各世帯の借金額の平均や中央値はいくら?年代別でも紹介

自分には関係ないとわかっていても、他人の経済状況って気になりますよね。年収はもちろん、借金はあるのかな?あるとしたらどのくらいあるのかな?なんてことも知りたくなってきます。

そこで今回は、公的な機関が行った金融調査から、借金や負債に関する項目を抜き出してご紹介していきます。二人以上の世帯に限りますが、年齢別の借金額の平均についても紹介するので、自分の状況と見比べてみてもいいかもしれませんね。

記事中の各種データは、「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)」、「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」、「家計調査結果」(総務省統計局)から引用したものです。

平均値と中央値について

借金額を見ていく前に、平均値と中央値について確認しておきましょう。これらの違いを知ることで、より正確にデータを把握することができます。

平均値は知っている人も多いでしょう。各データの合計値をその個数で割った値のことですね。たとえば、それぞれ10万円、20万円、30万円の借金をしている人がいるとすれば、その平均は20万円となります。

次に中央値についてです。中央値とは、いくつかのデータを並べた際に、ちょうど真ん中に位置するデータのことを言います。これだけではわかりにくいので、簡単な例を挙げましょう。

たとえば、それぞれ10万円、20万円、30万円、40万円、1000万円の借金をしている人たちがいるとします。これを平均値で求めようとすると、計算結果は220万円ほどになります。この値はもちろん正しいのですが、データとしてはあまり意味がなさそうですよね。

5人のうち、4人は40万円以下の借金してしていないのに、平均が220万円と言われてもピンとこないのではないでしょうか?そこで、この問題を解決するために使われるのが中央値です。

中央値はちょうど真ん中の人のデータをその値とするので、このケースでは30万円となります。これでもまだ少し違和感があるかもしれませんが、平均値と比べるとずいぶんましでしょう。

本来使われるデータはもっと個数が多く、並べられるデータの数字も近しいものになるので、より中央値の有効性が高まります。

平均値と中央値の意味を理解したところで、さっそく借金の平均額について見ていきましょう。

単身世帯の借金額の平均や中央値は?

単身世帯とは、主に一人暮らしをしている世帯のことを言います。独身の方や大学生がこれに当てはまるでしょう。

まず、借金をしている世帯は全体の何パーセントかについて見ていきます。2016年では借金がある世帯は16.4%となっており、これは前年の18%から少し低下しています。おおよそ6人に1人はなんらかの借金をしているということになりますね。

ここで言う借金とは、消費者金融や銀行のカードローン、住宅ローン、自動車ローンなど、あらゆる負債を含みます。

そして、気になる借金額の平均ですが、全世帯、つまり借金のない世帯も含めると75万円、借金をしている世帯だけでは483万円という結果でした。

また、借金をしている世帯での借金額の中央値は100万円ということで、借金がある人の半分は最低でも100万円以上の負債があることがデータからわかりますね。

ちなみに、前年の平均値は借金のない世帯も含めたデータで84万円、借金がある世帯だけでは487万円だったので、借金額の平均が減少傾向にあることがわかります。実際、この数年の借金の平均値はずっと右肩下がりです。

ただ、中央値はここ数年ほぼ変わっていないので、借金をする世帯は減ったけれども、いざ借金をする際の借入額はあまり変わらない、ということがデータから読み取れますね。

借入の目的として一番多かったのは「日常の生活資金」で、その割合は32.7%でした。次いで「旅行、レジャーの資金」が17.8%、さらに「耐久消費財の購入資金」が16.3%と続いていきます。

これらの利用用途から見るに、カードローンやキャッシングをメインに使っている人が多いのでしょう。また、そのために借金の平均も少なめであるのだろうと考えられます。

男性と女性でも違いがありそうですが、残念ながらそういったデータは見つけられませんでした。

二人以上の世帯の借金額の平均や中央値は?

次に、二人以上の世帯の借金額の平均や中央値を見ていきましょう。主に家族で暮らしている世帯がこれに該当します。

全体のうち、借金をしている世帯は38.6%ということで、単身世帯のそれよりも2倍以上多いことがわかります。

そして借金額の平均ですが、借金をしていない世帯も含めた場合は497万円、借金がある世帯だけで見た場合は1,381万円でした。

この数値についても、やはり単身世帯よりもかなり大きいですね。これは、カードローンやキャッシングではなく、住宅ローンの割合が多くを占めるからでしょう。

実際、借金の利用用途を見てみると、「住宅(土地を含む)の取得、または増改築の資金」が66.1%と圧倒的に高く、単身世帯とは対照的です。他にも、「子どもの教育」「結婚資金」といった項目も上位に来ており、自分以外のためにお金を使う人が多いようですね。

また、借金をしている世帯の中央値は1,000万円でした。こちらについても単身世帯の10倍ということで、長期的なローンを組んでいる人が多いためでしょう。

二人以上の世帯についても借金の平均はここ数年減少傾向にあり、前年の平均は、借金をしていない世帯を含めたもので533万円、借金をしている世帯のみでは1,458万円でした。

ただ、借金をしている世帯の割合については直近10年間でほとんど変化がないため、住宅ローンを含めた長期ローンの需要はずっと一定なのではないかと思われますね。

借金額の平均が下がっているのは、近年の景気回復の影響が大きいのかもしれません。2020年には東京オリンピックがあるということで、ますます経済は活発化していくでしょうから、借金額の平均はどんどん右肩下がりになっていくのかもしれませんね。

年代別の借金額の平均もチェック

ここからは年代別の借金額の平均を見ていきましょう。こちらも単身世帯のものと二人以上世帯のもので分けたかったのですが、単身世帯のデータが見つからなかったため、二人以上世帯のデータだけとなっています。

また、負債の名目についても住宅・土地購入のための借金ということで、カードローンやキャッシングによる借金は含まれていないことに注意してください。

40歳未満:1,800万円
40歳以上50歳未満:1,553万円
50歳以上59歳未満:926万円
60歳以上:632万円

当然と言えば当然ですが、年代が上がるにつれて平均は下がっていきます。40歳までに住宅ローンを組み、以降は返済に努めていくという人が多いことが、データから読み取れますね。

さらに、貯蓄額から負債額を引いた、「純貯蓄額」についても見ていきましょう。こちらも年代別にご紹介します。

40歳未満:-1,355万円
40歳以上50歳未満:-757万円
50歳以上59歳未満:230万円
60歳以上:741万円

50歳までは高額な住宅ローンがまだまだ残っているということもあり、純貯蓄額はマイナスとなっています。50歳を超えても230万円ほどしかなく、現金による資産はそれほど多くないことがわかります。

もちろん、住宅ローンで購入した家や土地の価値を含めれば資産額は十数倍になるでしょうが、単純な貯蓄額がここまで少ないのは意外だったのではないでしょうか。

ローンの組み立てやキャッシングの利用は計画的に

借金をする際は、しっかり返済計画を立ててから借りるようにしましょう。今回ご紹介した借金の平均や中央値は借金の元本を表したもので、利息を含めると実際の返済額はもっと大きくなります。

多くの消費者金融で採用されている金利が18%程度であることを考慮すると、100万円を借りると利息は1年で18万円にもなります。返済期間がそれ以上に延びれば、さらに利息は大きくなることにも注意が必要です。

毎月の返済があっても問題なく家計をやり繰りできるか、最終的に返済する金額はいくらになるのか、これらをしっかりシミュレーションしてから借金することをおすすめします。

自分の返済能力を超えた借金をしてしまうと、返済が追い付かず、最終的に自己破産や任意整理といった債務整理のお世話になってしまうかもしれません。ローンやキャッシングは計画的に利用しましょうね。

まとめ

借金をしている世帯のパーセント、そしてその平均額や中央値を見て、意外に感じた人もそうでない人もいるでしょう。

他の人の経済状況を見ても、とくに自分に直接の利益があるわけではありませんが、借金をする際の一つの指標になりうるかもしれませんね。

借金というとネガティブなイメージを持ちがちですが、上手く付き合えば利用価値はとても大きいものです。借金をする場合は、自分の収入を考慮して、無理のない範囲で借りるようにしましょうね。