金融機関と顧客との間に発生するトラブルの中でも、特に多いのが名義貸しに関する問題です。名義貸しをしてしまったばかりに余計な借金を抱え、それが原因で債務整理にまで追い込まれてしまう人が少なくありません。
今回の記事では皆さんに名義貸しの危険性を把握してもらいたいと思います。
名義貸しは違法!
名義貸しとは簡単にいえば、名前だけ貸して他人にお金を借りさせることです。この名義貸しはズバリ違法なので、絶対にやってはいけません。名義を貸してお金を借りさせるということは、金融機関を騙していることです。
これは立派な詐欺であり、刑罰の対象です。たとえどんなに大切な相手からの頼みでも、名義貸しの依頼は絶対に断るようにしましょう。
名義貸しで出来た借金は名義人のもの
また、名義貸しで出来た借金は名義人のものです。例えば、AさんがBさんの名前を使って借金をした場合、その借金はすべてBさんの物となってしまいます。
Bさんがどんなに「その借金は実際にはAさんがしたものだ」と主張しても、それが認められることはありません。名義貸しに同意してしまった以上、返済義務から免れることはできないのです。
名義貸しを頼まれた時の解決方法
身内から名義貸しを頼まれた場合には絶対に断ってください。名義貸しを頼んでくる人間はろくな人間じゃない可能性が高いので、付き合う価値が無いと感じたらすっぱり縁を切ってしまってもいいでしょう。
それでもなんとか協力したいという場合は、以下のことを試してみてください。
自分がお金を貸す
どうしてもお金が必要だといって聞かない場合は、自分で相手にお金を貸してしまうのもいいでしょう。お金が返ってくる保証は全くありませんが、少なくとも違法行為に手を染めるよりはずっとマシです。
とはいえ、何の考えもなくお金を貸してしまうのは非常に危険です。たとえ友人や親戚間の貸し借りであっても、必ず借用書を作成するようにしましょう。
債務整理をすすめる
知人に名義貸しを頼むような人はおそらく、金銭的に相当追い込まれているはずです。そのような人は債務整理で救い出すことが出来るかもしれません。債務整理は合法的に借金を少なくしたり、あるいはなくしたり出来る制度です。
一定期間借り入れができなくなってしまうなどのデメリットは有りますが、それを補って余りあるメリットが有ります。債務整理には専門知識が必要不可欠なので、必ず弁護士に相談するように合わせて助言しましょう。
名義貸し詐欺の実体
名義貸しは何も知人友人同士の間でだけ行われるものではありません。よくある名義貸し詐欺は、金融機関の調査をするという名目で金融機関からお金を借りさせて、指定した口座にそのお金を振り込めば謝礼金を支払う、というものです。
残った借金はこちらで支払っておくと言いながら実際には支払われず、後には借金とごく僅かな謝礼金だけが残り、そこで初めて詐欺に気がつくのですが、その時にはすでに連絡が取れなくなっており後の祭り……というのがお決まりのパターンです。
こんなものに騙される人間がいるのか、と思われるかもしれませんが、います。むしろこの手の名義貸し詐欺は昔からあるもので、被害者が後を絶ちません。お金を借りるだけで謝礼金がもらえるという言葉に惑わされて騙されてしまう人は少なくないのです。
繰り返しになりますが、名義貸し詐欺はその行為自体が違法です。知っている相手だろうが、知らない相手だろうがとにかく名義を貸してはいけません。安易な儲け話には絶対に乗らないようにしましょう。
名義貸しで借金ができてしまった場合はどうすればいい?
名義貸しで借金ができてしまった場合は、残念ですが自分で返済するか、債務整理をしなければなりません。債権者にとって見れば名義貸しがあったかなかったかなどはどうでもいい話なので、遠慮せずに取り立ててきます。
借金が返せない場合は、債務整理以外には道はありません。債務整理をする場合は、弁護士に相談して手続きを進めていきましょう。
本来の債務者には一応立て替え金を請求できるが、補償はない
名義を貸した相手の居場所がわかっている場合、名義人が返済した部分については本来の借り手に立て替え金を請求することができます。このような権利を「求償権」と言います。
ただし、この権利が発生するのは名義人が返済した部分についてのみのうえ、確実に回収できる補償はありません。
そもそも詐欺の場合は相手がどこにいるのかわからないので請求しようがありませんし、知人友人の場合でも相手に財産がなければどうしようもありません、繰り返しになりますが、名義貸しは辞めましょう。