複数のローンを借りている場合、一度は検討したいのが、借金の一本化です。借金を一本化することで、金利を低く出来たり、手数料を減らせたり、返済の手間を減らせたりします。
メリットがある一方で、限度額が上がるため、審査は厳しくなる傾向があります。ここでは、借金一本化の審査に通るためのポイントを紹介します。
借金の一本化の特徴
借金の一本化と一口に言っても、さまざまなケースが考えられます。
ケース2:2社から100万円ずつを借りていて、1社で200万円のローンにまとめたい
ケース3:3社から80万円ずつを借りていて、1社で240万円のローンにまとめたい
ケース4:4社から100万円ずつを借りていて、1社で400万円のローンにまとめたい
ケース1よりもケース2のほうが、ケース2よりもケース3のほうが、ケース3よりもケース4のほうが、審査の難易度が上がることはなんとなくお分かりでしょう。
ケース1 < ケース2 < ケース3 < ケース4
しかし、後のケースになるほど、メリットは大きくなるとも考えられます。
カードローンでは限度額が増加するほど金利は下がるので、例えば、限度額100万円では金利12%だったものが、限度額400万円では金利が6%になるといったように、大きく金利が下がります。
4社から100万円ずつを金利12%で借りているという状況が、いかにリスキーな状況であるかということを表しているとも言えます。1社から借りれば金利は6.0%になるのですから、実に2倍の利息を支払っていることになります。
「消費者金融から消費者金融への借り換え」、「消費者金融から銀行への借り換え」、「銀行から銀行への借り換え」などの違いによっても、審査の難易度、引き下げられる金利は大きく異なってくるでしょう。
すなわち、高いハードルを超えるほど、得られるメリットは大きいと考えることができます。もちろん、ケースバイケースです。
延滞のリスク
実は、多重債務者は延滞をしやすいと言われています。4社から借金をしているなら、毎月4社から支払いの請求が来ることになります。
4社ともATMで返済をしていたなら、毎月4回はATMから忘れないように返済をしなければなりません。1社だけから借りているケースと比べて、うっかり延滞をしてしまう可能性は高いです。ATM手数料がかかる場合には、手数料も4倍です。
4社とも口座からの自動引き落としにしておけば安全度は増します。やむを得ず多重債務を抱えてしまっている人は、なるべく口座からの自動引き落としにしておきましょう。
審査で見られるポイント
さて、いよいよ本題に入っていきます。おまとめローンは高い限度額でまとめるほど、メリットがありますが、その反面で審査は厳しくなる傾向があります。審査で見られるポイントを理解して、できるだけ有利にもっていくことが審査に通るためのコツです。
年収
年収が一番重要だという意見は多いです。基本的に、借金は本人の収入から返済していくからです。
年収と借入可能額は単純な比例関係にはありません。例えば、年収が300万円の人と比べて、年収が900万円の人は単純に出て行くお金も3倍になるわけではありません。
確かに、高収入の人はそれだけ生活レベルも高く、子供の教育にも費用をかけていますが、それでも3倍よりは少し控え目になります。
食費などの生活必需品にかけるお金はそう変わらない上、家のローンや自動車、子供の教育にも3倍以上の負担があるということはあまりないと思われます。
年収が高い人は、それだけ余裕があると見なされるので、年収に対して借りられる金額も高くなります。年収の半分以上のお金を借りることができる場合もあります。
貸金業法の適用を受ける貸金業者では、総量規制の影響を受けるので、原則として年収の3分の1までしか借りられません。しかし、例外的に、おまとめローンでは総量規制の適用はありません。
総量規制とは消費者がお金を借りすぎて破綻してしまうのを防ぐためにあるルールなので、消費者にとって有利なおまとめローンまで規制してしまったら、趣旨に反するからです。したがって、おまとめローンをするときには消費者金融で借りる場合でも、年収の3分の1という縛りを気にしなくてよいです。
勤務形態、勤務先
実は、ある意味で年収以上に重要になるのが、この勤務形態や勤務先です。
派遣社員や契約社員の人は、正社員よりも高収入を得ていることもありますが、契約期間が終わると失業をしてしまうリスクがあります。次もまた高収入の仕事が見つかるとは限らないので、借りられる金額は控え目になり、長期のローンを組むことは難しくなります。
自営業の人はさらに不利になっています。自営業の人は雇用保険に加入をしていないので、事業に失敗してしまったら一気に収入がゼロになってしまうリスクもあるからです。
自営業の人は加入している年金は厚生年金ではなく国民年金です。病気になってしまったときの保障も、厚生年金に比べると不安があります。
一般的に、収入の安定性では公務員>大企業の正社員>中小企業の正社員>派遣、契約社員>自営業、アルバイトのようになっているようです。もちろん、同じ派遣社員でも専門職についている人は比較的安定して高い給料をもらえるので、ケースバイケースです。
正社員の人は、定年まで同じ会社で勤めて、たくさんの退職金をもらって退職することが予定されています。よほどの理由がなければ解雇されることもありません。その意味で、最も信用のある雇用形態と言えます。
しかし、正社員の人でも、会社が潰れてしまったら失業は避けられず、退職金がもらえないこともあります。大企業でもリストラの可能性がある時代ですが、それでも会社がしっかりしていれば退職金をたっぷりもらって退職できます。勤務先の安定性も重要になります。
勤続年数
新入社員の4人に1人は3年以内に辞めてしまうと言われている時代なので、勤続年数が短い人は信用が低めです。
もしも勤続年数が11ヶ月の状態なら、あと1ヶ月待って1年以上にしてから申込みをするのがよいかもしれません。大きな金額をおまとめするなら、勤続年数は3年以上が理想です。
個人信用情報
過去に1回でも延滞があると、おまとめローンの審査では厳しいです。たった1日でも支払いに遅れたら、それは契約違反です。契約違反をおかした人に、より良い条件でお金を貸したいとは思わないでしょう。
金融機関によって、過去1年以内に延滞がなければOKとするところもあれば、個人信用情報に残っているすべての情報を見て、延滞の記録が1つでもあればNGなところもあります。
他社借入
よく誤解されているのが、「おまとめローンでは他社借入は多いほうがよい?」というものです。
複数のローンをまとめるのがおまとめローンだからという理由ですが、それは大きな誤解です。おまとめローンでも、借入件数が少ないほうが信用が上になります。借入件数2件の状態でおまとめするのが一番理想です。
借金問題は早めの解決が基本です。定期的にメンテナンスをして、金利の低いところへの借り換えなどを検討しましょう。
一般的には、銀行>クレジット会社>消費者金融の順で審査は厳しいと言われています。銀行の審査に通らなければ、消費者金融を検討してみましょう。
その他
他には、健康保険の種類、家族構成、年齢、居住形態、居住年数なども重要ポイントとなります。
健康保険は社会保険が有利、家族構成は子供が少ないほど有利、年齢は低いほど有利、居住形態は、実家>ローン付きマイホーム>賃貸の順で有利に、居住年数は長いほうが有利、という風になっていますが、ケースバイケースです。
借金の一本化を成功させるために
信用というのは短期間で改善できるものではないので、あがいても無駄と言う人がいます。たしかにそれも一理ありますが、借金の一本化を成功させる確率を短期間で上げることができる場合があります。
借入件数を減らす
B社のカードローン:限度額40万円、残高30万円
C社のカードローン:限度額30万円、残高20万円
という状況なら、A社とB社で限度額いっぱいまで借りることで、C社のカードローンは完済ができます。借入件数が3件の状態から、2件の状態に改善することができるということです。
カードローンは完済をしても自動的には解約はされず、まだ契約が続いている状態になるので、必ず解約をしておきましょう。解約はほとんどの場合、電話一本でできます。
意外と知られていないことですが、クレジットカードについているキャッシング枠も借入件数一件としてカウントされます。自分が持っているクレジットカードにキャッシング枠がついていないかを確認して、ついていたら枠をゼロにしてもらうか、カードを解約しておきましょう。
クレジットカードのショッピング枠リボ払いについては、借入件数には影響しませんが、借金としてカウントされることには注意が必要です。
例えば、ショッピング枠リボ払いの残高が30万円あったら、借入件数1件としてはカウントされないものの、審査ではバレる上、30万円の借金があるのと同じに見られてしまいます。
延滞の記録を消す
クレジットカードの支払いで1回の延滞をしてしまうと、CICという個人信用情報機関に「延滞」という記録が残ります。しかし、CICでは毎月の支払い記録は24ヶ月分しか保存されていないので、その後24ヶ月間健全な支払いをすれば、延滞の記録は消えます。
クレジットカードに限らず、ローンの返済でも、最短で24ヶ月で不利な記録を消すことができます。
ところが、24回払いのローンなどでは、1回でも延滞をしてしまうと、23回以内で返済が終わってしまうので、この方法は使えません。その場合は、最長で7年間記録が残ってしまいます。24回払いのローンでは、特に延滞をしないように注意をしておきましょう。
過去に延滞をしてしまっていても、あと数ヶ月で延滞の記録を押し出して消すことができるなら、それまで待ってから、おまとめローンの審査に申込みをすることで、審査通過の確率を上げることができます。
銀行カードローンやフリーローンを利用するときのポイント
銀行では「おまとめローン」という専用の商品はありません。そのかわりに、銀行カードローンやフリーローンをおまとめや借り換え目的に利用することができます。
公式ホームページの商品説明で、「おまとめ、借り換えに利用可」などと書かれているかを確認しておきましょう。
もしもおまとめや借り換えに対応していない銀行カードローンを利用するときには、高い確率で審査には通りません。なぜなら、すでに2社以上から借金をしていて、追加でさらに借りようとしていると見なされるからです。
おまとめ、借り換えに対応している銀行カードローンやフリーローンに申込みをするときでも、しっかりと「おまとめに利用する」ということを伝えておかなければなりません。その場合、「借りた200万円ですでにある借金を完済して、自社のローン一本にまとめる」という前提で審査をしてもらえます。
クレジットカードのショッピング枠は、消費者金融ではおまとめ対象にできませんが、銀行ではショッピング枠もおまとめ対象にすることができます。
消費者金融では、A社カードローン50万円、B社カードローン30万円しかおまとめ対象にできません。
銀行では、クレジットカードショッピング枠リボ払い残高30万円もおまとめ対象にできます。
意外に知られていない?信用金庫でもおまとめができる
銀行に劣らない条件のローンがあるのに、意外と知名度が低いのが、信用金庫です。信用金庫の知名度が低いのは、地域密着型であるという理由が大きいでしょう。地方銀行よりもさらに地域に特化しているのが、信用金庫です。
銀行との大きな違いは、地域の企業や住民のために存在しているという部分にあります。銀行は株主の利益のために営業しており、主に大企業などを取引先としているのに対して、信用金庫は地域の中小企業や個人を主な取引先としています。
信用金庫カードローンには、次のようなデメリットもあります。
・申込みはインターネットからできることもあるが、契約時には窓口を訪れなければならない
・出資金を払って会員にならなければならない
・審査に時間がかかる
一方、メリットは、
という1点が大きいです。信用金庫と一口に言ってもサービス内容はさまざまなので、一概には言えません。中には銀行よりもずっと低金利のローンが組めるところもあります。自分が居住する地域の信用金庫についてはチェックしておきましょう。
「対象の地域に住んでいる」、「出資金を払う」という条件を満たしている必要がありますが、逆に言えば条件を満たしていれば、借りやすいと考えることもできます。個人的に、デメリットを上回るメリットがあると思います。