家族が借金できなく出来る?勝手に債務整理やカードは止められる?

いけないこととはわかっていながら、ついつい油断して借り入れを繰り返してしまう……。そんな日々が続いていると自己嫌悪にも陥るというものです。

「いっそのこと絶対に借金ができない環境に放り込んでもらえれば、この癖も直るのに……」と考えたことがある方も少なくないでしょう。

また、家族の借金癖に悩んでいて、強制的に借りるのをやめさせたいという切実な悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

今回はそうした方たちのために「意図的に借金をできない環境を作る方法」について解説いたします。

金融機関の考え方

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金融機関は貸付の前に審査を行います。審査に合格した人だけが、融資を受けることができます。金融機関の審査の内容は年収、職業、家族構成、家の形態など多岐にわたりますが、これらはすべて「その人が借金を返済できるかどうか」の判断に使われます。

問題なく借金を返せそうな人には貸付を行い、返済が滞りそうなときには断る。これが基本的な仕組みです。

したがって金融機関からの借り入れを強制的に止めたいときは、審査に合格しないように自らの条件を悪くすればいい……というのはひとつのアイデアではありますが、実際にそうするのはなかなか難しいですよね。

借り入れをとめるためだけに職業を正社員からフリーターにする、あるいは家を持ち家から賃貸にするなどというのは、現実的な話ではありません。それにすでに審査に合格している人にとってはこれらの施策はすべて無意味です。

で葉、いったいどうすれば借金をせずに済むのでしょうか?

カードの破棄は借り入れ強制停止にならないが、ある程度有効

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キャッシング用のカードを破棄してしまうというのはひとつの手段です。カードの発行には再審査が必要だからです。

再審査を受けるにもいろいろな書類が必要なので面倒くさいですし、そこまでして新たに借り入れを行いたいと考える人はそんなにいないでしょう。

この方法はものぐさな人にとっては効果的と言えます。反面、行動力があり借金に対する執着が強い人にとってはそれほど効果がないことも珍しくありません。そうした方は下記の貸付自粛制度を利用するといいでしょう。

クレジットカードの正しい処分方法

クレジットカードの破棄は一般的に利用者が行うことになります。カードの破棄は正しい手順で行わないと後々のトラブルの元になるので注意が必要です。クレジットカードの基本的な処分の方法は「はさみで細かく裁断する」です。

はさみで裁断する際には、必ず時期データやICチップの部分にもはさみを入れて粉々にする必要があります。また、プライバシーの問題を考えて、印字部分は読めないように特に細かく裁断しましょう。

はさみで裁断するのが面倒だという場合は、プラスチック対応のシュレッダーを使うといいでしょう。はさみで裁断するよりもさらに細かくできる上、手間もかからないので便利です。

ただしプラスチック非対応のシュレッダーを無理やり使おうとすると呼称する可能性が高いので慎みましょう。

裁断したカードは、必ず2つ以上に分けて捨てるようにしましょう。全部まとめてひとつの袋に入れて捨てると、そこから復元される可能性があります。

できるだけ捨てる日も避けたほうがいいでしょう。半分は水曜日に、もう半分は金曜日に捨てるなどすれば万全です。

貸付自粛制度はより強力だが、本人の申請が必要

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クレジットカードの破棄は確かにある程度有効な手段ですが、強制的に借りられなくする方法ではないので、意志が弱いとまた再審査を受けてしまって借りてしまう可能性があります。

もっと強力に借りられない状況を作りたい、という方は、貸付自粛制度の利用をお勧めします。

貸付自粛制度とは、ほとんどの正規の貸金業者が所属している日本貸金業協会に対して、「もう私には貸し出さないでください」と自ら申請する行為です。この制度を使えば、正規の貸金業者からはまず相手にされなくなるので、ある意味安心です。

貸付自粛制度を利用したい場合は、日本貸金業協会に対して連絡を行います。現在日本にある申請先は

(株)日本信用情報機構(消費者金融・クレジットカード関係)
(株)シーシービー(信販ローン関係)※現在は日本信用情報機構と合併

の2社です。こちらに連絡をするのがもっとも確実です。

貸付自粛制度の窓口
http://www.j-fsa.or.jp/personal/contact/way.php

貸付自粛制度の5つの欠点

ただし、この仕組みにも欠点がないわけではありません。貸付自粛制度の主な欠点は以下の5つです。

  1. 本人が申請しないと無効になる
  2. いつでも取り下げることが可能である
  3. 有効期限がある
  4. あくまでも自粛であり、強制力を伴うものではない
  5. 闇金などには効果がない

一つ目の欠点は、本人が申請しないと無効になるということです。たとえば家族が無謀な借り入れを繰り返していたとしても、本人にその自覚がなく制度の利用を拒否した場合はどうしようもないのです。どうにかして説得しなければなりません。

ただし、本人が行方不明になっているなどの事情がある場合は、2親等以内の家族の申請が認められることもあります。詳しくは日本貸金業協会、もしくは各申請先に連絡を行いましょう。

二つ目の欠点は取り下げが可能であるということ。申請から3ヶ月は取り下げができませんが、その期間を過ぎてしまうといつでも取り下げることができてしまいます。一度申請したものについては撤回しないという、意志の強さが求められます。

三つ目の欠点は有効期限があるということ。貸付自粛制度の有効期限は、申請してから5年です。つまり、5年経つとまた借りられるようになってしまうのです。引き続き貸付自粛制度を利用し続けたいという場合は、改めて申告を行う必要があります。

四つ目の欠点はこの仕組みはあくまでも自粛であり、強制力を伴うものではないということです。つまり、金融機関は本人が貸付自粛制度を利用しているとわかったうえで、それでも貸し出すということが不可能ではないのです。

とはいえ、多くの金融機関はこの制度を利用するにいたった経緯を汲んでくれますので、それほど心配する必要はありません。

五つ目の欠点は闇金などの不正な業者に対しては効果がないということです。正規の貸金業者のほとんどは貸金業協会に所属しているのでそれほど心配ありませんが、闇金業者は当然貸金業協会に登録していません。

こうした不正な業者は貸付自粛制度を誰が利用しているかなどは把握していないので、貸し出しを行います。貸付自粛制度を利用している人に対してなお貸し出そうとする業者は、かなりリスクが高いといえます。

しかし、最近は闇金も貸付自粛制度を利用している人の把握を進めているという見方もあります。もちろん善意からではなく、そうした人たちを勧誘するためです。

貸付自粛制度は消費者金融の魅力には勝てないものの闇金などには絶対に手を出さないと考えている人には効果的かもしれませんが、そうでない人にとってはむしろ毒となる可能性を秘めています。

債務整理を行うとブラックリストに登録されるので借りられなくなる

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借金で首が回らなくなってしまったというときは、無理して返済しようとするよりも、債務整理を行ったほうが効果的なことがあります。債務整理は公的、もしくは私的な手続きによって借金を合法的に減額、もしくは帳消しにする行為のことです。

債務整理の一番のメリットはもちろん借金が少なくなることですが、そのほかに「ブラックリストに掲載されるので、借金が強制的にできなくなる」ということもあげられます。

ブラックリストについてよくご存じないという方もいらっしゃるかもしれないので、一応説明をしたいと思います。ブラックリストというのは事故情報の一般的な呼び名のことです。

クレジットカードを作ったり、消費者金融からお金を借りた場合、信用情報機関という民間業者ににそのことが登録されます。そして、支払いが滞ったり、債務整理を行った場合はそのこと(事故情報)も信用情報機関に登録されます。

金融機関は信用情報機関に登録された情報にアクセスすることができます。ローンの審査の際には事故情報が登録されていないかをチェックします。事故情報がある場合、基本的にローンを利用することはできません。

ブラックリストというリストが存在しているわけではありませんが、事故情報が登録されることを比喩的に「ブラックリストに載る」と表現することが多いようです。

債務整理の方法には自己破産、任意整理、特定調停、個人再生等がありますが、いずれの場合でも5年間から10年程度は事故情報が登録されます。期間を過ぎた情報は削除されます。

つまり、債務整理を行えば、5年間~10年間は強制的に借金ができなくなるわけです。その上借金の整理もできるので、一石二鳥の方法といえます。

ブラックリストの嘘と本当

ブラックリストに掲載されると就職に影響するとか、資格が制限されるなどのうわさもありますが、それらのほとんどは嘘、もしくは誇張なのであまり気にする必要はありません。

まず就職に関してですが、金融機関に就職する場合は個人信用情報の開示が求められることがあります。個人信用情報は勝手に開示することは禁止されていますが、本人が開示した情報を他社に伝えることは禁止されていません。

ブラックリストに名前が載っているような場合は、就職に影響が出るようなこともあります。

逆に言えば、金融機関以外の企業に就職する場合は、個人信用情報の開示を求められることはまずないので影響は出ません。つまり、ブラックリストが就職に影響する可能性はほとんど0であるということです。

また、自己破産をした場合は一部の資格(弁護士、司法書士、公認会計士など)の資格が制限されることがあります。ただし、資格が制限されるのは免責が決定するまでの期間(スムーズに行けば3ヶ月程度)なので、それほど心配することはありません。

そのほか、自己破産をすると選挙権がなくなるなどのうわさもありますが、これも嘘です。自己破産をしても選挙権は失われませんし、被選挙権も失われないので供託金さえ用意すれば立候補だってできます。

また、ブラックリストに載っても銀行が使えなくなるわけではないので、預金や投資、公共料金の引き落としなどは以前と変わらずに行えます。

ブラックリストの注意点

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前述のように、ブラックリストに掲載されたからといってそれだけで生活に大きな影響が出ることはめったにありません。しかし、ブラックリストに掲載されている間は、キャッシングやカードローンだけでなく、自動車ローンや住宅ローンなども利用できなくなります。

今後住宅ローンや自動車ローンで困らないように、ブラックリストに掲載されている最中に借金癖を落としておきましょう。

家族の借金の扱いについて

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借金は個々人のものですので、保証人になっていない限りはたとえ家族であろうと基本的に他人の借金を肩代わりする必要はありません。

ただし、婚姻関係のある男女の場合は、保証人の関係になくても借金を肩代わりしなければならない義務が発生することがあります。

民法761条で定められている生活費のための借金、住宅ローン、養育費、学費などは配偶者にも返済義務が生まれますので注意しましょう。

また、たとえば夫が債務整理を行ったとしても、妻や子供、両親名義の財産には影響が出ません(自己破産の場合は夫名義の住宅や自動車などは処分となることが多く、生活にまったく影響が出ないというわけでもありません)。

債務整理は弁護士の下で

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債務整理は非常に複雑な問題なので、一人で行うのは大変です。多少の報酬を支払うことになっても、弁護士などの専門家の手を借りたほうがいい結果が得られるのはいうまでもありません。

家族の借金についても、弁護士に相談すればより最適な解決方法を提示してもらえる可能性が高いです。一人で悩まず、まずは相談するところから始めてください。