FXでレバレッジを効かせすぎると借金することに……

FXは素人でも勝てるチャンスが十分にある投資です。しかし、その一方で非常に投機性が高く、読み間違うとあっという間に借金を背負ってしまいます。

特にハイレバレッジで取引をする時は十分な注意が必要です。今回はFX取引に伴うリスクと、そのリスクを避ける方法を解説したいと思います。

FXは通貨を買ったり売ったりして儲ける取引

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FXの名前は聞いたことがあっても、実際にどんな取引をするのか走らないという方も多いのではないでしょうか。FXとは簡単にいえば、海外の通貨を買ったり売ったりして、為替変動によって儲ける取引のことです。

例えば、今のドル円レートが1ドル=100円だとします。この時点では、100円支払えば1ドルを手に入れることができます。そしてその1ドルを、1ドル=110円になった段階で売却すれば、110円を手に入れることができます。

最初に100円支払って、その後110円手に入れたのですから、差し引き10円の利益です。これがFXの基本的な仕組みです。

また、FXでは上記のように買いから入る他に、売りから入ることもできます。

まず、1ドル=100円の時点で1ドルを売ります。その後1ドル=90円になった時点で、最初に売った1ドルを買い戻します。最初に100円手に入れて、その後90円支払ったのですから、差引10円の利益です。

FXでは円高・円安どちらに触れようと儲けるチャンスが有るのです。もちろん、為替レートの動きを読み間違えてしまえば、損することもあります。

FXではレバレッジ取引ができる

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さて、例えば1ドル=100円の段階で1万ドルを購入し、その後1ドル=110円になった段階で売却したとします。この場合、儲けは(110円-100円)×1万=10万円です。

決して小さな額とはいえませんが、短期間でドル円レートが10円も変動することなどめったに無いですし、100万円の資金に対して利益が10万円というのは微妙に感じる人も少なくないかと思います。

そこで活用したいのがレバレッジです。レバレッジとは、預けている資金以上の取引をする仕組みのことです。レバレッジには倍率があり、例えば100万円の資金で1000万円分の取引をする場合、レバレッジは10倍であるということができます。

10倍のレバレッジをかければ、その分だけ利益も大きくなります。もちろん、損失も大きくなります。

例えば、100万円の資金でレバレッジを10倍にして、1ドル=100円の時点で10万ドルを購入したとします。その直後に1ドル=120円までなれば、(120円-100円)×10万=200万円の利益です。

しかし、その直後に1ドル=80万円になれば、(100円-80円)×10万=200万円の損失です。資金が100万円で、損失が200万円なので、100万円の借金を背負ってしまうことになります。これがFXで借金を背負うことになる原理です。

ロスカットが正常に働いていれば借金を負うことは通常ない

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しかし、実際の取引では借金ができる前に自動的にロスカットが行われるため、通常は借金を背負うことはありません。ロスカットとは自動的に行われる損切りのことで、証拠金維持率が一定以下の水準になった時に行われます。

FXでは、最初に証券会社に対して預け入れる資金、つまりは元本のことを証拠金といいます。証拠金を預けて、レバレッジを掛けて行う取引を証拠金取引といいます。

現在預け入れている証拠金に対して、含み損・含み益まで考慮した証拠金の割合のことを証拠金維持率といいます。決済をせずにポジションを維持している場合は利益や損失は確定していませんが、仮にその時点で利益や損失を確定させた場合にどうなるかを考えます。

仮にその時点で決済したら発生するであろう利益を含み益、損失を含み損といいます。

例えば、証拠金が10万円、レバレッジが10倍で、1ドル=100円の時点で1万ドルを購入したとします。この時点で所有しているポジションの価値は100万円です。

その後1ドルが99円になった場合、1万ドルは99万円の価値になります。100万円だったものが99万円になったので、この時点での含み損は1万円です。よって証拠金残高は10万円-1万円=9万円となります。

つまり、証拠金維持率は9万円÷10万円=0.9=90%です。この証拠金維持率が一定の数値以下になると、自動でロスカット(強制決済)が行われるため、資金を大きく失うことはあっても、借金を背負うことは通常ないのです。

為替変動が急だとロスカットが間に合わないことがある

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しかし、実際の為替の世界では、価格が急激に変動することがあります。その価格変動があまりにも急だと、ロスカットが正常に機能しないことがあります。

ロスカットが正常に機能しないと、売買取引がいつまでたっても成立しないので、不利な価格での決済を強要され、資金(証拠金)以上の損失を出してしまい、借金を背負うことになるのです。

レバレッジは3倍~5倍程度に抑えるのが望ましい

レバレッジが高ければ高いほど、急な価格変動が起きた時に借金を背負ってしまう可能性が高まります。特に初心者のうちは、レバレッジは3倍~5倍程度に抑えたほうが良いでしょう。

為替変動が小さいドル円などはもうちょっと大きくしても良いかもしれませんが、それでも7倍程度に抑えておいたほうが懸命です。逆に南アフリカランドなど、為替変動が大きい通貨は2倍程度にしておいたほうが良いかもしれません。

FXでの借金は債務整理できる?

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さて、仮にFXで大損を出してしまって債務整理をする場合はどうすれば良いのでしょうか。任意整理、特定調停、個人再生の場合は借金の理由を問われることはありませんが、自己破産の場合は借金の理由が問われます。

自己破産には免責不許可事由という、借金が免責されない事由がいくつか定められています。株取引やFXなどの射幸行為は免責不許可事由の一つに定められているため、原則的にFXで借金を作ってしまった場合は免責を受けることができません。

ただし、自己破産にはもう一つ裁量免責という制度があります。裁量免責とは、免責不許可事由があったとしても裁判所が裁量で免責を与える仕組みのことです。

実際には免責不許可事由があっても裁量免責を受けられるケースが殆んどなので、自己破産を諦める必要はありません。FXで借金ができてしまったら、まずは専門家に相談してみましょう。

※相談前にこちらで借金がどこまで減額できるか診断できます。