借金をしている事実は、他人には知られたくないものですよね。友人や職場、知られたくない対象はたくさんいると思いますが、その中でも実家、つまり両親にバレるのが心理的に一番辛いかもしれません。
親に余計な心配をかけたくないという思いもあるでしょうし、自分自身のプライドもあるでしょう。
安心してください。借金のことが実家に知られることはまずありません。これは期日までに返済できなかった場合についてもです。
そもそも消費者金融や銀行が、借金の事実を債務者(お金を借りている人)以外に周知することはほぼありません。なぜなら、賃金業法という法律や、各自で定めている借金取り立てのガイドラインに違反してしまう可能性が高いからです。
借金取り立ては具体的にどのように行われるのか、また、取り立て方法を定めたガイドラインとはどういったものなのかについて見ていきましょう。
借金の取り立てが行われるのは債務者に対してのみ
ヤクザ風の男性が脅しまがいの取り立てを行っているシーンを、ドラマや映画でよく見ますよね。借金をしている本人のみならず、その家族や友人、恋人にまで手を出しているのを見て、借金取りって恐いなぁ・・・と思った人は少なくないでしょう。
ただ、あれはあくまでもフィクションで、現実ではそのような取り立てが行われることはまずありません。加えて、借金の催促を本人以外に行うこともないのです。
恐喝や暴力行為は犯罪になりますし、本人以外への取り立ても賃金業法で定められている取り立てのガイドラインに違反するからですね。このガイドラインについての詳細は後述します。
ですから、返済期日が少し過ぎてしまったからといって、すぐに借金のことが実家にバレることはありませんし、取り立てが家族に対して行われるのでは、という心配も無用です。
返済が期日までに間に合わなかった場合、消費者金融や銀行から電話がかかってきます。電話に出ると、いつまでに返済できますか?と問われるので、◯日までに返済しますと約束すれば、それでおしまいです。
あとは、その期日までに返済をきちんと行えば、なんらかのペナルティを受けることもありませんし、ましてや延滞したことを周囲に知られることもありません。ただ、少しだけ利息が上乗せされることは覚えておきましょう。
催促の電話を無視し続けると、実家に連絡される可能性も
先述したように、期日までに返済できないと消費者金融や銀行から催促の電話がかかってきます。この電話には必ず出るようにしましょう。なぜなら、電話を無視し続けると実家や職場に連絡されるリスクが生じるためです。
取り立てのルールの一つに、「正当な理由なく、債務者本人以外に連絡をしてはいけない」というものがあります。
「正当な理由」とは、どれだけ電話、自宅に訪問しても債務者と連絡が取れないことを指します。つまり、電話を無視し続けると、債権者(お金を貸している人)に家族や職場と連絡を取るための口実を与えてしまうことになるのです。
たとえ電話を無視しても、借金を踏み倒すことはできませんし、利息が大きくなるだけで状況はどんどん悪くなるだけです。罪悪感から電話に出づらい気持ちはわかりますが、向こうも紳士的に対応してくれるので、そこまで思いつめないようにしましょう。
ちなみに、消費者金融が職場や実家に連絡をする際、借金催促についての電話であることは明かしません。さらに、アコムやプロミスといった名前を使わず、会社名も偽装して連絡してくるので、電話を受けた人は借金に関することだとは気づかないでしょう。
それでも、そんな電話が何度も続けばそのうち勘づくでしょうし、そのうち金融業者側も会社名の偽装もしなくなるので、ほぼ100%借金のことがバレてしまいます。
借金のことを知られたくないのなら、催促の電話には必ず出るようにし、返済スケジュールをしっかり相手に伝えましょう。これだけで借金バレのリスクをほとんどゼロにまで減らせますよ。
実家に住んでいると両親に借金がバレるリスクが上がる?
実家で両親と住んでいると、借金のことが両親にバレやすくなるんじゃ・・・?こんな風に不安になっている人もいるかもしれません。
これに対する答えはYESであり、NOでもあります。どういうこと?と思うでしょうから、詳しく解説していきますね。
返済が遅れると、金融業者は最初のうちは電話で催促してきます。しかし、それを無視していると、いずれは自宅にまで訪問してきて、取り立てを行うようになります。
この際、実家に住んでいれば両親がその対応をすることもあるでしょう。担当者は債務者本人以外には絶対に借金について話しませんが、訪問が続けば両親に怪しまれてしまいますよね。
また、もし連絡先を実家の電話番号にしているなら、催促の電話は実家にかかってきます。この場合もやはり、家族に不審に思われてしまうでしょう。この時代に実家の固定電話を連絡先に指定する人は少ないと思いますが、そういうリスクもある、ということです。
幸い、自分の携帯、スマホでしっかり金融業者の担当者と連絡を取っていれば、相手もわざわざ自宅まで訪ねてくることはありません。
身内や家族に借金を知られたくなければ、担当者に責任を持って自分自身がきちんと対応し、返済をしていくようにしましょう。
借金取り立てについてのガイドラインを知っておこう
実家に取り立てが来たらどうしよう、職場に借金のことがバレてしまうかも・・・といった不安を持つのは、借金取り立てについてのガイドラインを知らないからです。
取り立てのルールは「賃金業法」という法律で厳密に定められていますし、それを受けて各金融業者は各々のガイドラインを設定しています。
これらを知っておけば、催促がどのように行われるかをイメージできますし、もし違法な取り立てが行われた際には、すぐに警察や弁護士に相談できるでしょう。ぜひ知っておきましょう。
賃金業法によって定められている内容
賃金業法の21条に、「取り立て行為の規制」という項目があり、この箇所で取り立てについてのルールが定められています。
原則としては、「たとえ借金の取り立てといえど、債務者の生活を脅かすようなことはあってはならない」というもので、10個の項目で取り立て方法を規制しています。
全てを記すと、かなりの長さになってしまうので、重要なポイントだけを要約して以下で解説していきますね。
・正当な理由がないのに、早朝や深夜に債務者へ連絡をしたり、自宅を訪問したりしてはいけない
・正当な理由がないのに、債務者の家族や知人、職場に連絡をしたり、訪問したりしてはいけない
・催促のために自宅を訪問した際、債務者から退去を命じられた場合は速やかに退去しなければならない(退去に応じなかった場合は「不退去罪」という罪になります)
・借金に関する事実や、それに関するプライベートな内容を債務者本人以外に通知してはならない
・借金返済のために、他からの借金を強要したり、物品による弁済を強要してはならない。また、返済の義務を負うのは債務者本人だけであり、家族や友人に返済を迫ってはならない
これらのうち、一つでも違反すれば違法となり、法律によって罰せられます。
ただ、抽象的な内容もあり、どこからどこまでが合法で違法なのか、線引きが難しいですよね。それは貸金業者にとっても同様で、線引きがわからないと取り立て行為を効率的に行えません。
そこで各金融業者は賃金業法の内容を基に、より細かな条件を記したガイドラインを設定し、それに則って取り立てを行っています。以下に記しますね。
・電話や訪問は朝9時から夜8時までの時間帯で行う。また、電話は1日3回まで
・自宅訪問する際の人数は多くても3人まで
・恐喝や脅迫は行わない。契約者以外に借金のことを知らせない、また、契約者以外に借金の返済を迫らない
このように、賃金業法よりも具体性を帯びたものが多く、取り立ての担当者はこのガイドラインの範囲内で催促を行います。
ただ、ガイドラインは各金融業者がそれぞれ設定しているものなので、内容に多少の違いはあるはずです。それでも、上記の内容を大きく逸脱することはないでしょう。
無断で実家に訪問・取り立てをされた場合は警察か弁護士に相談しよう
いつまでに返済すると約束しているにも関わらず、無断で実家に訪問され、さらに家族に取り立てを行われた場合は、すぐに警察もしくは弁護士に相談しましょう。
上述したように、正当な理由なく本人以外に連絡を取ることは賃金業法違反ですし、契約者以外に返済を迫るのも同じく法律違反です。
こういったことをするのはいわゆるヤミ金が多く、放っておくとさらに行為はエスカレートしていきます。しかるべき場所、人に相談すれば、すぐに対策を取ってもらえるので、借金をしていて悪いのは自分だから・・・と泣き寝入りせずに、しっかり訴え出ましょう。
また、実家訪問以外にも、上述したガイドラインを大きく違反すると思われる場合は、やはり専門家に相談しましょう。
ただ、催促の電話に全く出なかったり、何度も返済の約束を守らなかった場合は、職場や実家に連絡をされても何も文句は言えません。
それでも、借金に関する事実を直接バラされることはありませんが、借金バレのリスクは一段と上がってしまうでしょう。
期日までに返済できない場合は、担当者と相談して無理のない返済スケジュールを設定、融通してもらうようにしましょうね。
まとめ
基本的に、借金が第三者に知られることはありません。賃金業法でも、本人以外に借金を知らせたり、返済を迫ったりすることは禁じられていますし、金融業者も法律を破ってまで催促はしてこないためです。
しかし、それはこちらが誠実な対応をしている場合で、たとえば電話を何度も無視していれば、いずれは自宅訪問や職場への電話連絡が行われます。
こうなると借金バレのリスクは飛躍的に上昇するので、気後れするかもしれませんが、金融業者の担当者とはきちんと連絡を取りましょう。
また、明らかに法律に背いた取り立てを行われた場合は、すぐに警察や弁護士に相談しましょう。それで借金がなくなることはないでしょうが、厳しい取り立てに関してはしかるべき措置を取ってもらえます。