田舎で土地活用を成功させたい!ポイントと注意点を解説

土地活用は、人口の多い都会の方が有利とされています。土地は利用者が多ければ多いほど、活用方法のバリエーションも得られる利益も大きくなるからです。

では、人口の少ない田舎では有効な土地活用はできないのかといえば、決してそんなことはありません。確かに、田舎の方が人口が少ないため、同じ活用方法を選んだとしても都会ほどの利益が得られないこともあるでしょう。また、田舎ならではの法規制によって、土地活用の選択肢が狭まってしまうこともあります。

しかし、そうした障害を乗り越えることができれば、田舎でも不動産投資・土地活用で十分な利益を上げることは可能です。今回は、田舎での土地活用を成功に導くためのポイントと注意点をご紹介しましょう。

田舎には向かない土地活用方法の例

田舎での土地活用が難しい理由

すでに述べた通り、一般的には田舎での土地活用は都会に比べて不利だとされています。なぜなら、土地活用とは土地やそこにある建物を利用してくれる人がいて初めて成立するものだからです。

たとえば、賃貸住宅経営や商業施設経営など、一般的によくある土地活用の方法を考えてみましょう。賃貸住宅は入居者の数と家賃、商業施設経営は施設利用者の数と売上額によってそれぞれ利益が決まってきます。

その施設を利用したいという人が多ければ多いほど、賃貸住宅なら家賃を高く設定できますし、商業施設であれば売上の合計が多くなるはずです。

このように考えると、その土地周辺に住む人の数がそのまま土地活用の難易度に大きな影響を及ぼしていることがわかります。土地活用を行ったとき、人口の多い都会では利用者を多く見つけやすいですが、人口の少ない田舎では十分な利用者を見つけることができない場合もあります。

田舎で土地活用を行うメリット

ご説明したように、人口の少ない田舎は、賃貸住宅や商業施設経営のように利用者の人数とニーズで利益が左右される活用方法には不向きです。そのため、活用したい土地が田舎にあるというだけで有効ではなくなってしまう活用方法も少なくありません。

しかし、すべての土地活用が田舎に向いていないわけではありません。なかには人口が少ない田舎でも十分な利益が上げられるものや、逆に田舎だからこそ利益を上げやすい活用方法も存在するのです。

土地活用を行うにあたり、「田舎ならでは」といえるメリットもあります。たとえば、都会に比べて土地の値段が安いため、広い土地を確保しやすいというのは大きなメリットだといえるでしょう。

また、どのような活用方法を選ぶにしろ、周辺のライバルの数は都会よりも少なくなるはずです。この点は人口が少ないという点が有利に働きます。

十分な広さが確保しやすく、また近隣の建物との距離も都会と比べて遠くなるため、ご近所トラブルが発生しにくい点もメリットです。物音の発生や人、車両の出入りなどがあっても、ご近所からクレームを付けられるリスクは都会と比べて少なくなります。

田舎だからといって、「全体的に土地活用が難しくなりそう」と考えていてはいけません。確かに都会と比べて不利になる点もありますが、逆に有利に働くポイントもあります。デメリットをカバーしつつ、メリットを活かせるような方法を選んでいくことで、土地活用を成功させるのは決して難しくはありません。

田舎に向いている土地活用方法とは?

ここからは、田舎に向いている土地活用方法を具体的にご紹介していきましょう。

太陽光発電

太陽光発電は、活用したい土地にソーラーパネルを設置し、太陽光の力で生み出した電力を業者に販売する活用方法です。太陽光発電というと、一般家庭の屋根などに設置されているソーラーパネルをイメージする方も多いかもしれません。

しかし、産業用太陽光発電を行うには最低でも10kW以上の発電容量が必要です。この発電容量を確保するためには、50坪以上の広さを持った土地にソーラーパネルを設置しなければなりません。

50坪というと、都会であれば一戸建ての敷地よりも広い、そこそこの広さを持った土地といえますが、田舎であればごくありふれた土地の広さです。したがって、十分な広さを持った土地を確保しやすいという点で太陽光発電は田舎に向いている活用方法だといえるでしょう。太陽光という自然のものを利用しているので、利用人数に利益が左右される心配もありません。

初期費用の目安は数百万円程度、利回りは日当たりなど環境により前後しますが、5~10%程度です。売電価格は年々下がる傾向にありますので、早い内に行動した方が良いでしょう。

戸建賃貸住宅

人口の少ない田舎では、賃貸アパート経営や賃貸マンション経営に適した土地はなかなかありません。賃貸経営で利益を上げたいのであれば、戸建住宅を建てて個人に貸し出す方法がおすすめです。

アパートやマンションであれば、入居者を数多く見つける必要があります。しかし、戸建賃貸経営であれば、一世帯に入居してもらえばOKとなるのでだいぶハードルは下がります。賃貸物件とはいえ戸建てなので、一度入居してしまえば長い間住み続けてもらえる可能性も期待できるはずです。

ただし、その肝心の一世帯がより確実に見つかるように、あらかじめ周辺の住宅需要はよくリサーチしておかなければなりません。初期費用は数千万円から、高額なものであれば数億円程度。利回りは10~15%程度です。

不動産会社の一括借り上げを利用すると、賃料の10~20%を業者に支払う代わりに、空室があっても満室時の80~90%を受け取れますので、安定した家賃収入を得られます。

事業用地の貸し出し

地方にも、事業を営む大企業・中小企業はたくさんあります。こうした企業に事業用地として土地を貸し出し、利益を上げるのも一つの選択肢でしょう。

住宅や商業的な需要に乏しい土地でも、事業向けの需要ならある、というケースは少なくありません。事務所や倉庫など、建物を建てて活用する場合でもオーナーとしては単に土地を貸し出せば良く、初期費用の負担がさほどかからないのもメリットです。利回りは3~4%程度です。

高齢者向け施設

田舎は都会よりも若者の数が少なく、高齢者の割合が高い地域がたくさんあります。特に高齢化社会である現在は必然的に、高齢者を対象とした介護施設には多くの需要があるということです。

ただし、高齢者住宅として土地活用を行う場合にはいくつか注意しておかなければならないことがあります。それは、複数ある高齢者向け施設の中から、どの種類の施設を建てるのかということと、その種類の建物に総量規制が適用されていないか、という点です。

総量規制とは、特定の高齢者施設が同じ地域に増えすぎてしまわないように自治体が建設に制限を加える規制で、対象の施設は自由に建設することができません。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)や住宅型有料老人ホームといった、総量規制の適用を受けない施設を建てる方法もあるので、土地の置かれている状況に合わせた活用方法を選択してください。初期費用の額は数千万円から数億円と決して安くはありませんが、利回りは8~10%程度が期待できます。

駐車場

田舎では都会とは異なり、車が主要な移動手段になっているケースがほとんどです。そのため、住宅地のそばなど確かな需要が見込まれるところでは駐車場経営も有力な選択肢に入ります。

駐車場経営は、固定資産税を払うのがせいぜい、というほどで収益性が高いとは言えません。しかし、初期投資も建築費もかからないので数十万円程度の低資金で済み、リスクも少ないので他の活用方法が決まるまでのつなぎとして行ってみるのもいいでしょう。

墓地・霊園

これは「周囲の建物と距離が離れていることが多い」という田舎ならではの強みを活かせる活用方法です。基本的には墓地や霊園を営む事業者と契約して土地を貸し出し、地代収入を得ることになります。

固定資産税額を上回る利益を得ることも可能ですが、「お墓を立てる」という都合上契約期間は数十年など長期に及ぶ場合が多いです。後悔しないためにもある程度覚悟のうえで契約を結ぶ必要があるでしょう。

田舎で土地活用する際の注意点

田舎で土地活用を行うにあたり、注意しておいてもらいたい法規制を2つご紹介します。

市街化調整区域に対する規制

日本国内の土地は、国土の近郊ある発展を促すため、都市計画法という法律に基づいていくつかの種類に分けられています。

注意しなければならないのは、「市街化調整区域」に分類されている土地では新規の建物を建設することができない、ということです。

建物を造れなければ土地活用の方法もかなり限定されてしまうので、この点は非常に重要だといえるでしょう。活用したい土地が市街化調整区域に含まれるかどうかは役所のホームページを閲覧するか、または役所に直接問い合わせることで確認できます。

もし、活用したい土地が市街化調整区域に含まれるとしても、土地活用そのものをあきらめる必要はありません。駐車場経営や太陽光発電、墓地・霊園など建物を造らない方法で活用することは可能ですし、高齢者向け施設や社会福祉施設、医療施設などの建物はたとえ市街化調整区域に含まれる土地であっても、自治体が必要だと判断した場合は建設が認められるケースもあります。

どちらにせよ、活用したい土地が都市計画法でどの区分に含まれるかは一度確認しておきましょう。

農地法に基づく規制

活用したい土地が農地であった場合は、農地法による規制を受けます。農地は原則として耕作以外の目的には使用できない土地なので、活用する場合は農地として活用するか、転用の手続きを行って農地ではない土地に変えるしかありません。

農地も市街化調整区域と同様、農地法によっていくつかの区分に分けられています。このうち、転用が可能なのは以下の2つの区分に含まれる農地だけです。

第2種農地:駅から500m以内など市街化が見込まれる農地
または、生産性の低い小さな集団の農地

第3種農地:駅から300m以内など市街化が著しい地域にある農地

第2種農地はほかの土地で代えることができない場合に、第3種農地は原則として転用が許可されます。こちらも都市計画法に基づく区分と同じく、土地活用を行う前に自身の土地がどの区分に当てはまるか確かめておきましょう。

まとめ

今回は、田舎での土地活用を成功に導くためのポイントと注意点をご紹介してきました。田舎は都会よりも人口が少なく、また土地に法規制がある場合も多いので、事前に周辺の需要と保有する土地の情報をじっくり吟味し、プランを立ててから不動産経営を行う必要があります。

田舎に適した土地活用の方法はいくつかご紹介しましたが、下記リンク先の記事でも利便性の低さという観点から田舎に適した土地活用の方法をご紹介しているので、よろしければ一緒にご覧ください。

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たとえ田舎であっても、注意点を守って適切な方法を選べば土地活用で利益を出すことは可能です。田舎に眠っている土地を持っている方は、ぜひ挑戦してみてください。