養老保険と銀行預金・資産運用の手段として魅力的なのはどっち?

多少景気が上向いてきたとはいえ、まだまだ低金利時代が続く日本。銀行にある程度まとまったお金を預金しておいても、ほとんど利子もつかないのが現状ですが、ペイオフ制度によって1000万円まで保証されるというのは大きな魅力です。

一方、養老保険はかつては高利回りかつ安全な保険商品として人気でしたが、現代においては利回りが低いため、余り注目されていません。それでも安全性は非常に高く、なおかつ万が一の際の保証もついてくることから、それなりに加入者が存在します。

銀行預金と養老保険はローリスクローリターンな金融商品ですが、メリットやデメリットはそれぞれ違います。今回は養老保険と銀行預金を比較し、どちらがよりお得かを考えていきたいと思います。

養老保険は貯蓄と保障が一体になった便利な保険商品

養老保険とは、貯蓄性があり、なおかつ死亡時には遺族に保険金が支払われるという、ちょっと変わった保険商品です。

基本的には貯蓄を目的としているのですが、被保険者が満期の前に亡くなったり、高度障害になったりした場合は、満期に受け取れるはずだった保険金と同額の保険金を遺族が受け取れるという仕組みになっています。

ただしあくまでもメインは貯蓄で、死亡保障はおまけのようなものです。

保険料の支払いは月払いが基本だが、年払いもある

保険料の支払いは月払いが基本ですが、保険会社によっては年払いを受け付けているところもあります。年払いのほうが保険料は割安になることが多いですが、まとまったお金を用意しなければならないという欠点もあります。

養老保険の一例

養老保険は様々な保険会社から発売されていますが、今回はソニー生命の保険の養老保険を例に見てみましょう。

ソニー生命保険の養老保険の取扱保険金額(満期になったときに受け取れる金額)は100万円~7億円となっています。受取方法には一括受取と年金受取がありますが、年金受取をする場合は利差配当付き年金支払特約という特約を付ける必要があります。

保険期間は自由に決めることができ、満期を迎えた場合は保険金を、中途解約した場合は解約返戻金を受け取れます。ただし、早期に解約した場合、解約返戻金の額が保険料総額よりも少なくなる、つまり元本割れすることがあります。

養老保険の利回り

保険期間を20年、保険金額を1000万円とする場合、毎月の保険料は以下のようになります。

被保険者 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳
男性 4万2590円 4万2740円 4万3030円 4万3530円 4万4310円
女性 4万2400円 4万2510円 4万2690円 4万2940円 4万3290円

例えば35歳・男性の場合、毎月の保険金は4万3030円です。この支払を20年間続けた場合、支払総額は4万3030円×12ヶ月×20年=1032万7200円となります。

従って返戻率(保険料の支払総額に対する保険金の割合)は1000万円÷1032万7200円=96.8%となります。保険金よりも保険料の支払総額のほうが大きくなってしまっていますが、その代わり死亡保障が受け取れる、という仕組みになっています。

また、基本的に養老保険は若いうちに入り、加入期間が長くなるほど返戻率は高くなります。加入期間が30年間を超える場合は、返戻率が100%を超える、つまり保険金の額のほうが大きくなることがほとんどです。

死亡保障と貯蓄を両立させたいならば養老保険のほうがお得

養老保険は前述の通り、加入期間によっては返戻率が100%を下回ることがあります。しかし、死亡保障と貯蓄を両方行いたいならば、銀行預金+掛け捨て保険という組み合わせよりも、養老保険のほうがお得になることが多いです。

35歳の男性が銀行預金と掛け捨て保険を組み合わせて、20年間で1000万円の貯蓄を作りつつ、なおかつ死亡保障もつけるにはいくら掛かるかを計算してみましょう。仮に銀行預金の金利が今後0.01%で推移するとした場合、毎月約4万1600円ずつ積み立てていけば20年間で約1000万円の貯蓄ができます。

また、それとは別に20年間、保険金額1000万円の死亡保障のある保険に入る場合、毎月2500円程度の保険料がかかります。

つまり、毎月の支払額は4万1600円+2500円=4万4100円となります。一方、ソニー生命保険の養老保険を利用した場合は、前述のとおり毎月の支払額は4万3030円となります。養老保険を利用したほうが、毎月の支払額が1000円だけ少なくなります。

たかが1000円と侮ってはいけません。これが20年続けば1000円×12ヶ月×20年=24万円と結構な差になります。少しでも毎月の出費を減らしたいならば、養老保険のほうがお得です。

流動性を確保したいのならば銀行預金のほうがお得

流動性とは、簡単に言えば資産の現金化のし安さのことです。現金化しやすい資産ほど流動性が高いといえます。銀行預金はATMまで言って引き出せば簡単に現金にできるので流動性が高いですが、養老保険は解約の手続きをしないと現金に出来ないので、流動性は低いです。流動性を確保したいのならば、銀行預金のほうがおすすめです。

ただし、流動性が高いというのは必ずしもプラスの方向に作用するとは限りません。流動性が高ければ、それだけついうっかり無駄遣いしてしまう可能性も高まるからです。手元に使えるお金があると無駄遣いをシてしまう可能性が高い方は、あえて流動性の低い養老保険に入るのもいいでしょう。

養老保険には生命保険料控除がある

生命保険料控除とは、1年間の支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税が安くなる仕組みのことです。加入時期によって控除額が異なり、平成23年12月31日までの契約の場合、最大で所得税は5万円、住民税は3万5000円の控除が受けられます。

平成24年1月1日以降の契約の場合は、最大で所得税は4万円、住民税は2万8000円の控除が受けられます。一方、銀行預金には控除はありません。税金を安くしたいならば、養老保険のほうがお得です。

なお、生命保険料控除を受けるためには通常は手続きが必要ですが、会社員や公務員の場合は、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を会社に提出するだけでOKです。自営業者などの場合は確定申告が必要になります。

まとめ

  • 銀行預金と養老保険はどちらもローリスクローリターンな金融商品
  • 養老保険は貯蓄に死亡保障がついてくる
  • 養老保険は契約期間が長ければ返戻率が100%を超えることもある
  • 養老保険のほうが銀行預金+掛け捨て保険の組み合わせよりもお得
  • 流動性は銀行預金のほうが高い

養老保険は上手に活用すればそれなりに有益な保険商品です。貯蓄性の高い保険が必要な場合は、契約を検討してみてください。