公務員への転職事情!年齢制限や仕事の内容など

民間企業で働いていると、あまりの残業の多さや休日の少なさに嫌気がさすことがあるかもしれません。

「こんなことなら、民間なんて目指さずに公務員として就職すればよかったな・・・」なんて思うかもしれませんね。公務員の仕事は楽、しかも定時あがりで高給取り、世間にはこんなイメージがいまだに存在しています。

また、首やリストラになるリスクはほとんどありませんから、その点で公務員に憧れを持つ人もいるでしょう。やはり「安定」はとても大事なものですからね。

ただ、公務員はそこまで夢のある仕事ではありません。昨今では公務員にも残業が当たり前に存在しますし、給料も世間で言われているほど高くはないのです。

そして、公務員への転職には年齢制限も関係してきます。制限は多くの自治体で30歳前後に設定されており、それを超えると試験を受けることすらできません。

今回は公務員への転職事情をお話ししていきます。仕事内容や残業の有無、給料に焦点を当てて解説していきますね。

民間から公務員へ転職する人は多い

民間から公務員へ転職する人は、おそらくあなたが予想しているよりもずっと多いです。受験者や合格者の正確な数字が発表されているわけではありませんが、私が公務員として働いていたとき、同僚の3割程度は民間経験者でした。

どうして民間から転職してきたのかと尋ねると、やはり労働条件だと答える人が多かったですね。前職の残業の多さや人間関係に限界を感じ、公務員として入庁することを選んだ人がほとんでした。

公務員の仕事はお世辞にも専門性が強いわけではありませんから(もちろん部署によります)、中途採用でもすぐに仕事を覚えることができ、能力面で周囲に遅れを取ることはほぼありません。

また最近は、一般枠とは別に社会人経験者枠をもうけている自治体も増加しています。民間企業経験者を重用する流れが出てきているのですね。

しかし、公務員の仕事は楽だと軽んじるのは間違いです。部署によっては市民や町民の人を相手にすることになり、とんでもないクレームをつけられることも多々あります。

B to Cの会社で働いたことがある人ならよくわかると思いますが、ビジネス関係のない相手と仕事で接するのはとても大変です。さらに、公務員に対する世間のイメージは決していいものではありませんから、ときにはいちゃもんをつけられることだってあります。

もしかしたら、現在の職場よりも人間関係で疲弊してしまうかもしれません。公務員の仕事は楽だから公務員になりたい!というのは避けたほうがよいでしょう。

公務員の仕事内容は?

公務員の仕事内容はこんな感じ!と一概に言い切るのは不可能です。というのも、部署によって業務内容は大きく異なり、また、所属先の部署は自分の意思で決められないため、どんな仕事をすることになるのかは配属が決まるまでわかりません。

総務や財務であれば市民、町民と接する機会はあまりなく、仕事のほとんどは事務処理になりますが、福祉や教育関係になれば業務のほとんどは市民を対象にしたものになります。

公務員は役所で職員相手に事務仕事をしているだけ、なんて揶揄されることもありますが、決してそんなことはありません。

福祉のケースワーカーになると、生活保護受給者の家庭訪問を行うこともありますし、市政を担当する部署になると、TV局や新聞記者を相手に説明をすることだってあります。

また、部署がコロコロ変わるのも公務員の特徴だと言えるでしょう。基本的に3、4年おきに部署が変更になり、今までの業務と全く関係のない仕事内容になることもあります。

たとえば、先月までは教育委員会にいたのに、今月からは土木関係の部署にいる、なんてこともありえるわけです。

こうなると今まで身に着けてきた仕事のノウハウもほとんど役に立たなくなり、また一から仕事を覚えなおさなくてはなりません。

課長補佐クラスになるとある程度部署は固定されますが、40歳くらいまではさまざまな部署に配属されると考えておいたほうがよいでしょう。

このような事情から、新しいことにどんどんチャレンジしたい人は公務員に向いていると言えるかもしれません。逆に、一つの仕事を突き詰めたい、職人肌のような人には不向きだと言えるでしょう。

公務員にも残業はある?

公務員の勤務時間は9時5時の8時間労働で残業なし、なんて言われていますが、それはずっと昔の話です。

ひと昔前は公務員の数も多く、仕事もそこまで多くなかったので、9時5時が日常でした。しかし最近では、公務員数の削減、仕事量の増加により、残業は当たり前のこととなっています。

残業の多さもやはり部署によって大きく違います。中には残業がほとんどない部署(月5時間程度)も存在し、そういったところに配属されればラッキーだと言えるでしょう。

逆に、残業が月50時間を超えるような激務な部署も存在します。とくに忙しい部署は教育関係、青少年関係、財務、福祉だとされており、これらの部署は忙しい時期では100時間を超える残業を強いられることもあります。

もう一つ、公務員だからといって残業代が100%出るとは限りません。部署ごとに1年間の予算が決められており、その予算内でしか残業代は支給されません。残業代を出したくても、予算がないからどうしようもないのです。

そのため、残業が多い部署では半年も経たないうちに予算が尽きてしまい、残りの半年は全てサービス残業、なんて可能性もあるわけです。

もちろん、最近の労働環境の見直しの風潮から、こういったサビ残への対策は取られつつあります。それでも完全になくなるのには数年、十数年はかかるでしょう。

公務員には残業がない、あっても残業代はしっかり支給される!と夢見て入庁すると、現実とのギャップに打ちのめされてしまうかもしれません。

公務員の給料

公務員の給料システムは全て公開されており、ネットからでも閲覧できます。気になる人は一度検索してみましょう。

高給取りだとよく文句を言われる公務員ですが、実情はそこまででもありません。とくに役職に就くまでの20代、30代の給料は決して多くありません。

20代のうちは残業代なしでは手取りで25万を超えることはまずありませんし(東京都以外)、30万円を超えるのも40歳前後です。

そのぶん、40代中盤からは役職に就くことで昇給スピードがやや速くなりますが、それでも600万円ほどで、定年近くになっても700万円を超えるかも程度です。

これを高給だと捉えるかどうかは今の仕事の給料によるでしょう。ある程度の大きさの企業で働いていれば、30代で500万円もらうことはそこまで難しくありません。大手企業なら3年目程度で達成できる年収かもしれませんね。

また、公務員は福利厚生が充実していて、手当も多いと言われていますが、実際は民間企業とそう変わりません。

公務員の特権と言われていた共済年金も消滅しましたし、手当の数も昔と比べると圧倒的に減りました。そのため、もらえる給料は基本給に多少の残業代を足したくらいです。

正直、給与面ではもっと恵まれている企業がたくさんあるので、高給取りを目指して公務員になるのはちょっと違うかな?と感じます。

公務員試験の年齢制限に注意

公務員になるのに学歴や職歴はあまり関係ありません。学歴によって多少の有利不利はあるかもしれませんが、筆記試験と面接試験、または人物試験からなる採用試験を通過できれば誰でも公務員になることができます。

唯一ある条件が年齢制限です。地域や自治体によって定められている年齢は異なり、それをオーバーしていると公務員になるどころか、試験の申し込みすら受理してもらえません。

多くの自治体で、年齢上限は30歳から35歳程度に設定されています。自分の希望する自治体の年齢制限にひっかかる場合は、他の自治体を探してみましょう。35歳までなら十分チャンスはあります。

また、年齢が高いからといって面接で不利になるということはそこまでないはずです。30歳前後で入庁してくる人もたくさんいたので、しっかり試験対策をしていけば合格できるでしょう。

民間から公務員への転職はよく考えてから

民間から公務員への転職は比較的容易ですが、その逆は難しいとよく言われます。つまり、一度公務員に転職すれば、残りの人生は全て公務員として働くことになるかもしれません。

それでも自分は公務員として働きたいと思うなら、ぜひ入庁を目指しましょう。強い意志があれば、筆記試験の勉強もそこまで苦ではありませんし、面接対策もスムーズに進むでしょう。

また、転職が目的であるなら、公務員を目指すよりも、もっと条件のいい民間企業を探したほうがいいかもしれません。

とくに、公務員は楽そうというイメージだけで公務員になろうとするのは危険です。一度、転職市場をチェックしてみて、自分に合った職場がないか探してみましょう。

転職には大きなエネルギーが必要になるので、しっかり準備したうえで行動するようにしましょうね。

まとめ

なんだか公務員へのネガティブキャンペーンみたいになってしまいましたが、これらは全て事実です。

ただ、自治体や部署によって労働環境は大きく異なるので、基本的に9時5時で残業代もバッチリ出る、というところもあるかもしれません。とはいえ、その部署に配属されるかは運ですし、数年後には違う部署に転属になるでしょう。

一番伝えたかったことは、あまり公務員に夢を見すぎないほうがいい、ということです。思い込みが強い人ほど、予想外の労働環境だったときに余計に辛く感じ、早期転職なんてことになってしまうかもしれません。

周囲に公務員として働いている人がいるのなら、ぜひ話を聞いてみるとよいでしょう。実際はどんなものなのか、ネットで情報を集めるよりも参考になるはずです。慎重に転職活動を行っていきましょうね。