マンションやマイホームを購入する際に住宅ローンを利用する人はとても多いですね。数千万の購入資金をまとめて払える人は珍しいでしょうから、住宅ローンの需要は非常に大きいです。
しかし、申し込めば誰でも住宅ローンを契約できるわけではありません。そこまでには厳正な審査があり、十分に信頼に足りうる人物と判断された場合のみ、融資を受けることができます。
審査基準は明示されていませんが、いくつもの判断基準があると考えられており、中には一つの要素が足りなかったために審査落ちしてしまったと考えられるケースもあります。
その中でも特に気になるのは現在の借金の有無。他のところから借金をしているのに、まだ融資を受けることができるのかな、と不安に思う人も多いでしょう。
結論から言うと、借りられる場合もありますし、借りられない場合もあります。では、その差はどこから生まれるのでしょう。そして、何を改善すれば審査を通過できるようになるのでしょうか。
この記事では今現在借金があるけれども住宅ローンの融資を受けたい場合、何に気をつければいいのかについて解説していきます。
目次
返済利率の上限を超える住宅ローンの融資は不可
住宅ローンには融資上限限度額があります。これは返済利率によって設定されており、年収によって返済利率の上限値も変わってきます。
まず、返済利率とは年収に対する借金の年間返済額の割合です。例えば、年収400万円の人が年に100万円ずつ借金を返済をしている場合、返済利率は25%ということになります。借金の総額ではないことに注意が必要です。
そして、住宅ローンの返済利率の一般的な上限は、年収400万円未満では30%、400万円以上で35%となっており、これを超える融資を受けることはできません。
また、少しややこしいのですが、住宅ローン以外の借金を返済利率の計算に入れる銀行と、入れない銀行があるようです。
そのため、消費者金融などで借金がある場合、審査落ちする場合と通過する場合が出てくるかもしれません。現在借金がある人で住宅ローンの融資を受けたい場合は、担当の人にその旨をしっかり伝えておく、事前審査を受けるなどの対策を取りましょう。
もちろん他に借金があっても返済利率が上限を超えないのなら、審査をパスできる可能性は十分にあります。
ちなみに住宅ローンの適正返済利率は20%から25%とされています。上限ぎりぎりまで借りた結果生活が苦しくなった、なんてことにならないようしっかり吟味してから融資を受けるようにしましょう。
多重債務者は審査落ちする可能性が非常に高い
融資の審査の際、対象者がきちんと返済してくれるか、またその能力があるかを判断します。その中で、多重債務は大きな減点ポイントになります。
周囲から見ると、多重債務者はお金のやり繰りにとても困っている人、という印象を持ちます。他の会社、銀行でもう借りられないからうちに来たのではないか、と思うわけですね。
銀行側としては貸し倒れだけは避けたいわけですから、そういったリスクを持っている人には極力融資しない方針になっています。
そのため、多重債務者は審査落ちする可能性が非常に高くなるのですね。また、借入件数もそうですが、借入金額ももちろんチェックされます。
現在、複数の消費者金融や金融機関から借金をしている人は、住宅ローンの融資を受けることはとても難しいでしょう。
ギャンブルのための借金も審査落ちする可能性が高い
審査の際、現在の借入件数や借入金額も重要ですが、借金の目的についても見られています。車の購入のためや一時的な生活費のためなら問題はありませんが、主にギャンブルのために借入をしていると判断された場合、審査を通過することが非常に困難になります。
何から何まで細かく説明する必要はありませんが、最低限何のために借入を行ったのかを説明できるようにしておきましょう。
以前に借金の延滞や債務整理を行った人も場合によっては融資を受けられない
よく借金を長期間延滞するとブラックリストに載る、なんて言われていますがそれに近いものが実際存在しています。
基本的に全ての消費者金融、金融機関は信用情報機関と呼ばれる組合のようなものに加入しており、他の金融機関の利用者の借入情報なども全て把握しています。
一般的に3か月以上借金を延滞した場合、その記録が借金の完済後も1~5年間残るとされており、この期間中は融資を受けることが一切できません。稀にOKなところもあるようですが、ブラックに近いところが多いので避けておいたほうが無難でしょう。
また、債務整理など金融事故を起こした場合は最長で10年間その記録が保存され、もちろん融資を受けることができません。
以前に延滞などの心当たりがある人は信用情報機関に情報開示を申込みましょう。手順は以下のページで詳しく解説しています。https://money.sumomo.ne.jp/3202.html
申請書の嘘はほぼ100%バレる
住宅ローンの申請書には決して嘘を書かないようにしましょう。年収などは会社に問い合わせればすぐにわかりますし、以前の融資の記録なども全て信用情報機関に記録されています。
嘘を書いたことがバレれば、もうその金融機関では融資を受けることはできないでしょう。正直に正しい内容を記載するようにしましょう。
住宅ローンは総量規制の対象外
消費者金融などで借金する場合、その上限額は総量規制によって定められています。総量規制では年収の3分の1以上の借金をすることができない、とされています。
しかし、住宅ローンは総量規制の対象外とされているので、これを考慮する必要はありません。審査の際に重要になるのはあくまで返済利率や融資額ということになります。
借金はあるけれども、融資を受けたい!そのために行うこと
ここからは今現在借金をしている人が、少しでも住宅ローンの審査を通過しやすくなる方法を解説していきます。とはいえ、裏口のようなものがあるわけではなく、正攻法で融資の条件を満たす方法です。
これらを行えば、借金が原因で審査落ちする可能性を下げることができるでしょう。
住宅ローンの借入期間を長くする
返済利率の計算方法は年収に対する年間の返済額であると述べました。年収は今すぐ増やすことはできませんが、年間の返済額を減らすことはできます。
同じ金額であっても住宅ローンの借入期間を長くすれば、年間あたりの返済額は小さくなります。この方法を用いれば、返済利率の上限を超えずに融資を受けることができるでしょう。
ただ、返済期間が長くなれば、それだけ完済時の年齢も高くなります。完済時年齢も審査内容の一つですし、なによりその年齢まで借金を返済していける見込みがあるのかをしっかり吟味しておきましょう。
また、返済利率ギリギリで借入を行うと、月々の返済額もかなり大きなものになります。それでも生活していけるのかどうかを考えてから融資を受けましょう。
借入件数を減らす
多重債務者はそれだけで審査に不利になります。可能ならば住宅ローンの申請前に借入件数を減らしておきましょう。1、2件なら問題ないかもしれませんが、4件以上になるとかなり怪しくなってきます。
共働きなら連帯保証やペアローンを利用する手も
共働きであった場合、二人の収入を合算してそれをもとに住宅ローンを受けることが可能です。この方法なら、返済利率の上限金額を大きく伸ばし、借入額を増やすことが可能です。
お互いの収入を合算して住宅ローンを組む場合、大きく分けて3つの方法があります。それぞれ連帯保証、連帯債務、ペアローンと呼ばれる方法です。
連帯保証は基本的に夫を主債務者とし、配偶者である妻を連帯保証人に設定します。しかし、この方法では妻には団体生命保険が適用されず、また住宅ローン控除を受けることもできません。
そのため、もし妻が返済途中に死亡してしまった場合でも、残りの借金を全て夫一人で返済していかなければなりません。ある程度リスクがある方法だと言えるでしょう。
連帯債務は夫が主債務者、妻が連帯債務者になって一つの住宅ローンを契約する方法です。この方法なら住宅ローン控除を二人分受けることができますし、フラット35なら二人とも団体生命保険の適用対象になります。
ただ、フラット35は固定金利でしか利用できないため、変動金利で住宅ローンを組むことができません。変動金利で組みたい場合は民間金融機関を利用することになりますが、団体生命保険が妻に適用されない場合もあるので注意が必要です。
ペアローンでは夫と妻、それぞれが個別に住宅ローンを組むことになります。住宅ローン控除、団体生命保険が二人とも適用範囲内になり、契約の選択肢も増えますが、事務手数料など諸費用も2倍になるのがデメリットです。
いずれの場合も返済利率、融資額とも大幅に上げることができますが、返済額も当然大きくなります。特に子供ができた場合などにそれ以降も共働きは可能なのか、などを熟考して契約しましょう。
まとめ
住宅ローンは他に借金があるからといって絶対に利用できないわけではありません。その使用用途を明確にし、常識的な範囲内の借金なら審査を通過することができるでしょう。
また、ペアローンなどを利用すれば年収が多少少なくても十分な融資を受けることができます。住宅ローンには様々な制度がありますので、最大限に利用して契約するとよいでしょう。