建て替えとリフォームはどっちがお得?住宅診断士に聞いてみよう!

建てた直後はピカピカだった家も、長年住み続けるうちにだんだん経年劣化してきます。日本の家屋は基本的に頑丈にできていますが、だからといって経年劣化を放置すると危険ですし、住み心地も悪化する一方です。

さて、経年劣化した住宅を再生する方法は大きく、建て替えとリフォームに分けられます。どちらにもそれぞれ長所と短所があるため、一概にどちらが優れているとはいえません。その土地の特徴や家族構成、築年数、生活設計によって、選ぶべき選択肢は変わってきます。

今回の記事では建て替えとリフォームの正しい選び方を考えていきたいと思います。

まずは自分の自宅の状態をするところから始める

リフォームか建て替えで迷ったら、まずは専門家の意見をもとに住宅の状態を確認をしましょう。築年数などの限定的な情報だけで素人が判断を行うと間違う可能性が高いです。

住宅の状態を判断する専門家を住宅診断士といいます。住宅診断士は第三者的な立場、専門家としての立場から、その住宅がどの程度劣化しているのか、重大な欠陥はないかなどを診断します。

その上で、リフォームをすべきか、建て替えをすべきか、それぞれの選択肢を選んだ場合はどれくらいの費用がかかるのかについてのアドバイスをします。

住宅診断士の資格は幾つかあり、資格団体によって試験内容などが異なります。

住宅診断士資格の中でも最も有名なのが、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会が認定する「公認ホームインスペクター(住宅診断士)」です。

2009年から資格次試験が実施されており、合格率は毎年30%ぐらいです。受験資格などが特にない上、筆記試験のみなのでやや質に不安を名感じる人もいるかもしれません。

その次に有名なのが一般社団法人住宅管理・ストック推進協会の「ームインスペクター」です。こちらは筆記試験とは別に実技試験があります。

また、各都道府県の建築士会は、「建築士会インスペクター養成講座(国土交通省インスペクションガイドラインに準拠)」を実施しており、認定試験に合格したものを建築士会インスペクターとして登録しています。こちらは建築士資格を持つ人でなければなれないものです。

それぞれのメリットとデメリットを把握する

建て替えにもリフォームにも、それぞれメリットとデメリットがあります。

自由度は建て替えのほうが圧倒的に高いが、場合によっては小さい家しか建てられないことも

設計の自由度という点においては、建て替えが圧倒的に勝っています。間取りや設備など、現在問題がある点、不満がある点は原則すべて解決することができます。一方、リフォームの場合は既存建築物の構造によっては間取りなどが自由にできないことがあるため、自由度はある程度制限されます。

ただし、建て替えの場合は建築基準法や条令の改正でいつのまにか建物が建てられなくなったり、今の家よりも小さな建物しか建てられなくなったりしていることがあるのでその点については注意が必要です。

現在自分の所有する土地にどのような規制がかかっているのかわからないという場合は、建築士などに相談するといいでしょう。

費用は基本的にリフォームのほうが安いが、効率は建て替えの方が良い

リフォームか建て替えかを選ぶ際に多くの人が気にかけるのはやはり費用でしょう。費用はリフォームのほうが安いというイメージがありますし、たしかに実際その通りなのですが、それは短期的に見た場合の話です。10年、20年、30年という長期的な視点で見た場合は、建て替えのほうが割安に済むこともあります。

建築工事はいっぺんに行えばその分効率が上がり単価が安くなります。残す部分を傷つけないように最新の注意を払って行うリフォームは、本来は効率が悪いものです。

また、構造の補強を含めたフルリフォームは、建て替えよりも効果になることがあります。それを選ぶくらいだったらば、当然建て替えを選んだほうがいいでしょう。

工事期間はリフォームのほうが短い

工事期間については当然、リフォームのほうが短いです。リフォームはその内容にもよりますが、お風呂やトイレ、キッチンのみのリフォームの場合は1日~数日程度で終わることが多いです。外壁の塗り直しなどの場合は足場を組まなければならないためもう少し時間がかかりますが、それでもせいぜい数週間程度です。

一方、建て替えの場合は建物を潰して、もう一度基礎から工事をしなければならないので当然時間がかかります。期間は半年程度は見込んでおいたほうがいいでしょう。

建て替えは工事中の住居を見つける必要がある

建て替えのデメリットの一つに、工事中は以前の家に住めないため、仮住居を見つけなければいけないという物があります。仮住居は現在の住居の近隣で探すという方が多いですが、いつも近隣に都合の良い空き家があるとは限りません。また、仮住居に済むための費用も用意しなければなりません。

建て替えはローンが組みやすい

建て替えの場合、比較的簡単に住宅ローンを組むことができます(もちろん安定した職業など、一定の条件を満たす必要があります)。

それに対してリフォームはローンが組みづらいため、頭金で大部分を賄わなければいけません。ただし、その分大きな借金を背負うことがないため、安全といえば安全です。

家族とも話し合い、今後の大まかな方針を決める


複数人で住んでいる場合は、全員が話し合って建て替えかリフォームかを決めましょう。一部の人間だけで決めてしまうとその後軋轢が生まれます。子供部屋はどうするのか、介護はどうするか、老後もそこで暮らすのかなど、様々な議題をテーマに話し合ってください。

数年以内に家族構成やライフスタイルに変化が出そうな場合は、その時まで待ってから判断したほうがい以下もしれません。

建て替えとリフォーム、両方の見積もりをもらう


今後の大まかな方針が決まったら、いよいよ見積もりを取ってみましょう。リフォームの際にはその家に今後何年住み続ける予定があるのかもきちんと伝えてください。短い期間でいい場合はその分費用が安くなります。また、費用は工事費用だけでなく、工事にに伴って発生する諸費用(住宅ローンを組む際の手数料、税金、仮住まいを確保するために払う費用など)も考慮しましょう。

まとめ

  • 建て替えかリフォームかで迷ったら、まずは住宅診断士に現状を診てもらう
  • 建て替えにもリフォームにもそれぞれメリットとデメリットがある
  • 建て替えかリフォームかは、その家に住む家族全員で話し合って決める

家の建て替えやリフォームは、その後の数十年感の生活の質を決めると言っても過言ではありません。慎重に検討を重ね、専門家の意見もよく聞き、家族全員で話し合って結論を出しましょう。