投資信託は誰でも気軽に始めることができる金融商品ですが、一方で基本的に元本が保証されていないというリスクもあります。今回は投資信託の基本的な仕組みから、借金をせずに資金を増やす方法まで、投資信託にまつわる様々な事柄を解説したいと思います。
目次
投資信託のメリットはおおむね4つ!
投資信託(ファンド)は、たくさんの投資家が出資したお金を一つの大きな資金として扱い、その資金をもとに専門家が株式や債券、不動産投資信託などの金融商品に投資し、運用を行う金融商品です。
たとえば、毎月1万円といった感じで額を決めて拠出し、そのお金で金融商品を購入します。投資家は基本的に好きなタイミングで売ることができます。
投資信託のメリットはいろいろありますが、ここではその中でも代表的なものを4つ紹介したいと思います。
小額から始められる
投資信託の一番のメリットは、たとえば月1万円といった少額から始められることにあります。
通常、企業の株式や債券を買うのにはかなりまとまった資金が必要になります。しかし、投資信託の商品はたとえば1口1円といったような極めて安い金額に設定されているので、少額でも投資ができます。
運用はプロが行ってくれる
従来の投資は売り買いのタイミングなどを自分で判断を行う必要がありましたが、投資信託はプロのファンドマネージャーに判断を任せることができます。投資についてそれほど詳しくない人でも始められるというのは、大きなメリットといえます。
分散投資ができるので、リスクが少ない
少数の銘柄に集中的に投資するスタイルを「集中投資」、多数の銘柄に少しずつ投資するスタイルを「分散投資」といいます。投資信託は少しの資金で様々な株式や債券を購入するので「分散投資」に該当します。
集中投資は確かにその銘柄が上昇すれば大きな利益を得ることができますが、その一方でその企業が倒産してしまうとすべ手の資金がなくなってしまうというリスクがあります。
一方、分散投資で複数の銘柄の株式や債券を持っていれば、たとえそのうちの一つの企業が倒産しても資産は残ります。投資信託が比較的低リスクであるといわれる理由はここにあります。
世界中の株式や債券が買える
投資信託では、国内のみならず海外の株式や債券、不動産投資信託などを購入することができます。たとえ日本経済が低迷している時期でも、好況な海外の株式や債券を持っていれば利益を上げることができます。
投資信託のデメリットはおおむね3つ!
このようにメリットが多く、初心者にとっては優しい投資信託ですが、一方でもちろんデメリットがないわけではありません。投資信託の主なデメリットは以下の通りです。
大きく稼ぐのは難しい
投資信託は上記の通り分散投資の一種であり、なるべく多数の株式や債券を持つことによってリスクヘッジを行っています。そのため1社や2社倒産したところで痛手にはなりませんが、逆に考えれば1社や2社業績が急にアップしても大した儲けにならないともいえます。投資信託はあくまでも年に3~5%程度の利回りを目指すものであると考えてください。
元本が保証されていない
投資信託は定期預金などと違い、元本が保証されている商品ではありません。株式や債券、不動産投資信託などは常に値段が上がったり下がったりしています。購入する時期や手放す時期を間違えると、結局は損をしてしまいます。
運用に費用が掛かる
投資信託はプロのファンドマネージャーにお金の運用を任せる仕組みなので、当然彼らに対して報酬を支払わなければなりません。そのほか、呼応乳手数料、売買委託手数料などの名目の手数料も支払う必要があります。
NISAを活用すれば税金がタダになる
投資信託は投資なので、儲けが出たら通常はその額に応じて税金を支払わなければなりません。しかし、NISAという制度を使えば、例外的に税金をタダにすることができます。
NISAとは個人投資家のための税制優遇制度で、株や投資信託などで得た運用益を一定額非課税にする制度です。NISAのための口座は20歳以上の人ならば誰でも銀行や証券会社で作ることができます。非課税枠は2023年まで、毎年120万円ずつ割り当てられます。
たとえば、2016年に投資信託で120万円投資し、その後それが200万になったとします。差し引き120万円の儲けなので、通常の場合税金は120万円×20%=24万円となります。しかし、NISA用の口座で取引を行っていれば、この税金を0にすることができるのです。
非課税枠は毎年追加的に割り当てれるので、毎月資金をつぎ足す投資信託とは非常に好相性といえます。何か特別な理由がない限りは、投資信託はNISA口座で行うようにしましょう。
投資信託は若いうちから始めよう
投資は資金に余裕がある中高年のものというイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、投資信託に関しては若いうちから長期投資を前提に始めたほうが良いとされています。
若いうちはリスクをそれだけ多くとることができます。失敗してもやり直しがきくからです。たくさんリスクを取ればそれだけ、得られるかもしれない利益も大きくなります。
また、投資期間がそれだけ大きくなれば投資の収益のブレ具合が小さくなり、安定的に収益を得ることができるようになります。
投資信託は毎月5000円、1万円といったような少額の資金でも始めることができるので、少しでも余裕資金があるという方はなるべく早く始めることをお勧めします。
投資信託で買える金融商品とは?
投資信託で買える商品にはリスクとリターンの高い順に「外国株式」「国内株式」「不動産投資信託」「外国債券」「国内債券」「定期預金」などがあります。
株式は株式会社における社員権です。株式を手に入れるということは、その株式会社の一員になることとおおむね同じです。
株価は常に上がったり下がったりするので、リスクは高いですが、その分成功時のリターンも大きいです。外国株式の場合は為替リスクが上乗せされますが、円安になればリターンが大きくなります。
不動産投資信託は、国内外の不動産に対して投資を行うものです。投資家の資金をもとにマンションやアパート、オフィスビルなどを買って、その賃貸収入や売却益を投資家に分配します。長期的には株式投資よりリスクが少なく、債券投資よりは高いといわれています。
債券は国、自治体、企業などが発行する有価証券です。一定の期間ごとに利子が配当されるほか、満期日になれば額面金額が変換されるので、基本的には元本保証ですが、満期日まで待たずに売却する場合は元本割れするリスクがあります。リスクは全体的に低めです。
定期預金は銀行で販売されているものと基本的には変わりありません。元本が保証される代わりに、利回りは非常に低く設定されています。
若いうちはハイリスクハイリターン商品を、中年はローリスクローリターン商品を買え!
前述の通り、若い人は失敗してもやり直しがきくので、多少のリスクは覚悟で外国株式や国内株式などの比較的リスクの高い金融商品を優先的に買うことをお勧めします。
投資信託は前述の通り分散投資なので、こうした商品を買ったからと言っていきなり資金が急激に減ることはほとんどありません。先ほど株式はハイリスクであると述べましたが、あくまで投資信託の中ではハイリスクなだけなので、それほど心配する必要はありません。
一方、ある程度歳を重ねた人はもうやり直しがきき辛くなっているうえ、一生に必要な資金の額も若い人と比べて少ないので、リスクを取って大きく増やそうとはしないほうがいいでしょう。
国内債券や定期預金などの比較的低リスクな商品に多く投資して、金融資産を守ることを優先させてください。
インデックスファンドを買おう!
投資信託には「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。
「インデックスファンド」とは、日経平均やTOPIXなどの公表されている指数(ベンチマーク)と連動するように運用する投資信託で、アクティブファンドはそれらの指数を上回るように運用する投資信託です。
となると、より高い目標を設定しているアクティブファンドのほうがたくさん儲かりそうな気がしますが、必ずしもそうとは言えません。アクティブファンドはインデックスファンドと比較して、販売手数料や信託報酬となどの手数料が高いからです。
インデックスファンドは対象銘柄をベンチマークに合わせて一定の割合で購入し、あとは放置するだけなので運用は低コストで行えます。一方、アクティブファンドはそのベンチマークを上回るために様々な工夫をしなければならないため、どうしてもコストが高くなるのです。
しかも、そこまでしても必ずインデックスファンドよりも利益が多くなる保証はどこにもありません。手間をかけたばっかりに最終的な利益が減ってしまった、ということもあり得るのです。
統計によれば、インデックスファンドを上回る利益を出しているアクティブファンドは約3割程度にすぎません。いろいろ細かく工夫して売り買いするより、ベンチマークに合わせて放っておいたほうがいい結果が出ることの方が多いというわけです。
売る側としては当然手数料の高い商品を売りたいため、積極的にアクティブファンドを進めてくるかもしれませんが、売る側の都合など投資家には関係ありません。現状においては、インデックスファンドを積極的にお買いになることをお勧めします。
投資信託は分配金のないものがおすすめ
投資信託の利益には、一定の期間ごとに少額がもらえる「分配金」と、金融商品を売却した時に受け取れる「売却益」があります。分配金は分配可能な原資の中からもらえる配当金であり、簡単に言えば利子のようなものです。売却益とは、安く買って高く売ったことによる利益です。
最近は毎月お金がもらえるということで分配金があるタイプの投資信託が人気を集めているようですが、結論から言えば分配金がある商品はお勧めできません。分配金には税金がかかるからです。
また、分配金として投資家に利益を分配すれば、当然その分投資信託の内部留保金は少なくなり、新たな投資の規模が小さくしまいます。それよりも投資信託の内部留保を増やし、再投資をして複利効果を狙ったほうが最終的な利益は大きくなります。
投資信託は余裕資金で
投資信託は比較的低リスクで、誰でも始められる私たちにとっても身近な投資ですが、必ず余裕資金で行うようにしましょう。投資信託で得られる利回りは一般的に借金の利回りよりも低いので、借金をしてやるのは損になるからです。
あくまでも余裕資金で、余裕資金がない場合はまずは本業を頑張って余裕資金を作ることを強く推奨します。