初心者が投資先を決める指標を公開!まずは知ってる企業の株を買え

投資をする上で大切なのが、どこの誰に投資をするのか、ということです。将来性や収益性がある投資先を選ばなければ、せっかく投資したお金が無駄になってしまいます。では、投資すべき相手は、どうやって探せばいいのでしょうか。

投資先も大事だが、それ以上に「投資先数」が大事

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いきなり記事タイトルを否定するような見出しになってしまいましたが、投資先よりもまず優先すべきは「投資先数」です。投資先は最低で1、多ければこの世の中に存在するすべての企業ということになりますが、実際には多くの人はその間の数字を取るはずです。

当サイトでは基本的には投資先数を増やす、つまりは分散投資をすることを勧めています。理由は簡単で、分散投資のほうが、破滅的なダメージを負う可能性を小さくすることが出来るからです。

投資の世界において最も大切なのは、市場から退場しないことです。経済というのは世界的な規模で見ればほぼ毎年順調に成長しています。

その成長率に合わせた利回りを上げていけば、ずっと市場に居座り続けることができます。市場に居座り続けさえすれば世界経済の成長にあった利回りを得ることができ、確実に資産を増やすことができます。

世界経済の成長率に合わせた利回りを上げるには、投資先を増やすのが一番です。投資先が増えれば増えるだけ、その利回りは世界経済の成長率に近づきます。

にも関わらず毎年多くの人が市場から退場していくのは、多くの金融商品をバランスよく買わずに、少数の銘柄に集中的に投資をしてしまっているからです。

少数の銘柄に資金を集中させてしまうと、その銘柄が大暴落したときに多大なダメージを受けます。たくさんの銘柄を買っておけば、そのうち1つ2つが大暴落しても大したダメージにはなりません。

このような考え方をして大成功を収めたのが、20世紀のアメリカの投資家、ベンジャミン・グレアムです。彼はリスク分散をするため、常時100銘柄以上の株を保有していました。

また、安全余裕率(自分で見積もった価値よりもさらに安い株なら購入しても良いという余裕率)を重視しており、安全余裕率の高い(自分の見積もりよりもかなり安く売られている)銘柄を良く買っていました。

彼はテクニカル分析というものに対して批判的でした。テクニカル分析とは、今の市場から将来の市場を予測することです。グレアムはテクニカル分析によって長期的に収益を上げたものは1人もいないと断言しています。

一方で、世の中にはグレアムと真逆の徹底した集中投資を勧める投資家もいます。集中投資のメリットは、成功したときの収益率が極めて高いことです。

前述の通り、分散投資は1つ2つの銘柄が上がっても大したダメージにはなりませんが、逆に言えば1つ2つの銘柄が上がっても大した利益にはなりません。

その点、集中投資は銘柄が上がったときにはとんでもない収益を手に入れることができます。有り体な言い方をすれば、集中投資はハイリスクハイリターンな投資なのです。

この考え方で大成功を収めたのがウイリアム・ギャンです。彼もグレアムと同じく20世紀を代表する投資家の1人で、自身で開発した法則に基づいて厳正なルールで運用していました。

1929年の世界恐慌mp1年以上前に予測しており、現在でも世界の投資家から多大なる尊敬を集めています。

彼は分散投資は自身の意識を多数に散らせる悪手と考えていたようで、少数の銘柄をよく吟味して選び、それに集中することが大事とたびたび周辺に説いていました。また、グレアムと違ってテクニカル分析に対しては非常に肯定的でした。

このように、著名な投資家の間でも分散投資と集中投資はどちらが優れているかという点については議論が分かれています。分散投資でも集中投資でも成功する人は成功するし、失敗する人は失敗するのかもしれません。

ただ、傾向として集中投資は富を築くのに向いていて、分散投資は富を守るのに向いているといえます。自身の資産状況に応じて、分散投資を重視するか、集中投資を重視するか決めるといいでしょう。

自分で決めたルールを守ろう

投資の手法は真逆だったグレアムとギャンですが、両者の間には共通点もあります。それは事前に自分で取引のルールをかなり細かく決め、それに従って行動していたことです。

グレアムは「株式も債券もそれぞれ25~75%の範囲で保有する」というスタイルを厳密に運用していましたし、ギャンは「ギャンの価値ある28のルール」という、自身の定めたルールに従って取引を行っていました。

グレアムとギャンがどこまでそのことに気がついていたかは不明ですが、彼らはおそらく人間が自分の感情をコントロール出来ないことに気づいていたのでしょう。だからこそ冷静な時に厳密なルールを定めて、それに従って行動していたのではないでしょうか。

初心者のうちは「知っている企業」の株を買うのが無難

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投資先の決め方は様々な指標がありますが、これらの指標は初心者には理解しづらい一面もあります。

そうした指標を読むのに苦手意識がある場合は、テレビやネットで名前を聞いたことがある、あるいは身近な製品を作っている企業へ投資するのがいいでしょう。我々の生活に馴染みのある会社は、相当な大企業である場合が多いです。

大企業の収益は中小企業の収益よりも安定しており、したがって急激に株価が下落する可能性も低いです。

生活必需品を作っている企業の株は急落しづらい

生活必需品を作っている企業の株価は、そうでない企業と比べて株価が安定しています。理由は簡単で、どんなに不景気になろうとも生活必需品の利用は辞められないからです。

不景気を理由に海外旅行を諦める人はいますが、不景気を理由に電気を使うのを止めたり、食べ物を食べるのをやめたりする人は殆どいません。

こうした株価が安定している株はディフェンシブ株と呼ばれ、長期的な運営をするのに向いています。こうした株は急落することもほとんどない反面、急騰することも殆ど無いので、売却益よりは配当利益を狙うのに向いています。

なお、言うまでもないことかと思いますが、こうしたディフェンシブ株はあくまでも株価が「急落しづらい」だけであって、「絶対に急落しない」わけではありません。

東京電力の株価が東日本大震災の得語にどうなったかは言うまでも無いでしょう。世の中には絶対に安心な株などない、ということです。

成長しそうな企業は狙い目

配当ではなく売却益を狙うならば、これから成長しそうな企業の株を買いましょう。現時点の株価はあまり気にする必要はありません。

売却益とは買ったときと売ったときの値段の差なので、これから成長することが確信できるのならば、今の株価は大した問題ではないからです。むしろ、現時点で株価が安い企業の方が狙い目かもしれません。

とはいえ、どの企業がこれから成長するか、を個人投資家が的中させるのは簡単なことではありません。少なくとも、フィーリングに頼っているようではほぼ不可能でしょう。キチンと分析を行わなければなりません。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の使い分け

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株式投資において、投資判断をするための分析方法は大きくファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つに分類できます。ファンダメンタルズ分析は中長期的な投資判断に、テクニカル分析は短期的な投資判断に使われることが多いです。

もちろんどちらも完璧なものではありませんが、無いよりはあったほうが優秀です。

大きなデータから将来を予測するファンダメンタルズ分析

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ファンダメンタルズ分析は、財務諸表や企業業績などからその企業が賞ありどのように成長していくかを予測する分析です。

会社四季報に記載されているデータ、会社のホームページは経営者インタビュー記事などから、その企業が将来どのように成長していくのかを予想します。

ファンダメンタルズ分析は非常に大雑把なものであり、最初に立てた予想がしっかりと的中することはほぼ考えられません。

しかし、何も考えないよりはしっかりと予想したほうが利益を上げやすいことも確かです。投資の前には十分に決算書類などを読み込んでおく必要があります。決算書類には損益計算書と貸借対照表があります。

損益計算書は1年の家計簿

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損益計算書は、その企業の一定期間(通常は1年)の収入と支出の関係を分かり易い表にまとめたものです。損益計算書では売上総利益、営業利益、経常利益、税匹前当期純利益、当期純利益を確認できます。それぞれの指標は以下の式で計算できます。

1. 売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価
2. 営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費(人件費や家賃など)
3. 経常利益=営業利益+営業外損益(借入金の利息等)
4. 税引き前当期純利益=経常利益+特別利益+特別損失(固定資産の売却や減価償却、災害等)
5. 当期純利益=税引き前当期純利益-法人税等

売上総利益(粗利益)とは、売上高から売上原価を引いた数字のことです。つまり、売上から仕入れを引いた額です。例えば、1000万円分商品を仕入れて、それを4000万円で売れば、売上総利益は3000万円です。

売上総利益は業界によって計算方法が多少異なりますが、基本的には大きい方が好ましいです。ただし、後述する営業利益や経常利益と比べると重要度は低いです。

営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものです。販売費及び一般管理費とは、社員の給料、役員の報酬、商品の広告宣伝費など、営業に使われた費用を差し引いたものです。

つまり、会社が本業でどのくらい稼いでいたかを示すものです。例えば、売上総利益が3000万円で、社員の給料や広告宣伝費などに合計で1000万円使っていた場合、営業利益は2000万円になります。営業利益は本業での儲けを示す指標です。

経常利益は営業利益から営業外損益を差し引きしたものです。企業は営業だけで儲けているわけではなく、他にも収入源があります。例えば、銀行にお金を預けていれば利息を受け取れますし、持っていた有価証券を購入時より高く売れば売却益が得られます。

このような収益を営業外収益と言います。

一方、銀行からお金を借りている場合はその利息を払わなければいけませんし、有価証券を購入時より安く売った場合には売却損が発生します。これらの損失を営業外費用と言います。営業外収益と営業外費用を合わせて営業外損益と言います。

例えば、営業利益が2000万円で、受取利息が100万円あり、支払利息が50万円ある場合、経常利益は2050万円となります。経常利益は企業の経営状態を知る上でもっとも重要な指標とされています。

税引き前当期純利益とは、経常利益から特別利益と特別損失を差し引いたものです。特別利益・特別損失とは、その都市だけ発生する一時的な利益や損失のことです。固定資産売却益や災害による建物の損失などが含まれます。

経常利益が2050万円で、固定資産売却益が300万円だった場合、税引き前当期純利益は2350万円となります。

税引き前当期純利益はその年の利益がどれくらいあったのかをより正確に表していますが、来年以降の予測をするのならば経常利益のほうが役立ちます。

例えば、税引き前当期純利益が赤字でも、その原因が災害による損失であり、なおかつ経常利益は前年と同程度にあれば、企業の経営自体は問題ないと判断できます。

当期純利益は、税引き前当期純利益から税金を引いたものです。企業が支払わなければならない税金には、法人税、住民税、事業税などがあります。税引き前当期純利益が2350万円で、税金が1350万円だった場合、当期純利益は1000万円となります。

純利益が発生した場合、そのお金は資本金に組み込まれます。資本金が増えている会社は、毎年安定して当期純利益をプラスにできている企業だと考えて下さい。

貸借対照表は企業の健康診断書

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損益計算書がその企業の1年の経済活動の成果を示したものであるのに対して、貸借対照表はその企業の現時点での健康度を示したものになります。

貸借対照表の左側には資産、右側には負債と純資産が書かれています。左側の金額と右側の金額はなからず一致するため、バランスシートと呼ばれることもあります。

純資産が多い企業は優良企業

企業の資産とは、その企業が持っている土地や建物などの合計のことです。これらの購入費用は企業自身のお金(純資産)と、何処かから借りたお金(負債)に分類できます。

当然、負債よりも純資産のほうが大いに越したことはありません。資産に対する純資産(自己資本)の割合を自己資本比率と言います。自己資本比率が40%絵を上回っている企業は安定した優良企業と言えます。

しかし、自己資本比率が低い企業には見込みが無いのかというと、必ずしもそうとはいえません。中小企業は自己資本が少ないので、どうしても借入金に頼らざるを得ません。

そうしなければ事業を拡大できないからです。中には借り入れでスピーディーに事業を拡大して、急成長を遂げる会社もあります。

流動比率は借金の返済能力を示す指標

貸借対照表には、流動資産と流動負債という項目があります。これは簡単に言えば、1年以内にに現金に変えられる資産と、1年以内に払わなければならない負債です。前者を後者で割ったものを流動比率と言います。

流動比率が100%を超えているということは、1年以内に手にできる現金の量が1年以内に返済しなければならない借金の量を超えているということであり、経営状態は健全であるといえます。

逆に100%を下回っていればその企業は危ない、ということになります。流動比率は200%以上が理想とされていますが、数値は業種によっても異なります。

効率的な営業ができているかを示す3指標

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以下の3つの指標をご確認下さい。

売上高総利益率=売上総利益/売上高
売上高営業利益率=営業利益/売上高
売上高経常利益率=経常利益/売上高

売上高総利益率は、売上高に対する売上総利益(粗利益)の割合を示したものです。高ければ高いほど、原価の低いものに高い付加価値をつけられている、つまりは効率的な商売ができているということになります。

売上総利益は売上高から売上原価を引いたものなので、仮に売上原価が0だとすれば、売上高総利益比率は1(100%)になります。売上に対する原価が大きくなればなるほど、売上高総利益率は小さくなります。

売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示したものです。これが高ければ高いほど、営業効率がよい、少ない人件費や広告費で売上を得られているということになります。

売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合を示したものです。これが高ければ高いほど、売上の多くがそのまま利益につながっている、無駄のない経営を行えているということになります。

本業以外の部分も含めた企業の総合的な効率性を知りたいのならば、売上高経常利益率を確認しましょう。

資産をどれだけ有効活用できているかがわかる「総資産回転率」

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総資産回転率=売上高/総資産

企業は建物、土地、美品などの資産を使って、そこから売上を産んでいます。総資産に対する売上高の割合を総資産回転率と言います。総資産回転率が高いということは、少ない資産で効率的に売上高を増やしている、ということになります。

逆に総資産回転率が悪いということは、資産をたくさん持っているのにそれを売り上げにつなげられていない、ということになります。

総資産回転率が低い企業は、売上に貢献していない資産を売却したり、あるいはそのままの資産で売上高を増やすなどして、総資産回転率を上昇させる必要があります。総資産回転率の高い企業は、将来株価が上昇する可能性が高いです。

その他、株式購入の際に参考にすべき指標

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PER=株価/1株あたりの利益

PERとは、株価と会社の収益力を比較する指標です。株価に対して、企業が実際にどれくらいの収益を挙げられているのかがわかります。

PERが大きいということは、実際の収益力に対して株価が高すぎる、つまり株が過剰に評価されているということなので、将来的には株価は低下するものと予測できます。

逆にPERが小さいということは、実際の収益力に対して株価が低すぎる、つまり株が過小に評価されているということなので、将来的には株価は上昇するものと予測されます。PERが小さい株は言ってみれば「割安」な株なのです。

日経平均の平均PERは14で、これが一つの指標になります。PERが14以上ならば割高、14以下ならば割安、ということです。また、その企業のPERの推移を見ることも有効です。

PBR=株価/1株あたりの純資産

PBRは、株価と純資産の割合をしめした指標です。株価に対して、企業がどれくらいの純資産を持っているかを示したものです。

たとえば、ある会社がいま営業を終了して解散することになっとします。その場合、会社は純資産の中から支払い義務がある費用(借入金や買掛金など)を支払い、さらに社員に給料や退職金を支払います。

そして、それでもお金が残った場合、株主に対して持ち分に応じてお金を配当します。PBRが低いほど、会社が解散したときに株主が受け取れる金額は増えます。

PBRが高いということは、会社が持っている純資産に対して株価が高すぎる、つまりは株が過剰に評価されているということなので、将来的には株価は低下するものと予測できます。

逆にPERが小さいということは、純資産に対して株価が低すぎる、つまり株が過小に評価されているということなので、将来的には株価は上昇するものと予測されます。PBRが小さい株は言ってみれば「割安」な株なのです。

PBRの基準は1です。会社が解散したときに受け取れる金額と、会社の1株あたりの純資産は、理論上は一致するはずだからです。しかし、株価と言うのは必ずしもあるべき価格で存在するわけではありません。

業績が悪く、純資産が減っていても、そのことに気が付かない人がたくさん株を欲しがれば株価は上昇し、PBRは上がります。逆の現象が起これば、PBRは下がります。それでも長期的に見ればPBRは1に近づくはずなのですが、現実はそうなっていません。

PBRの便利なところは、他者との比較が必要ないことです。PBRが1倍より低ければ割安、PBRが1より高ければ割高です。これはゆらぎようがありません。

ただし、創業間もない会社は純資産の割合が少ないため、どうしてもPBRが高くなりがちです。企業が成長して借入金の返済が進むに従って、負債の比率が低下してPBRも1に近づくはずです。

なお、PBRが低いということは、見方を変えれば投資家が期待していない(純資産が多い割に株を買いたがる人がいない)ということでもあります。

実際、PBRが1未満の企業の中には、業績が振るわないところも多くあります。割安感だけで株を買うのは避けたほうがいいでしょう。

EPS=当期純利益/発行済株式総数

EPSは、1株あたりの利益を示す指標です。株式の発行総数に対して、どれくらい利益が上がっているかを示しています。例えば、当期純利益が10億円で、発行済株式総数が100万株の場合、1株あたりの利益は100円ということになります。

ファンダメンタルズ分析の優秀さと限界

ファンダメンタルズ分析は、長期的な未来の予測をするのに役立ちます。様々な指標を組み合わせて使えば、それだけ予想の的中率も上がるはずです。

とはいえ、将来が完璧に予見できることはもちろんありません。多くの銘柄の株を買うことによって、リスクヘッジが可能になります。

過去と現在から未来を予測するテクニカル分析

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テクニカル分析では、ファンダメンタルズ分析とは対象的に、銘柄ごとの個別の事情についてはあまり考慮しません。ただ単純に現在の価格から、今後の価格を予測します。

ファンダメンタルズ分析が長期的な予測をするのに向いている手法であるのに対して、こちらは主に短期的な予想をするのに向いています。

テクニカル分析は、株価が今後短期的に上がるのか、それとも下がるのかというトレンドを予想するものです。テクニカル分析の中でも最も有名な指標がローソク足と移動平均法です。

どちらも時間を考慮するため、時系列系と呼ばれることがあります。また、テクニカル分析は順張り系と逆張り型に分けられることもあります。

順張り系とは、株価のトレンドが今後も同じ方向に移動する、と予想するものです。例えば、現在株価が上昇局面にあるからもうしばらく上昇するはずだ、あるいは株価が下落局面に在るからもうしばらく下落するはずだ、と考えます。

順張り投資は株価の上昇や下降を確認してから買うので、最安値で買うことはできませんが、その分利益を出しやすく、初心者向けの手法とされています。

逆張り投資はそれとは全く逆に、株価のトレンドが間もなく反転する、と予想するものです。例えば、現在株価が上昇局面にあるからもうこれ以上は上がらず下がるはずだ、あるいは株価が下落局面にあるからもうこれ以上は下がらず上がるはずだ、と考えます。

逆張り投資は底値で買うことを目的としているため、うまく行けば大きな利益を出すことができますが、失敗する可能性も高く、どちらかと言えば上級者向きと言えます。

ローソク足の読み方

株価の動きを一つの図で説明したものが、ローソク足です。ローソク足は日本で生み出されたという怪しげな説もありますが、とにかく現時点においては世界中で使われている重要な指標です。ローソク足は1日の株価の動きを示したもので、以下の3種類があります。

株価が始値よりも終値が高く終えたことを意味する「陽線」(白い長方形を中止に構成されている)
株価が始値よりも終値が安く終えたことを意味する「陰線」(黒い長方形を中心に構成されている)
株価が上昇も下降もせず終えたことを意味する「十字足」(長方形が存在せず、線のみで構成されている)

陽線は長方形の下端が始値、上端が終値です。陰線は長方形の上端が始値、下端が終値です。また、その日一日の最高値や最安値がある場合は、長方形の上下にヒゲと呼ばれる縦線を付けます。

これを並べたものを日足チャートと言います。日足チャートを並べることによって、その銘柄の株価がどのような動きをしているかを概ね把握することができます。

移動平均線の読み方

移動平均線とは、その日の終値の平均値を組み合わせた折れ線グラフのことです。例えば、25日移動平均線の場合、その日から遡って25日間の株価の終値を平均したものが1日目の移動平均値となります。

2日目以降も同じように移動平均値を取っていき、最後にそれを先で結べば移動平均線の出来上がりです。移動平均線は5日移動平均線と25日移動平均線の2つを使うのが一般的です。5日=1周間、25日=1ヶ月というわけです。

実際の株価が移動平均線から大きく離れている場合、実際の株価は移動平均線に近づくという修正があります。なので例えば移動平均線が実際の株価よりもかなり上にある場合は、これから株価が下落してくるサインなので、その前に手放したほうがいいということになります。

逆に移動平均線が実際の株価よりもかなり下にある場合は、これから株価が上昇してくるサインなので、まだ手放さないほうがいいということになります。

出来高が多いほど売買が活発

株式の売買とは、買う人と売る人の双方の合意がなければ成立しません。したがって、出来高(売買が成立した株数)が多いほど、売買が活発であるということができます。

株価が大きく動く前、あるいは株価が動き出した直後は、出来高が増える傾向があります。出来高が増えると一般的に、株価は急変します。急に上がることも、球に下がることも考えられます。

また、上昇トレンドにおいて出来高が減少している場合は、マーケットから資金が流出して、天井が近づいていると考えることもできます。

投資先を決める「心理」を理解しよう

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ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析も、どちらも論理的な分析です。論理的な分析は大変素晴らしく有用なものですが、一方で人間の心理を無視しているものでもあります。

ファンダメンタルズやテクニカル分析をきちんと学んでも損する人もいますが、その人より少ない勉強量で利益をあげられる人もいます。才能の違いと言ってしまえばそれまでですが、両者の間には心理的な差異があるとも考えられます。

投資で成功している人は大抵、自分の心理をコントロールするのが上手です。それが無意識にせよ、意識的にやっているにせよ、彼らはあまり感情に流されません。

つまり、極めて機械的に投資先や売買のタイミングを決めているわけです。逆に投資で負ける人は、せっかく学んだ分析手法を無視して感情的な取引を行ってしまいがちです。

なぜ利益は小さく、損失は大きくなるのか

投資家が感情的に行動すると、必ずと行っていいほど利益は小さく、損失は大きくなります。人間の利益に及び損失によって得られる効用(満足度)は、金額と必ず正比例するわけではありません。

どちらの場合も、効用は低減していきます。例えば、100万円手に入れた場合に得られる効用は、50万円を得た場合に得られる効用の2倍にはなりません。

せいぜい1.2倍とか1.3倍とか、その程度です(もちろん個人差はありますが、2倍を超えることはめったにありません)。逆に、100万円失った場合に失う効用も、50万円失った場合に失う効用の1.2倍か1.3倍にしかなりません。

したがって、人間は利得局面においては、危険を回避します。例えば、100万円を55%の確率でもらえるのと、確実に50万円もらえるのならば、期待値的には前者を選ぶべきですが、大抵の人は後者を選びます。

100万円で得られる効用も50万円で得られる効用も大して変わりがないので、確実にお金がもらえる方を選ぶわけです。

逆に、損失局面においては、危険を愛好します。例えば、100万円を55%の確率で失うのと、確実に50万円失うのならば、期待値的には後者を選ぶべきですが、大抵の人は前者を選びます。

100万円で失う効用も、50万円で失う効用も大して変わりないので、損失が回避できる可能性がある方を選ぶわけです。

なぜ人は現状を変えようとしないのか

人間には程度の大小こそあれ、現状維持バイアスというものがあります。これは無意識のうちに現状を維持しようとする心のメカニズムのことです。現状を維持すれば、新しいことに取り組む必要はありません。

したがって、新しいことを覚える必要もないわけで、そのぶん楽ができるわけです。だからこそ多くの人は行動した方がいいと合わかっていても行動せず、損失を拡大させてしまうのです。

機械的に投資先を決めて、機械的に売買しよう

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投資で人が失敗する理由は、感情的な取引をしてしまうためです。きちんと分析どおりに投資先を決めて、分析どおりに売買を繰り返していけば、そうそう大きな痛手を負うことはありません。感情をきちんとコントロールできれば、まあまあ勝つぐらいは出来るのです。

繰り返しになりますが、一流の投資形は皆最初に決めたルールを機械的に、厳粛に運用することによって多額の利益を得ています。投資先の選び方以上に、メンタル面が需要なのかもしれませんね。