【賃貸・車・携帯】などの名義貸しは法律違反!その驚きのリスクとは?

「名義貸し」という言葉を聞いたことはありませんか?もしかしたら実際に経験したことがある人もいるかもしれませんね。

名義貸しとは友人や知人、つまり他人に自分の名前を貸し、その名前でクレジットカードなどの契約を行うことです。契約者名は自分ですが、自分のための契約ではなくて第三者のために契約することを名義貸しと言うのですね。

どうしてわざわざ人の名前を借りて契約するの?と思うかもしれませんが、それにはさまざまな理由があります。たとえばクレジットカードの場合なら、長期延滞をした過去があり、その結果ブラックリスト入りしていて、自分の名前で作ることができないといった理由です。

悪質な場合は最初から人をだます目的で名義貸しを頼む人もいます。詳しくは後述しますが、お金の貸し借りが可能な契約で、人に名前を貸すというのは本当に恐ろしいことなのです。

また、名義貸しはれっきとした「犯罪」です。もちろん、名義貸しを頼んだ人が一番悪いのですが、それを了承した本人も罪に問われる可能性があります。

この記事では名義貸しとは具体的にどういうものか、そして名義貸し本当の恐ろしさについて解説します。

名義貸しってどんなときに頼まれるの?

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名義貸しは友人、知人に頼まれることもありますが、詐欺の常套手段としてもよく用いられています。では、どんな場合によく名義貸しを依頼されるのでしょうか?以下にまとめています。

賃貸マンションの契約時

賃貸マンションの契約時には、その賃貸に住む本人が署名、契約することが前提になっています。ただ、他人名義であっても全員の合意があれば問題ない場合もありますが、契約先に知らせずに別人の名義で契約するのは違法になります。

もし名義貸しをしていたことがバレると、強制退去やさらには違約金の支払いが命じられることがあります。

自動車ローン契約

過去に借金を長期に渡って延滞したり、自己破産など債務整理を行ったりした人は数年間ローンを組むことができなくなります。

そこで、他人の名義を利用して自動車ローンを組もうと考えるのですね。さらに悪質なケースになると、名義貸しで自動車ローンを組んで車を購入し、その車を非正規ルートで売却して、本人は姿をくらますという事例もあります。

名前を貸した人には自動車ローンの借金だけが残るということですね。

クレジットカード作成

よくある詐欺の手段としては、あなたの名前でクレジットカードを作らせ、「請求はさせないから」といって商品を上限額いっぱいまで購入させるというものがあります。

詐欺師は「自社の商品だけを購入してくれればこちらで商品代金は立て替える」もしくは「クレジットカードの請求はこちらで受け持つ」など、都合のいいことを言って商品を購入させる、またはクレジットカードを利用させようとします。

さらに、作ったクレジットカードで30万円分使ってくれれば3万円の謝礼金も渡す、といったオプションもつけて誘惑してきます。

もちろん、最初から謝礼金など渡すつもりもありませんし、請求を肩代わりする気も全くありません。結局、使った分の金額は本人が請求され、詐欺師は姿をくらますのです。

冷静に考えればおかしいことにすぐ気づきそうですが、詐欺師は言葉巧みに被害者をだまし、利益を得ようとするのですね。

また、クレジットカード作成時の名義貸しは友人や知人に頼まれるパターンも多いです。過去に借金の延滞履歴があり、カード会社のブラックリストに載ってしまっている人は自分の名義でカードを作れません。

そのため、第三者の名前を借りてなんとかカードを作ろうとするのですね。

銀行口座開設

銀行口座にはそれ自体に価値があり、犯罪者グループの中では数万円で取り引きされることもあります。

たとえば、オレオレ詐欺の振込口座に指定したりと、犯罪時に足がつかないように自身とは全く関係のない口座を利用するのです。

銀行口座開設の際の名義貸しのよくある手口としては、謝礼金を出すから銀行口座を作ってそれを譲ってほしい、というものです。

お金さえ入れていなければ問題ないだろうと、この手口に乗っかってしまう人がいるのですが、譲った口座は犯罪目的のために利用されるので、見方を変えれば犯罪を助長していると捉えることができます。

また、最悪の場合、犯罪幇助(自身が犯罪に直接関わっていなくても手助けを行った)であるとみなされ、罪に問われることもあります

絶対に自分で使う銀行口座は作らない、または人に譲らないようにしましょう。

消費者金融での借金

これは知人に依頼されるパターンが多いですね。お金に困っているけれど、自分の名義ではこれ以上借りることができない場合などに、返済は全て自分が行うから代わりに借金をしてくれないかと頼まれます。

本人名義で借金ができない理由は、ブラックリストに載っている、多重債務によって法律で定められている借金の上限額に達してしまっているなどいろいろありますが、いずれもお金の工面で困っていることが共通の理由でしょう。

厳しいようですが、こういった人が借金をしてもきちんと完済できる可能性はかなり低いです。さらに、債権者(お金を貸している人)にとっては名義上の借り主はあなたなのですから、借金の取り立ては全てあなたに行われます

でも、自分で使ったお金じゃないから・・・と主張しても、債権者にとってはそんなことは関係ありません。そもそも名義貸し自体が犯罪なのですから、それを理由に取り立てをやめる道理はないのです。

こうして自分のためにした借金ではないのに、日々取り立ての恐怖に怯えることになるのです。こういったことにならないためにも、絶対に名義貸しは行わないようにしましょう。

また、サラ金での名義貸しは詐欺の手法としてもよく使われます。その手口は、消費者金融でお金を借りて、それを渡してくれれば謝礼金を出します、もちろん返済はこちらでやっておきます、といったものです。

最初から詐欺目的ですから当然謝礼金は出ませんし、借金の返済もしてくれるはずがありません。自身に借金だけが残るという恐ろしい手口です。だまされないように注意しましょうね。

携帯電話契約

携帯電話も銀行口座と同じく、非正規のルートで犯罪のためのツールとして売買されています。他のケースと同様に、謝礼金などで誘惑して契約させ、その携帯電話を譲ってもらうという手口が多いです。

今は携帯電話だけでも商品の購入手続きを行うことができるので、うっかり携帯電話を譲ってしまうと、後日見に覚えのない高額な請求書が届くということもあります。

名義貸しの恐ろしいリスクとは?

頭を抱える女性

名義貸しはそれだけで犯罪になりうるものですが、それ以外にもさまざまなリスクがあります。このリスクはたとえ親友や親戚など、近しい人に名義貸しをしたとしても発生します。

あいつの頼みだからと軽々しく頼まれたとおり名義貸しを行ってしまうと、後々大きなトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるのですね。

では、名義貸しには具体的にどんなリスクがあるのかを以下で見ていきましょう。

高額な借金を背負うリスク

このリスクは消費者金融やクレジットカード、自動車ローンで名義貸しをした場合に特に高くなります。あなた名義で借りたお金はしっかり責任を持って返すと約束していたとしても、残念ながら所詮は口約束です。

その約束に法的な拘束力はありませんし、なにより名義貸し自体が違法なので、名義貸しによって高額な借金を背負ってしまった後にそういう約束があったと主張しても誰も聞く耳など持ちません。自業自得だと思われてしまうのがオチでしょう。

これは債権者にとっても同様です。たとえ実際に借金をしていたのが名義上の人物とは別人でも、借金の回収には何も関係がありません。極論を言ってしまえば、貸したお金さえ返ってくればそれでいいのです。

さらに契約書などの正式な書類もあなた名義で契約しているのですから、法的な正当性も債権者側にあります。まさに八方塞がりとなってしまうのですね。

どれだけ相手のことを信用していたとしても、お金に関することは特に慎重になりましょう。名義貸しを迫られた場合はそれが違法であることを説明し、合法的な方法で契約を行うよう説得しましょう。

信用情報機関のブラックリスト入りしてしまうリスク

クレジットカードや消費者金融で名義貸しを行ったあと、名義を貸した相手が失踪してしまうと、残った借金は全てあなたが返していかなければなりません。名義貸しで借金を背負うのは多くはこのケースです。

他にも、返済の手続きを全て任せていたら、知らない間に返済が滞っており、突然自宅に督促状や催促状が届いたというケースもあります。

ほぼ全てのクレジットカード会社、消費者金融は信用情報機関と呼ばれる組合に所属しています。この組合の中ではお金の借り貸しの記録や債務者の個人情報が管理されており、さらに組合に所属している全ての会社で共有されています。

そのため、あるクレジットカード会社で長期延滞をすると、その記録は他のクレジットカード会社にも共有されてしまうのです。

そして、長期延滞や債務整理を行うと金融事故として数年に渡り記録され(いわゆるブラックリスト入り)、その間はクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりできなくなります。

督促状や催促状が届くのはもうブラックリスト入りのタイムリミットギリギリです。自分は特に何も悪いことをしていないのに(名義貸しは違法ですが)、突然金融事故扱いにされてしまうのですね。

カードを作れないくらいなら、と軽く考えてはいけません。あらゆるローンが利用できない、いざというときにお金を借りれないのは思っている以上に不便です。

こういったリスクを回避するためにも名義貸しは行わないようにしましょう。

名義貸しを行った結果、最悪債務整理になってしまうことも

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名義貸しによって背負った借金に対しての救済措置はありません。たとえ実際にお金を受け取っていたのが他人であっても、返済の義務は契約書に署名した本人にあります。

名義貸しのせいだから、といった言い訳は通用しないのですね。ですから、もし多額の借金を背負ってしまってもしっかり返済していかなければならないのです。

そして、借金を返済できないのならば自己破産や任意整理などの債務整理を行うことになります。債務整理それ自体にも数十万の費用がかかりますし、上述した信用情報機関に金融事故として記録されてしまい、ペナルティが課されます。

他人がした借金で自己破産なんて馬鹿らしく感じますが、それが起こりうるのが名義貸しなのです。

名義貸しで背負った借金は相手に請求できる?

実は、名義貸しで背負った借金は後から借金をした本人に請求できます。これを求償権といい、他人の借金を肩代わりにした場合に後から代金を請求できる権利です。連帯保証人制度でもよく用いられるものです。

名義貸しはそれ自体が違法な行為ですし、契約書の名義上の人物が借金の請求をされて当然なのですが、求償権を行使することは可能なのです。

ただ、求償権は肩代わりした借金を支払った後からでないと行使できません。返済前に相手に請求することはできないのですね。

また、名義貸しで借金を背負った場合、名前を貸した相手は失踪しているケースが多いです。求償権は相手の住所などがわからないと行使できないため、借金の返済で支払ったお金を求償権で取り戻すのは現実的には困難だと言えるでしょう。

まとめ

電話する女性

近しい人に頼まれると、名前を貸すくらいならいいか・・・とついつい受けてしまいそうになる名義貸しですが、それには非常に大きなリスクを孕んでおり、とても返せないような借金を背負うことになる可能性があることを知っておきましょう。

また、名義貸しはそれ自体が犯罪行為であり、最悪の場合、詐欺罪などの罪に問われることもあります。絶対に行わないようにしましょうね。