借金ニートからの脱出方法

ニートを日本の癌扱いするのは簡単ですが、そうしているだけではいつまでたってもニートは減りません。今回の記事ではなぜ人はニートになってしまうのか、そしてそこから脱出するためには何をすれば良いのかについて考えてみたいと思います。

ニートは15歳から34歳までの若年無業者

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ニートとは「NEET(Not in Employment, Education or Training)」の略です。これを直訳すると「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」となります。イギリスで1999年に誕生した言葉であり、21世紀に入ってから日本でも急速に広がりました。

日本政府の作ったニートの定義は複数あります(管轄によって多少定義が異なります)が、例えば内閣府の場合は以下のように定義しています。

以下の条件を全て満たす若年無業者のうち

  • 高校や大学などの学校及び予備校・専修学校などに通学していない
  • 配偶者のいない独身者
  • 普段収入を伴う仕事をしていない15 歳以上34 歳以下の個人

さらに以下の条件を満たす者

  • 就業希望は表明していながら求職活動は行っていない(非求職型の無業者)、または、就職希望を表明していない(非希望型の無業者)

ニートの数は60万人前後で推移している

ニートの数は年々増加しているような印象がありますが、実際にはニートは減少傾向にあります。2002年に64万人だったニートは2013年に60万人を割り、2015年には56万人にまで減少しました。

ニートが実際には減っているにもかかわらず、増え続けているように思える理由はいろいろありますが、やはり報道の影響は無視できません。

報道は時としてセンセーショナルな話題を取り上げます。特にニートが親を殺した、といったような事件はマスコミにとっては格好の餌です。

そうした強烈ではあるが非常に珍しい(典型的でない)話を報道が取り上げるようになると、我々はそうした特殊な事例が当たり前のものと勘違いしてしまうものなのです。悪意を持った報道に踊らされないようにしたいものですね。

ニートが生まれる理由は一つではない!

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ニートが生まれる理由は一つではありません。複雑な事情がからみ合い、その結果ニートが生まれるのです。例えば、今の女性の就労率は昔と比べると高いですが、それはつまり以前と比べて働く人が増えたことを意味します。

働く人が増えた一方で雇用の数が増えなければ、当然雇用の奪い合いになり、ニートになる人が出てきます。

また、今の日本社会はなんだかんだ言っても以前と比べれば非常に豊かです。中間層が減り、下層が増えたという話もよく聞きますが、今の下層と昔の中間層を比べれば、今の下層の方がはるかに生活水準は高いです。

生活水準が豊かになれば、働かなくても食べていける人の数は増えます。これもニートが生まれた原因の一つといえます。

むろん、こんなに脳天気なことばかりも言ってられません。所得格差の拡大が子供の教育水準の低下を招き、低いレベルの教育しか受けられなかった子供が就職できずにニートになる、というのも良くある話です。

特に不登校者、中退者、障害者など、何らかのハンデを抱えている人にとって就職のハードルは非常に高く、そのような問題を抱えているためにニートにならざるをえない人もいます。

また、最近はそれなりに学歴があるにもかかわらずニートになる、いわゆる高学歴ニートも増えてきています。

以前ほどではないとはいえ未だに学歴の高さが十分に通用する日本社会において高学歴ニートが生まれるのは不思議な気がしますが、高学歴な人は一般的に、その学歴に見合った就職先を希望します。

そして中にはそのハイレベルな就職先には届かない人もいます。そうした時に普通の人は就職先のレベルを落としますが、高学歴の人は今まで人より勉強を頑張ってきたという自負から、そうした妥協ができずにハイレベルな就職先にこだわってしまうことが少なくありません。

ニートから脱出する方法

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ニートから脱出する方法も、これまた一つではありません。人の数だけ解決策があり、これをしておけば絶対にニートから脱出できるというような裏技は存在していません。

そんなものがあったらニート問題なんてものはとっくに解決しています。しかし、これをやればニートを脱出できる可能性が上がる、というようなものはいくつか存在しています。

まず覚えておいて欲しいのが、ニート脱出は長期戦になるということです。今までニートだった人が、いきなり正社員として活躍するのはほぼ不可能です。

一気に問題を解決するのは誰にとっても非常に難しいことです。ステップを踏んで、少しずつ階段を上がっていくことが大切です。

まずは生活習慣を整えてみよう

ニート生活を続けていると生活に制約がなくなるので、どうしても生活習慣が乱れてしまいがちです。昼起きて、夜活動し、夜明けとともに眠るような生活を続けていてはいつまでたってもニートを脱出することはできません。

もちろん、夜間に働くのがあっている人もいるので一概にはいえませんが、大多数の人には昼活動して夜寝る生活が合っています。夜になると悪い考えがいろいろと浮かんできてしまうものです。ニートを脱出したい人は、まずは生活習慣を整えるところから始めてみてください。

運動をしてみよう

生活習慣が整ったら、次に運動を始めてみましょう。運動は体力向上はもちろん、ストレス解消にも有効です。運動習慣をつけたからといって即就職できるとかそういうわけではないのですが、運動をすれば気持ちが前向きになり、自分で自分をほめられるようになります。

寝付きも良くなり悪い考えが頭に浮かびにくくなるのもメリットと言えます。

運動は軽いものでも全然問題ありません。今までニート生活を続けていた人が急に激しい運動に取り組もうとすると、かえって体を壊すことになります。無理なく楽しく出来るウォーキングなどから始めてみてください。

自分で自分を褒める習慣を作ろう

ニート生活中はまず誰にもほめられることはありません。ほめられることがないとどうしても自分に対して否定的になってしまいます。

マイナス思考は悪いことではありませんが、過度なマイナス思考は人間を不幸にします。誰からも褒められないのでしたら、自分で自分をほめてあげましょう。それだけでも多少気持ちは前向きになれます。

ここで大切なのは、社会人の人たちと比較をしてはいけないということです。比較対象は過去の自分です。

以前はできなかったことが出来るようになったら、おもいっきり自分で自分をほめてあげましょう。いくらほめても誰にも迷惑はかかりません。

短期的にどうやって生きていくのかを考えてみよう

人生は70年~80年の長期戦です。25歳のニートには後平均で50年ほどの時間があることになります。人生全体のライフプランを作ることも大切ですが、今までニートをしていた人がいきなりそうしたライフプランを作成するのはほぼ不可能です。

最初は無理せず、今後3年間を餓死せずに生きるためにはどうすれば良いのかを考えてみましょう。

今の日本には生きていく方法はたくさんあります。若いうちやアルバイトだけでも生きていくことができます(もちろん年をとったら苦しくなるでしょうが、ニートの人は最初からそこまで長期的なことを考えるべきではありません)し、副業だっていろいろあります。

もちろん、正社員にチャレンジするのも大いに結構なことです。正解はひとによって違うのです。大切なのは自分にとっての答えを探すことです。

とりあえず3年間餓死しない方法がわかれば、気持ちにもぐっと余裕ができます。

余裕ができたら就職活動にもチャレンジしてみよう

ニートの就職活動は当然、平坦なものではありません。新卒至上主義の日本社会で普通に就職活動をして、並み居る優秀な新卒者を押しのけて就職先を手に入れるのは簡単なことではありません。

そこでおすすめなのが、ニート向けの転職サイトを利用することです。ここならば競う相手は自分と同じニートばかりなので、立場は五分と五分。これならば十分に勝てるチャンスが有ります。

ニート向けの転職サイトなんてあるの?と思われるかもしれません。ニート向けと堂々と宣言しているサイトはほぼ無いですが、「既卒向け」の転職サイトは多数あります。

ニートも既卒の一人には変わりありません。こうしたサイトに登録すれば、十分にチャンスは巡ってきます。

海外のニート事情

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最後に、海外のニート事情についてお話したいと思います。ニートは何も日本特有の存在ではありません。ある程度社会資本に余裕がある先進国では当たり前に見られる存在です。

国際労働機構(ILO)が2013年に経済協力開発機構(OECD)加盟国を対象に行なった調査に寄れば、加盟国のうち最もニート率が低かったのはルクセンブルクで7.1%でした。

以下ノルウェー(8.5%)、スロベニア(8.8%)、スイス(9.7%)、日本(9.9%)と続いています。加盟国の平均ニート率は15.8%なので、日本は平均よりもだいぶ少ないということがわかります。

一方、ニートという言葉発祥の地であるイギリスは15.9%、アメリカは16.1%、フランスは16.7%、ドイツは12.0%となっており、いずれも日本よりも高くなっています。

その他、韓国は19.2%、ギリシャは18.3%、カナダは13.5%、そして最も高いトルコでは36.6%となっています。

ヨーロッパでは若年層の失業率が上がっているとたびたび報道されていますが、この数字を見ているとたしかにそのとおりだなと思います。ニートは日本の問題ではなく、世界全体の問題といえます。

裏を返せば、それだけニートがいても国家が維持できるということでもあり、むしろ喜ぶべき現象なのかもしれませんが……。