動を辞めることができません。

強迫性障害の症状は大きく、強迫観念と脅迫行為に分けることができます。

強迫観念とは不合理な考えが頭から離れなくなってしまうこと(例えば鍵を締めたか心配で心配で仕方なくなる)、脅迫行為とは強迫観念から生まれる不合理な行動のこと(例えば何度も鍵を締めたか確認するなど)です。

これらの症状は日常生活の延長線上にあるため、ただたんにちょっと神経質なだけなのか、それとも強迫性障害と呼べるものなのか非常に区別がしづらいです。

日常生活や社会生活に支障が出ていたり、あるいは家族や周囲の人がその行動によって困っている場合は、病的な強迫性障害と認められます。

強迫性障害の患者数は成人の40人に1人程度とされています。精神が依頼にやってくる薬4%程度の患者さんに強迫性障害が認められるというデータも有ります。

強迫性障害の治療は認知行動療法が中心になります。認知行動療法とは、強迫観念に向き合い、脅迫行為をしないように我慢する行動療法です。例えば鍵を締めたことをしっかりと確認してから外出し確認に戻らない、汚いと思うものを触って手を洗わない、などです。

こうした行動を繰り返すことによって不安が和らぎ、脅迫行為が減っていきます。また、強迫症状や抑うつを抑制するために、抗うつ薬を使うこともあります。

うつ病と強迫性障害の違いは、気分の波の差です。うつ病は一般的に午前中調子が悪く、午後にかけて良くなる傾向がありますが、強迫性障害にそのような傾向は見られません。ただ、うつ病と強迫性障害は併発することも多いので、自己診断せずに必ず病院を受診しましょう。

全般性不安障害

全般性不安障害とは、日常生活に支障をきたすほどの不安が続く病気です。

人間、誰しも不安を感じることはあります。例えば地震や台風といった自分自身では防ぎようがない災禍に対する不安、あるいは人前に立って発表することといったもっと身近な物事に対する不安……。

こうしたことに対して不安を感じるのは当然のことであり、誰もが経験するものです。不安を感じるからこそ前もって対策を打つこともできますし、不安自体は生き延びるために重要なものです。

しかし、不安が大きすぎて日常生活に支障をきたすようになってしまうと、これは問題です。不安があまりにも大きすぎる場合は、不安障害を疑ったほうが良いかもしれません。

全般性不安障害の症状は十人十色で、決まった症状というものがありません。何に不安を感じるかも人それぞれです。当別にはっきりした原因がないにもかかわらず、不安を感じるという点では一致しています。

うつ病との違いは不安が強いか、うつ状態が強いかです。異なる病気ではありますが、両者を併発する人も少なくありません。うつ状態が続いているときは、病院で診断を受けることをおすすめします。

パニック障害とは

パニック障害とは、突然激しい動悸や発汗、頻脈(以上に速い脈)などの症状に襲われ、このままでは死んでしまうのではないかといった様は強い不安を感じる病気です。

このような発作を「パニック発作」と言います。人間、突然予期せぬことが起きれば誰でもパニックになるものですが、パニック発作はそうした原因がなく起きるという特徴があります。

パニック障害の症状は大きく、パニック発作予期不安に分けることができます。パニック発作とは前述のとおり、突然原因もなく強い不安をなじることです。症状は数分~1時間以内に収まることがほとんどです。

仮に救急車を呼んだとしても、病院に運ばれて検査を受ける頃には症状はすっかり収まっている上、からだに悪いところがあるわけでもないので何も見つかりません。

予期不安はパニック発作が起きた後に、またパニック発作が起きるのではないかと心配になる症状です。

その心配から人前に出られなくなったり、あるいは逆に万が一倒れても大丈夫なように備えて人のいるところにいようとしたりします。1人で外出できなくなることもあります。

パニック障害の詳しい原因は不明ですが、脳内神経伝達物質の一つである「ノルアドレナリン」が「セロトニン」に対して増加しすぎる(セロトニンが減少しすぎる)とパニック障害が引き起こされるのではないかと考えられています。

セロトニンを増やすための治療を行うと、症状は改善するケースが多いです。

パニック障害の有病率は1.0%程度で、決して珍しい病気ではありません。放置すると重症化しやすく、うつ病につながりやすい一方で、適切な治療を受ければ比較的治りやすい病気とされています。

そのため、自分はパニック障害ではないかと疑わしい症状が出たら、心療内科や精神科を受信することが大切です。

治療は薬物療法が中心になります。薬物療法の中でも代表的なのがSSRIです。SSRIは選択的セロトニン再とり込み阻害薬とも呼ばれる薬で、簡単に言えば脳内のセロトニンを増やすための薬です。

効果が出るまで数週間程度かかるのが難点ですが、副作用は少なく安全性は高いです。投薬治療は少なくとも1年間~2年間ほど続け、少しずつ医師の指導のもとに量を減らしていきます。

認知行動療法も効果的と言われています。認知行動療法とは、誤った認知を修正するために正しい行動習慣を身につける方法です。

うつ病との違いは発作があるかどうかです。うつ病にはパニック障害のような明確な発作がありません。しかし、パニック障害を放置するとうつ病につながりやすいため、迅速に治療しましょう。

うつ病とお金

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スウェーデンで行われた実験に寄れば、うつ病をはじめとする精神病患者に毎月50ユーロ(約6500円)を投与したところ、投与していない群と比べて明らかに不安やうつ症状が減り、人間関係が豊かになり、更には生活の質まで向上したそうです。

もちろん、お金があれば全てが解決するわけではありませんが、お金があればやりたくない労働をしなくて良いようになり、嫌いな人間との人間関係を断ち切れるため、精神的に安定することは間違いありません。

地獄の沙汰も金次第と言いますが、うつ病が良くなるかどうかも金次第、というわけです。

しかし、うつ病になると今までのように働くことができなくなるため、収入が減ります。一方でうつ病の治療をしなければならないため、支出が増えます。収入が減って支出が増えれば、当然家計のバランスは崩れてしまいます。

働けなくなったことが原因で借金を作ってしまうことも少なくありません。健康な人よりもたくさんのお金が必要なはずのうつ病患者は、一体どうやってお金を手に入れれば良いのでしょうか。

よく日本批判をしたい人が「日本は欧米に比べてうつ病患者に対するセーフティネットが足りない」と言いますが、それは必ずしも正しい批判とはいえません。

欧米にどの程度のセーフティネットがあるのか私にはわかりませんが、日本にもそれなりにセーフティネットがあります。多くの人が知らないだけです。

自立支援医療制度

まず活用したいのが自立支援医療制度です。これは大雑把に言ってしまうと、通常3割負担の医療費を1割にする制度です。現在うつ病やその他の精神疾患で通院している人ならば、原則誰でも申請することができます。障害者手帳などは必要ありません。

自立支援医療制度を利用すると、3割の窓口負担が1割になります。また、上限金額も定められているため、医療費を大幅に軽減することができます。ただし、精神疾患以外の病期については3割り負担のままなので注意が必要です。

申請の方法は簡単で、主治医に診断書を作ってもらって(数千円程度かかりますが、窓口負担が少なくなるのですぐに回収できます)、それを申請書と一緒に市役所の担当窓口に提出するだけです。

申請が通ると、1ヶ月ぐらいで受給者証が届くので、次回以降の診察の際に病院の窓口で提出してください。

有給休暇

有給休暇は皆さんも御存知の通り、給料がもらえる休みです。有給休暇の最低日数は継続勤務日数によって定められています。

継続勤務日数 付与日数
6か月 10
1年6か月 11
2年6か月 12
3年6か月 14
4年6か月 16
5年6か月 18
6年6か月 20

また、ある年に使えなかった有給休暇は、次の年に限り持ち越すことも可能です。例えば、継続勤務年数が20年で、ある年に有給休暇を10日しか使わなかった場合、余った10日分は翌年に持ち越すことができるため、合計で30日休むことができます。

傷病手当

傷病手当は、有給を使いきってしまった後に使える制度です。これは働けなくなった人に対して国がお金を支払う制度で、業務外で病気になってしまった人が対象です。

支払われる金額は原則、標準報酬日額(日給)の3分の2です。業務内の病気の場合は後述の労災を利用することになります。

傷病手当の支給期間は最大で1年6ヶ月です。途中で仕事に復帰した場合、傷病手当金は打ち切りとなります。医師に診断書を書いてもらい、それを会社に提出します。なお、社会保険料を支払っていないと傷病手当がもらえないので注意しましょう。

労災

労災は労働災害のや略で、労働中に病気になってしまった場合はこちらを申請します。ただし、うつ病が労災と認定されるまでには長い期間がかかるので、労災の疑いがある場合でもまずは傷病手当金を申請します。

その後労災が認定された場合は傷病手当金は返済します。労災の支給額は給料の80%で傷病手当金を上回っています。医療費が無料になるというおまけもついてくるため、できることならば労災認定を受けたいものです。

しかし、鬱病による労災認定率は40%程度と決して高くありません。労災認定を受けるにあたっては、そのうつ病が労災であることをしっかりと証明する必要があります。パワハラやセクハラなどの証拠は音声などで遺しておきましょう。

障害年金

障害年金は障害がある人に対して支給される年金です。うつ病も精神疾患の一種ですが、うつ病は重さの判断が難しいため、審査は厳しいとされています。よほど症状が重くないかぎりは、期待しないほうが良いかもしれません。

生活保護

身内からの援助や資産、収入などがない場合は、生活保護が最後の砦となります。できれば生活保護に行き着く前になんとかしたいものです。

借金がある場合は債務整理を

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うつ病で借金ができてしまった場合は、債務整理を検討しましょう。セーフティネットを知らないまま借金をしてしまったのは残念ながら自己責任としか言いようがありませんが、債務整理をすれば借金の負担が軽くなり、それに従って精神的な負担も軽くなります。

早めに弁護士に相談してください。

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