現在所有している土地や建物を売りたいけれど、どこにどうやって売ればいいのかわからない、という方は少なくないかと思います。
今回の記事はそのような方の疑問をすべて解決するために作られたものです。不動産を売る際の流れ、高く売る方法、不動産周りを取り巻く法律の概要など、不動産売却に必要な知識を余さずお教えしますので、不動産を売る予定がある方はぜひブックマークしてください。
目次
不動産売却は仲介業者を利用するのが基本
不動産売却の方法は大きく3つにわけられます。すなわち、
- 個人で買いたい人を見つけて直接交渉する(個人間取引)
- 不動産業者に買い取ってもらう(業者買取)
- 仲介業者に買い手を探してもらう(仲介)
の3つです。このうち最もオススメなのは、仲介業者を利用した売却です。
個人間取引はトラブルが多く手間もかかる
個人間取引は、その名の通り個人間で直接取引をする(間に業者を挟まない)取引です。個人間取引の一番のメリットは、仲介業者を介さない分高く売れることです。
しかし、不動産売却の手続きを専門知識のない個人が行うのは非常に大変です。買い手探しや交渉、諸手続きなどをすべて自分で行わなければなりませんし、高く売るためのアドバイスを業者から受けることもできません。
大抵の場合は業者に委託したほうが、仲介手数料を差し引いても高く売れるものです。
また、不動産の取引は高額な取引である分、契約後のトラブルが発生しやすいです。信頼できる知人と契約する場合はいいかもしれませんが、知らない相手に売る場合は個人間取引は極力避けたほうがいいでしょう。
業者買取は買い叩かれる
業者買取は、個人ではなく不動産業者に直接不動産を買い取ってもらう取引です。業者買取の良いところは、確実に短期間で売却でき、しかもその後トラブルに発展する可能性がめったにないことです。何しろ相手はプロですから、手続きでミスが発生することもめったにありません。
また、業者買取りならば、普通に市場に任せていては到底買い手がつかないような辺鄙な土地の物件や、過去にその中で人が自殺したことがあるような、いわゆる事故物件でも買い取ってもらえます。このように、業者買取にはさまざまなメリットがあります。
しかし、業者買取は大抵の場合、相場よりかなり安く買い叩かれます。デメリットはこれ1個だけですが、このたった1個のデメリットがあまりにも大きすぎます。業者買取の買取価格は、仲介業者を介した場合よりも20~30%程度ほど安くなると言われています。
つまり、仲介ならば3000万円で売れた物件が、業者買取だと2100万~2400万円程度にしかならないのです。これはいくらなんでももったいなさすぎる話です。
業者買取はどうしてもすぐに現金化したい場合、もともと高く売れなそうな物件を売却する場合には便利ですが、ある程度のニーズが見込める物件の場合は避けたほうがいいでしょう。
仲介は大きなデメリットがなく安定して高く売れる
仲介は買い手探しや契約交渉、アフターケアなどをすべて業者に委託する取引です。実際に不動産を売る相手は個人や法人などですが、面倒な手続きはすべて業者に任せます。業者買取ではないので、あくまで仲介をしてもらうだけです。
不動産仲介仲介業者を利用するメリットは、買い手が見つかりやすくトラブルが起こりづらいことです。彼らはわれわれよりもより多くのネットワークを持っていますので、不動産を買いたいと考えている人をすぐに見つけてきてくれます。
手続きなども基本的にすべて代行してくれるため、トラブルに発展することも殆どありません。
一方、デメリットは仲介手数料が発生することです。業者が受け取っても良い手数料は、宅地建物取引業法という法律で定められています。売却価格が400万円以上の場合、仲介手数料の上限は以下のようになっています。
仲介手数料上限=売却価格×3%+6万円
例えば、売却価格が3000万円の場合、仲介手数料上限は3000万円×3%+6万円=96万円となります。
なお、仲介手数料は売買契約が成立しなければ請求されません。また、原則的に仲介手数料以外に業者に支払う費用はありません。
仲介手数料は売却価格が大きくなった時は結構な額になりますが、それでも売却価格の3%強なため、決して割高とはいえません。業者買取だと相場よりも20%~30%ほど安く買い叩かれてしまうことを考えればむしろ安いものです。
仲介業者が無能なケースに注意
このようにメリットが大きい仲介ですが、仲介業者が信頼できないところだとこちらが損をする可能性もあります。仲介で売却をする際には、良い業者を探すことが最も大切です。
仲介で不動産を売却するための9つのステップ
まずは仲介の流れをご確認ください。
- 相場を把握する
- 業者を探す
- 物件価格を細かく査定してもらう
- 業者と契約を結ぶ
- 不動産を売りに出す
- 購入希望者と交渉する
- 物件情報を開示する
- 契約する
- 不動産を引き渡す
このように、不動産売却には多数のステップがあります。初めての人はやることの多さに混乱してしまうかもしれませんが、一つ一つのステップはそれほど難しいものではありません。
落ち着いて9つのステップを順番にこなしていけば、誰でも不動産をスムーズに、しかも高く売却できます。
相場を把握する
不動産を売却する際に一番最初にやるべきなのは、相場の把握です。これを飛ばしていきなり業者に連絡してしまうと、そのご提示される査定価格が適切なものなのどうかかがわからなくなってしまうからです。
事前に相場を知っておけば、そのようなトラブルが防げます。
ただし、不動産には2つとして同じものが存在しません。今売りに出そうとしている不動産と似たような条件の不動産はいくつかあるでしょうが、全く同じ条件の不動産はどこにも存在していません。あくまでも相場は目安であると理解しておきましょう。
注意点をご理解いただけましたら、いよいよ不動産の相場を調べていきましょう。相場の調べ方は、売りに出そうとしている不動産の種類によって異なります。ここでは代表的な相場情報とその内容を軽く説明いたします。
- 地価公示:国が評価した土地の価格です。あくまでも評価価格であって、その通りの値段で取引されているわけではありません。国土交通省が全国に定めた地点約2万5000ヶ所が調査の対象で、2人以上の不動産鑑定士が査定しています。
- 地価調査:都道府県が評価した土地の価格です。あくまでも評価価格であって、その通りの値段で取引されているわけではありません。国土利用計画法施行令第9条に基づき行われるもので、地価公示とは補完関係にあります。
- 不動産価格指数:実際に行われた年間約30万件の不動産取引を元に、不動産価格の動向を指数化したものです。ゼノク、ブロック別、都市圏別、都道府県別に数字がまとめられています。
- レインズマーケットインフォメーション:宅地建物取引業法に基づいて収集した実際の取引価格情報です。レインズマーケットインフォメーションのウェブサイトから内容が確認できます。
- インターネット広告:不動産情報サイトに掲載されている広告を見て、相場を把握するというものです。
この中でも特に使いやすいのはレインズマーケットインフォメーションです。大雑把な価格しかわからないのが難点ですが、都道府県と地域を入力するだけで、その地域でどんな条件の物件がどのくらいの価格で取引されているのかが一発でわかるので非常に便利です。
業者を探す
大まかに相場を把握したら、いよいよ業者を探します。業者と一口に言ってもその規模や強みは様々です。全国に大々的に支店を展開している大手業者の場合は、自社ネットワークが強く全国から買い手を探すことを得意としています。
一方、特定の地域でのみ営業しているローカル業者の場合は、地域情報に精通しているため地元で買い手を探すことを得意としています。
もちろん、会社の規模だけでその業者の得意なことや苦手なことを100%判断するのは不可能です。より詳細な評判を知りたい場合は、過去に業者を利用したことがある知人の意見を聞いたり、インターネットで評判を調べたりするのがいいでしょう。
業者の検索システム
業者を探す上で便利なのが、国土交通省の「宅地建物取引業者検索システム」です。また、民間のHOME’sやアットホームも独自の検索システムを提供しています。これらの情報網を利用して、自分に最も適した業者を探しましょう。
ちなみに、すべての業者には、宅地建物取引業の免許取得が義務付けられています。複数の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣、1つの都道府県に事務所を置く場合は都道府県知事の免許のもとで営業を行っています。業者を探す際には、必ずこの免許番号を持っているかを確認しておきましょう。
免許番号の前にある()内の数字は免許の更新回数です。更新は原則5年に1度行われます。更新回数が多いということはそれだけ営業歴が長いということなので信頼できる可能性が高いということですが、営業歴が短くても優れたノウハウを持つ業者も存在するため、参考程度にとどめておいてください。
良さそうな業者が見つかったら、実際に連絡を取り、その業者がほんとうに良い業者かどうかを確認します。業者の良し悪しを判断するためのポイントはいくつかありますが、以下のような特徴がある業者はおすすめです。
最低限のマナーを守れている
不動産仲介業は接客業の一種でもありますから、例えば電話での挨拶がやたらと暗かったり、服装がだらしなかったりする業者は避けるべきです。売り手であるこちらまでだらしない人間であると買い手に勘違いされてしまい、足元を見られる可能性があるからです。
契約を急かさない
まずはこちらの話をよく聞いてくれる業者は、大抵の場合優良業者です。逆に何が何でも契約を逃したくないという雰囲気を全面に押し出してくる業者は避けたほうがいいでしょう。売るだけ売ってあとの面倒は全く見ない、という可能性が高くなるからです。
物件価格を細かく査定してもらう
依頼する業者を絞り込んだら、売却する物件の価格査定をしてもらいます。実際に価格を決めるのは業者ではなく買い手ですが、価格査定はいくらで売れるかの目安として非常に重要です。
売り出し価格も価格査定を元に決められることが多いので、決して軽視していいものではありません。
査定の方法には簡易査定(机上査定)と詳細査定(訪問査定)があります。簡易査定は過去の取引事例や価格情報などから計算される机上の査定で、大雑把な物件価格を決める際に使われます。
一方、詳細査定は実際に物件を見学し、土地の形状や接道の具合、建物の傷み具合、水回りの状態、騒音の有無などを細かく勘案した上で行われるより詳細な査定です。
査定の方法や所有するネットワークは業者によって異なるので、当然簡易査定や詳細査定の結果も会社によって異なります。
また、同じ業者であっても、与える情報を変えると結果は変わります。あとでトラブルに発展しても困りますし、査定の際にはなるべくこちらから詳細な情報を提供するように心がけましょう。
高い査定を出した業者が良い業者というわけではない
売り手としては当然不動産は1円でも高く売りたいものですが、査定価格が高い業者が良い業者かというと必ずしもそうとはいえません。
査定価格は「うちの業者に任せてくれればこれくらいの価格で売れますよ」という目安であって、必ずしもその通りに売れるとは限らないからです。
業者の中には依頼を勝ち取りたいために高い査定価格を提示してくるところもあります。もちろん高い査定が付くこと自体は喜ばしいことですが、あとで後悔しないためにも、必ず査定の根拠を確認しましょう。
業者と契約を結ぶ
良さげな業者を見つけたら、いよいよ契約を結びます。この契約という行為は日常的に行うものではなく、慣れている人は少ないため十分注意する必要があります。
何も考えず判子を押してしまうと、あとで後悔するかもしれません。自らの意思を業者側にしっかりと伝えた上で、契約しましょう。
契約には3種類ある
契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つがあります。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、業者を1社だけ選び、その業者のみに仲介を依頼する契約です。その業者に隠れてこっそり別の業者とも契約した場合は契約違反とみなされます。
また、自分で見つけてきた買い手と直接契約することも禁止されています(自分で見つけてきた買い手に業者を紹介し、そこを通して契約するのは問題ありません)。
売り手にとっては色々と拘束が強く、逆に業者は顧客を逃す可能性がないため、一見業者に有利な契約に見えます。
しかし、専属専任媒介契約を結んだ業者は指定流通機構(不動産情報の交換業務等を行う機構)への物件登録を契約から5日以内に行う、業務処理状況の報告を1週間に1階以上行うなどの義務も負うことになります。
つまり、他の契約と比べてより丁寧に仕事しなければならないわけです。必然的に買い手が見つかる可能性は高くなり、それは売り手にとって有利に働きます。
専任媒介契約
専任媒介契約は専属専任媒介契約とほぼ同じですが、自分で見つけてきた買い手と直接契約をすることができます。
業者は顧客を逃すリスクを追うことになりますが、現実的に売り手が自ら買い手を見つけることは少ない(それができるなら最初から契約しない)ため、業者にとっては十分有利な内容であるといえます。
物件登録を契約から7日以内に行う、業務処理状況の報告を2週間に1階以上行うなどの義務も負うことになります。やはり熱心な取り組みが期待できるため、売り手にとっては有利に働きやすいです。
一般媒介契約
一般媒介契約は複数の業者に仲介を依頼する契約です。仲介を依頼した業者には、他のどの業者に仲介を依頼しているかを教えなければならない「明示型」と、それをしないで良い「非明示型」があります。
複数の業者間の競争が生まれるため売り手にとって有利な一面がある一方で、各社の取り組みが希薄になってしまうリスクもあります。
契約時の注意点
どのような媒介契約を結ぶにせよ、契約前にはその内容をしっかりと確認しておく必要があります。中でも重要なのが販売活動と報告です。
どのような方法で買い手を探すのか、業務の進捗状況の報告はどのくらいのペースで、どんな内容を教えてもらえるのかなどは、必ず事前に確認してください。
一般媒介契約の場合、業者に報告義務はありませんが、両者の合意があれば報告を義務とすることもできます。
それから、仲介手数料の確認も忘れないようにしてください。前述の通り、仲介手数料には上限がありますが、業者によってはこちらの無知につけこんで、その上限を超える仲介手数料を請求してくるところもあります。そのような業者とは契約しないようにしましょう。
また、仲介手数料の支払時期についても確認が必要です。一般的には契約締結時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うのがトラブルが起きづらく、望ましいとされています。もちろん、契約がされない限り、仲介手数料は発生しません。
不動産売却には仲介手数料以外にも幾つか諸経費がかかる(測量費用、譲渡所得税費用、抵当権抹消費用など)ケースが有るため、そのことについても事前に確認しておきましょう。
不動産を売りに出す
業者が決まったら、いよいよ不動産を売りに出します。売り出すに当たっては、まずは売り出し価格を決めます。売り出し価格は売り手の希望価格と、業者の詳細査定額から決定します。早く売りたい場合は低めに、高く売りたい場合は高めに設定します。
また、売り出し価格と売買契約価格が必ずしも一致するとは限りません。買い手にも購入申込価格というものがあるからです。売り出し価格と購入申込価格の差を売買交渉で詰めていき、それが0円になれば交渉が成立します。
売り出し価格からある程度の値下げをすることも視野に入れ、売り出し価格はやや高めに設定することをおすすめします。
最初から3000万円で売り出してその価格で契約するのも、2800万円で売り出したあとの売買交渉で200万円まけて2800万円で契約するのも結果としては同じですが、後者のほうが買い手に得をしたと思わせられます。
あえて高めの値段をつけてあとで値引いて割安に思わせるのは商売の常套手段ですので、是非活用してください。
なお、業者は不動産の売出しに合わせて、インターネットや新聞の折り込み広告、ダイレクトメール等で集客・販売活動を行います。
不動産は高額なものですから、広告にも一定の規制がかけられています。例えば、市街化調整区域内の土地であることや高圧線下にある土地の場合は、原則としてそのことを明記しなければなりません。
内覧対策
買い手候補の内覧に備えて、建物の中はきれいにしておきましょう。特に浴室やトイレと言った水回りはカビや水垢をしっかり除去し、臭いも除去しましょう。ペットを飼っている場合などは、自分では気づけない臭いが部屋に充満している可能性がありますので、第三者に確認してもらうといいでしょう。
販売活動がうまくいかない時は?
販売活動が低調で見学すら誰も来ないという場合は、業者と十分に協議し、なぜ売れないのかを考え、販売活動を見直す必要があります。
売り出し価格が高すぎる場合は引き下げ、不動産のメリットとデメリットをどちらも隠すことなく伝えるなどの工夫が必要になります。
購入希望者と交渉する
購入希望者が現れたら、いよいよ交渉を開始します。購入希望者は業者を通じて買付証明書を提出します。買付証明書とは、そこに記載された条件で不動産を購入する意志があることを証明する書面です。これに対して、売り手は売渡承諾書を提出します。そこに記載された条件で不動産を売却する意思があることを証明する書面です。
通常、契約はこのように双方の合意があった自転で成り立つとされていますが、実際の取引の現場では買付証明書や売渡証明書には契約の申込みや承諾の効力は認められません。証明書を双方が交わしたあとで交渉が成立しないということもありえます。
交渉は通常、売り手の仲介業者と書いての仲介業者が行います。交渉で最も揉めるのは売買価格ですが、それ以外にも引き渡しの時期や瑕疵担保責任(契約当時に血管や傷があった場合、売り主が買い主に対して負う責任)の期限、不具合の補修費用なども調整しなければなりません。
売買価格を安くする代わりに瑕疵担保期間を短くする、といったような調整ももちろん可能です。
物件情報を開示する
条件で合意したら、売買契約に向けて準備をします。買い手側の仲介業者は買い手に対して、重要な事項を説明する義務を負います。それに対応するため、売り手は買い手の仲介業者に対して様々な物件情報を提供しなければなりません。
この一連の流れは買い手にとっては不動産取得の最大の山場であり、売り手は誠実に対処しなければなりません。売り手が正しい情報を買い手の業者に告げなかった場合、損害賠償請求をされる恐れもあります。
買い手の業者は買い手に対して、売買契約をするまでの間に必ず説明する事項を重要事項説明と言います。重要事項説明は書面でも交付した上で、それとは別に口頭でも行います。
契約する
条件面で完全に合意し、下準備もできたらいよいよ実際に契約をします。契約は最終的には自己の責任に基づいて行うものであるため、あとで後悔しないように、実際に契約を結ぶ前には必ず内容を精査に確認しなければなりません。
一度結んだ契約は、原則として一方の都合で解除できません。ただし、契約違反があったり、当事者同士が合意していたりする場合は解除することも可能です。
手付金の扱い
不動産売買契約をする場合は通常、買い手は売り手に対して手付金を払います。手付金とは契約時に売り手に一旦支払い、代金支払い時に返してもらうお金です。
ただし、そのような手続きをするのは面倒なので、実際の契約の場では手付金は代金の一部として充当されるのが一般的です。つまりは前払金のようなものです。手付金の金額は通常、代金の10%前後です。
手付金を支払う契約の場合、相手が契約を履行する前ならば一方的に契約解除を申し出ることができます。
ただし、買い手が契約解除を申し出た場合、手付金は放棄することになります。また、売り手が契約解除を申し出た場合、手付金を全額変換し、更にそれと同額を買い手に支払わなければならないとされています。
契約書の書き方
契約書の作成は業者に任せられますが、その内容の確認は必ず自分で行わなければなりません。代金や手付金の金額とその支払日は特に入念に確認しましょう。また、契約する物件の情報に誤りがないかもしっかりと確認しておきましょう。
なお、高額な契約書を作成する時は、印紙税を支払います。印紙税とは契約書を交わす時に発生する税金で、契約書に収入印紙と呼ばれる税務署やコンビニなどで売っている紙を書い、それを契約書に貼り付けることによって支払います。
印紙税額は契約金額によって異なります。印紙税は当事者の内誰が払ってもいいことになっていますが、実務上はほぼ100%売り手と買い手で折半することになります。
記載された契約金額 | 税額 | |
---|---|---|
1万円未満のもの | 非課税 | |
1万円以上 | 10万円以下のもの | 200円 |
10万円を超え | 50万円以下のもの | 400円 |
50万円を超え | 100万円以下のもの | 1,000円 |
100万円を超え | 500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え | 5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え | 1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え | 5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え | 10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え | 50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
不動産を引き渡す
契約を結んだら所有権を移転し、物件を引き渡します。所有権移転は基本的に司法書士に代行してもらうので、彼らに任せておけばOKです。現時点で住宅ローンが残っている物件を売却する場合は、ローンの全額返済と抵当権抹消のための準備を進めましょう。登記関係書類なども用意しておいてください。
不動産を売却したことによって利益を得た場合は、譲渡所得とみなされ、それに伴い所得税と住民税が発生します。その場合は必ず確定申告をしましょう。
物件が売れなかった場合はどうする?
価格や物件に大きな問題がないにも関わらず、物件が売れないという場合は、不動産会社に問題がある場合が多いです。専属専任媒介契約と専任媒介契約は契約期間が3ヶ月ですので、その期間が過ぎたら業者の変更を考えた方がいいかもしれません。特に連絡をまともによこさない業者は問題外なので、必ず契約を打ち切って新しい業者を探しましょう。
また、不動産の取引は一般的に2月~3月、11月~12月に活発になります。新年度、もしくは年内までに新居を決めたい、という人が多いからです。逆に6月~9月あたりの梅雨、もしくは夏は内覧をする側も見学が億劫になりますから、不動産取引は低調になります。季節が悪い時は、しばらく様子を見たほうがいいかもしれません。
買取保証
業者によっては、一定期間内に不動産の売却ができなかった時にその物件を予め決めた価格で買い取ってくれることがあります。これを買取保証と言います。買取保証の金額は相場よりも安くなりがちですが、万が一売れなかった場合にもお金が受け取れる、と言うのは大きなメリットです。
買取価格は例えば東急リバブルの場合、査定価格の90%を上限としています。また、その物件の再販売を行った結果業者が利益を得た場合、その利益は売り手に還元されます。