70坪を活用したい!賢い土地活用の方法とは?

70坪の土地を活用する場合、どのような方法があるか考えてみましょう。一般的な居住用住宅を建てるとしたら、敷地面積のだいたい半分にあたる30~40坪程度を住宅に当て、残りを庭や駐車場などに利用することで広々とした住まいを手に入れられるでしょう。

しかし、土地活用は居住用住宅を建てる場合ほど簡単にはいきません。利益を上げることが目的なので、初期費用が回収できるかなどきちんとした計画を持って臨まなければならないからです。

70坪の広さで土地活用を考える際、どんなことに気をつけたらいいのか、おすすめの土地活用方法にはどんな選択肢があるのか考えてみましょう。

70坪を土地活用する際の注意点

利益額よりも利益「率」に注目する

当たり前の話ですが、土地活用は広ければ広いほど大きな利益を上げることが可能になります。

たとえば、100坪の土地と70坪の土地があったとしましょう。土地活用を行ったとすると、通常は70坪の土地よりも100坪の土地の方が大きな利益が見込まれます。土地が広い方が多くの利用者が見込まれる活用方法を選べますし、選択肢自体の種類も多いからです。

しかし、これは「70坪では土地活用を行うには狭すぎる」ということを意味しているわけではありません。むしろ、70坪というサイズは事業用としては標準的な大きさで、不動産業者もこうした広さに適したさまざまな活用方法を用意しています。

土地活用においては、利益額そのものの大きさよりも利回りや利益率の方が重要です。「投資額に対して、どのくらいのリターンが得られるか?」、「初期費用を何年で回収できるか?」といった点が重要なポイントになります。

そして、70坪の土地であっても土地活用で高い利益率をあげることは決して不可能ではありません。

似たような大きさの土地とどう差別化するか?

70坪の土地でできる活用方法の多くは、50坪や60坪の土地でもできる場合が多くあります。すでにご説明したようにこれらの広さは土地活用を行う際、一般的なサイズなので、「似たような広さの土地を活用しているライバルが多い」という点には注意しておく必要があるでしょう。

たとえば、自分が活用しようとしている土地のそばに似たような大きさの土地がどれくらいあるか、それらの土地はどのような活用方法を選んでいるか、といったことは事前に確認しておく必要があるでしょう。

そうすることで、ライバルとの競合する活用方法を選んでしまうのを避けられますし、逆にそのエリアでどんな活用方法の需要が多いか見極めることもできるはずです。

もし、あえて近隣にライバルが多い土地活用方法を選択しようと思うのであれば、何かしら差別化できるポイントを考えておいた方が良いでしょう。

70坪におすすめの土地活用

ここからは、70坪の土地にはどんな活用方法が適しているか、いくつか例を挙げてご紹介します。

駐車場にする

「土地活用といえば駐車場」と連想されるほど、一般的によく知られているのが駐車場経営です。最低限、土地の区画割を行うだけで始められるので、初期費用はほとんどかかりません。仮にコインパーキングにする場合であっても数十万円程度で済むのが相場です。

駐車場は「約7坪に1台の車が駐車できる」とされています。したがって、70坪の土地を保有している場合は約10台の車を受け入れる余力があるといえるわけです。実は、この点は周囲に別の駐車場がある場合、差別化のポイントになる場合があります。

たとえば、周囲の駐車場が70坪よりも狭い50~60坪の広さしかない場合、「駐車できる台数が多い」という点で優位に立てるのです。ただし、周辺エリアの駐車場需要が旺盛でない場合、逆に多くの空きスペースを抱えてしまう可能性もあるので注意してください。

これらのことから考えると、駐車場経営が向いているのは「駐車場の需要が多く、かつ周辺エリアに多くの需要が見込まれる土地」を持っている人だといえるでしょう。

駐車場経営は初期費用こそ安いものの駐車スペースひとつにつき月に数千円~数万円程度の利益が限界なので、ニーズが高かったとしても利益率は4%程度と決して高くはありません。積極的に土地活用を行いたいという方よりは、「とりあえず空き地を活用して固定資産税をまかないたい」といった方におすすめです。

賃貸住宅(アパート)を建てて貸し出す

70坪の土地に賃貸住宅を建てて貸し出す場合、建設する施設はマンションではなくアパートになるでしょう。賃貸マンション経営はもう少し広いサイズの土地に適した方法なので、アパートを建てて入居者を募った方が利益を上げやすいと考えられるからです。

賃貸住宅経営は建物の建設が必要になるため、新築する場合、初期投資は建築費用を含めて数千万円程度ですから自己資金で購入するか、もしくはアパートローンを検討する人も多いと思います。

空室や管理費などの経費によって変動しますが、利益率は5~15%程度となります。金銭的なゆとりがあって高い利益を上げたいと考えている方に向いている方法です。

ただし、競合も多いためなにか差別化できる点を考えておいたほうがいいでしょう。おすすめのアイデアは、1階部分をデイサービス、2階部分を賃貸住宅とする「介護併用住宅」を建てる方法です。

デイサービスとは、高齢者が入浴や食事補助などのサポートを受けられる日帰り型介護施設のこと。単に賃貸住宅を建てるより初期費用は高くなってしまいますが、介護需要を取り込めるため普通にアパート経営を行うよりも高い利益が見込まれます。

トランクルームを建てて貸し出す

トランクルームとは、いわゆるレンタル物置のことです。トランクルーム経営には、コンテナ型のトランクルームを敷地内に複数並べる方法と、建物を建設しその内部に複数の収納スペースを設置するルーム型と呼ばれる方法があります。

70坪の広さがある場合、コンテナ型とルーム型、どちらの方法も有力な選択肢です。コンテナ型であれば、50~60坪の土地と比べてトランクルームを設置できる戸数が多くなりますし、ルーム型を選んだ場合も収納スペースや駐車場スペースなどを広く取ることもできます。

また、ルーム型の場合、建物のすべてをトランクルームにしてしまうのではなく、一部を別のスペースとすることも可能です。

たとえば1階部分をトランクルーム、2階部分を賃貸住宅にするといった活用方法も考えられます。このように複数の設備を組合させれば「トランクルーム付き賃貸アパート」として独自性を発揮することも可能になるはずです。

トランクルーム単体(コンテナ型)で見た場合、必要となる初期投資は数百万円、利益率は最大30%程度が見込まれます。高い収益性が見込まれ、駐車場や賃貸経営とくらべても競合が少ないのは魅力ですが、その地域に十分な需要があるか調べるのを忘れてはいけません。

太陽光発電を設置する

太陽光発電というと、一般的なエコ住宅の屋根などに設置されているものをイメージする方も多いかもしれません。

しかし、あれらは「住宅用太陽光発電」と呼ばれるもの。家庭で発生する電気をまかない、余った電気を電力会社に売って利益を上げることを目的とした設備です。

土地活用における「産業用太陽光発電」はそれとは異なり、発電した電気をすべて電力会社に売って利益を得るために運営されます。

産業用太陽光発電には、最低でも10kW以上の発電容量を持った太陽光発電システムが必要です。

地上に直接設置するタイプの太陽光発電システムの場合、10kW以上のものを設置するには最低でも50坪の広さがなくてはなりません。70坪はその基準を十分にクリアしているので、太陽光発電も土地活用の選択肢になりうるのです。

ちなみに、太陽光発電システムは地上に直接置くだけでなく、建物の屋根に設置することも可能です。地上設置の場合は発電システムを守るため、周囲にフェンスなどの囲いを設置しなければなりません。

また、パワーコンディショナー等の機器を設置するためのスペースも必要になるので土地いっぱいにソーラーパネルを設置することはできないのです。

しかし、屋根や屋上に設置する場合は周りの囲いは不要になり、パワーコンディショナー等は建物の屋内に置くことも可能になります。そのため、より少ない面積で多くのパネルを設置できるのです。

たとえば、屋上・屋根設置の場合だと60坪程度の広さがあれば、20kWと太陽光発電システムを設置できます。この点を利用すれば、「賃貸住宅などを建て、その屋上に太陽光発電システムを設置する」といった方法を選ぶことで、限られた土地で多くの利益をあげることも不可能ではありません。

太陽光発電を始めるのに必要な初期費用は1,500万円前後、利益率は5~10%程度です。太陽光を利用するわけですから当然土地の日当たりによって利益率が左右されますが、毎年の日照量が安定しているところであれば安定した収入を確保することができるでしょう。

日当たりが良い南向きの土地で、かつ正方形よりも長方形に近い形をしている方が日照量を確保しやすいといわれています。これらの条件に当てはまる土地を持っている方は、候補の選択肢として考えておいても良いでしょう。

ただし、賃貸物件などの屋上設置を目指す場合は初期費用がその分高くなってしまうことを覚悟しておいてください。

70坪を土地活用する際のポイント

競合と差別化できる点を明確に

「70坪を土地活用する際の注意点」で述べたことの繰り返しになってしまいますが、70坪程度の広さの土地を活用しようとすると競合も多く、ほかの土地と同じ活用方法を選ばざるをえなくなってしまう場合も少なくありません。

たとえそのような場合であっても、少しでも多くの利用者に選んでもらえるよう差別化できる点を意識するべきです。

複数の活用方法の併用も考える

競合との差別化に悩んでいる方は、ひとつの方法に拘るのではなく複数の土地活用方法を組み合わせるというやり方も考えてみましょう。おすすめの方法としてご紹介した「介護併用住宅」、「産業用太陽光発電と賃貸住宅の組み合わせ」といったアイデアを参考に、併用のメリットが得られる組み合わせを考えてみてください。

以上のようなポイントを抑えれば、土地活用で利益をあげられる見込みが高まります。活用していない土地を抱えて悩んでいた方は、専門家のアドバイスも受けながら、この機会にぜひチャレンジしてみてください。