日本の借金人口はどのくらい?債務整理はどのくらいの人がしてるの?

少子高齢化の進展が進み、ついに人口が減少し始めた日本。

とはいえ、それでもまだ人口は1億2500万人以上で、全世界で11番目に多い人口大国(?)であるのもまた事実です。

では、この1億2500万人のうち、借金をしている人は一体どれくらいいるのでしょうか。

生産年齢人口の約半数が借金をしている!?

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まず、金融庁が公表している「貸金業関係統計資料」によれば、消費者向けの貸付残高(すべての借金の合計)は、平成25年時点で約6兆7787億円です。

つまり、個人の借金をすべて合計すると、約6兆7800億円になるということです。

随分大きな数字に思えますが、実はこれでも全盛期の3分の1以下です。平成10年代後半はまだ総量規制もなくグレーゾーン金利にメスも入れられていなかったため、貸付残高は20兆円を超えていました。

総量規制で借りられなくなって困った経験をした人もいるでしょうが、個人の債務が減少傾向にあるのはいいことですね。

さて、一方で消費者向けの貸付件数は約3702万件です。つまり、国民の約3.4人に1人が借金をしていることになります。

しかし、これは借金ができない子どもや高齢者なども含めて計算した数字です。借金ができる人にだけ絞って計算すると、実質的な割合はもっと高くなります。

一般的に借金ができるのは20代から60代ぐらいまでです。ここでは計算をわかりやすくするために、借金をできるのは生産年齢人口(15歳~64歳)だけであると仮定します。

現在の日本の生産年齢人口は約8409万人なので、その割合は3702万÷8409万≒44%となります。つまり、借金ができる年代のうち、実際に借金をしている人の割合は44%ということになります。半数近い人が借金をしていると考えると、かなり多いようにも思えますね。

一方、一人辺りの債務の平均額は6兆7800億÷3702万件=18万3000円です。一人あたりの債務だけ見れば、大したことはないように思えますね。

ただこれはあくまで平均値であり、実際には住宅ローンで何千万円もの借金を抱えている人もいれば、キャッシングで数万円程度の借金しかしていない人もいます。

消費者金融での平均借入額は47万円

次に、消費者金融に絞って利用者数を見ていきましょう。「消費者向無担保貸金業者(消費者金融)」の貸付残高の総額は2兆6097億円、貸付総数は552万件となっています。日本の生産人口は約8409万件なので、利用者の割合は552万件÷8409万人≒6.5%となります。

消費者金融だけに限ってみれば、利用者の割合はそれほど多くありません。一方で一人あたりの平均借入額は2兆6097億円÷552万件≒47万円となっています。

消費者金融からの借入額が47万円というのは結構大きな額です。これでは債務整理に追い込まれる人が跡を絶たないのも納得ですね。

住宅ローン利用者の割合は約35%

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総務省の家計調査に寄れば、住宅ローンを支払っている家計の割合は全体の35%です。つまり、適当に世帯を3世帯抽出すれば、その内1世帯は住宅ローンを支払っているというわけです。

日本の持ち家率は約60%なので、100世帯あればその内40世帯が賃貸に住んでおり、35世帯が住宅ローンを支払っていて、25世帯が住宅ローンを完済しているというわけですね。

持ち家に住んでいる人だけで見れば、全体の50%以上が住宅ローンを支払っているということになります。

なお、これをさらに世帯年収ごとに分類した場合、低収入階層(5段階評価で1)の住宅ローンを組んでいる割合は20%程度と、かなり低くなっています。その他の層の割合はいずれも40%程度です。

年収が高い世帯の方が住宅ローンを組む割合は少なくなりそうな気がしますが、実際にはそうとも限らないようです。年収が高ければ、それに見合った住宅に住もうとするため結局は住宅ローンを組むことになるのかもしれません。

債務整理経験者の人数は?

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では、借金をしている人のうち、債務整理に追い込まれた人はどのくらいいるのでしょうか。まず、債務整理には任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つがあります。この内、特定調停は行う人が非常に少ないので、今回は除外して考えます。

任意整理は何件行われているかわからない

債務整理の中でも最も利用頻度が高いのが任意整理です。任意整理とは、弁護士や司法書士が裁判所を通さず、直接債権者と交渉をして債務を減らしてもらう私的な手続きのことです。

後述する個人再生や自己破産と違って、私的な手続きであるのでまとまった統計というものは存在していませんが、個人再生や自己破産よりも多く行われていることは間違いないようです。

一節に寄れば年間で100万件以上行われているなんて噂もありますが……詳しいところは不明です。

個人再生件数は約1万件程度

個人再生とは、裁判所を通して債務を原則で5分の1にまでカットする手続きのことです。任意整理や個人再生と比べて債務の圧縮幅が大きく、なおかつ自己破産と違い自宅を失わないというメリットが有ります。

平成24年の統計データによれば、同年の個人再生件数は9096件でした。以前は2万県を超えることも珍しくありませんでしたが、最近は1万件程度で落ち着いています。

自己破産者件数は10万件程度

自己破産とは、借金をすべて免責にする制度です。借金の圧縮幅が最も大きい反面、20万円以上の財産を失う、一定の期間資格が制限されるなどのデメリットもあります。

平成24年のデータに寄れば、同年の自己破産件数は9万2252件でした。以前は20万件を超えることも珍しくありませんでしたが、最近は減少傾向にあります。

個人再生や自己破産が減ったのは総量規制のおかげ?

個人再生や自己破産が減った原因は一つには絞りきれませんが、総量規制が大きく寄与していることは間違いないでしょう。総量規制とは、消費者金融などからの借入額を、原則として年収の3分の1にまで制限する取り組みのことです。

消費者金融からの借金で債務整理に追い込まれる人があまりにも多すぎたために取られた措置ですが、現時点ではとりあえず一定の効果は出ているようです。ただし、総量規制は住宅ローンなどは対象にしていません。

借金は一概に悪いものではないけれど

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借金が全て悪いものというわけではありません。お金を借りられる借金という制度があるからこそ、私達は若いうちから持ち家が持てたり、借金をして事業を拡大したりすることができるわけです。

しかし、返せない借金をしてしまうのはやはりいいことではありません。債務整理をすれば確かに借金をチャラにすることはできますが、債務整理にもいろいろなデメリットが有ります。借金をする前に、その借金は本当に返済が可能なのかをよく検討することが大切です。