借金の相談、債務整理の依頼ができる弁護士事務所はたくさんありますが、どの事務所を選んでも同じというわけではありません。中には適当な仕事をする弁護士事務所がある一方で、真摯に依頼者に向き合ってくれる弁護士事務所もあります。
数ある弁護士事務所の中から、「当たり」をつかむためにはどうすれば良いのでしょうか?
弁護士は紹介してもらうのがベスト
弁護士事務所を誰かから紹介して貰えそうな場合は、その好意に甘えるのが最も安全で適切です。過去に債務整理をしたことがある人からの紹介ならば最高です。
しかし、世の中の殆どの人には債務整理をした知人がいないでしょう。そこで利用したいのが、弁護士会の法律相談会です。
弁護士会は北海道に4つ、東京都に3つ、その他の都道府県には1つずつ置かれている弁護士のための団体です。弁護士会は時々有料で法律相談会を開催しています。
相談会に参加すると、弁護士の紹介を受けることができます。通常は法律相談を受けた弁護士がそのまま担当になりますが、相談者の希望で他の人にすることもできます。
収入が低い場合は、法テラスで紹介を受けることも可能です。法テラスには民事法律扶助制度という制度があり、低所得者は弁護士費用の建て替えを受けることができます。
もちろん、建て替えなので返済義務は残りますが、債務者の生活状況次第ではそれが免除になったり、あるいは減額されたりすることもあります。
また、自治体や商工会議所、商工会なども時々法律相談会を開催しています。これらの相談会で弁護士を紹介してもらうことも可能です。
紹介が期待できない場合は、自分で探そう
弁護士事務所の紹介を受けられる状況にない場合は、自分から探すことも可能です。2000年10月1日以降、弁護士は広告を出せるようになりました。
今ではほとんどの弁護士事務所がウェブサイトを持っていると言っても過言ではありません。様々なウェブサイトを見比べて、良い弁護士事務所を選びましょう。できれば無料相談が出来るところがおすすめです。
弁護士事務所を選ぶポイントは?
弁護士事務所のホームページの記載内容はどれも似たり寄ったりに見えるものです。どこにも同じようなことが書いてあってどの事務所を選べば良いのか全くわからない……と感じたことがある人も少なくないのでしょうか。
弁護士事務所を選ぶときには、以下のポイントを良く見ましょう。
債務整理に強い弁護士事務所を選ぶ
弁護士事務所が取り扱う案件は多岐にわたっています。交通事故や離婚問題に強い弁護士事務所に債務整理に関する相談をしても仕方ありません。債務整理について相談する際には、必ず債務整理に強い弁護士事務所を相談するようにしましょう。
といっても、「債務整理に強い弁護士事務所」は資格ではないので、どの弁護士事務所でも名乗ることができます。債務整理に強いと名乗っておいて、いざ依頼してみたら知識が足りなかった、というようでは困ります。
多くの弁護士事務所のウェブサイトでは実績が公開されているはずですので、本当にその弁護士事務所が債務整理に強いのかチェックしてください。
なるべく大規模な弁護士事務所を選ぶ
基本的には弁護士事務所は大規模なところを選んだほうが無難です。大規模な弁護士事務所は、小規模な弁護士事務所と比べてノウハウ、経験が蓄積されています
。また、人員に余裕が有るため機械的な対応をされることも少なく、安心して依頼することができます。所属弁護士の数は弁護士事務所のホームページなどで公表されているはずですから、それをチェックしてみてください。
アクセスが便利な弁護士事務所を選ぶ
日本弁護士連合会は、債務整理をするに当たって弁護士は必ず依頼者に直接会って話を聞かなければならないと定めています。電話やメールだけで依頼を受けてもらうことはできないわけですね。
となると、当然弁護士事務所はアクセスのいい場所にあるところを選ぶべきです。自身の住んでいる場所から行きやすい弁護士事務所を探すようにしましょう。
弁護士費用の料金体系が明確な弁護士事務所を選ぶ
弁護士事務所へ支払う報酬の料金体系は結構複雑です。事務所によって着手金があったりなかったり、過払い金返還請求時の成功報酬が15%だったり20%だったりします。こうした料金体系が明示されていない弁護士事務所は避けましょう。
なお、弁護士費用は高すぎてももちろん困りますが、あまりにも安すぎる場合も要注意です。安かろう悪かろう、という可能性もあるからです。
弁護士の選び方
大規模な弁護士事務所にはたくさんの弁護士が所属していますが、ひとりひとり得意分野は違います。せっかく良い弁護士事務所を選んでも、ハズレの弁護士を引かされてしまってはすべてが台無しです。弁護士を選ぶときには、以下のポイントを良く見ましょう。
選択肢の提示が豊富な弁護士を選ぶ
借金問題の解決方法は一つではありません。任意整理、自己破産、過払い金請求など、様々な答えがあります。
最初から一本に答えを絞るのではなく、選択肢とそのメリット・デメリットをいろいろと提示してくれる弁護士を選ぶようにしましょう。
正直な弁護士を選ぶ
弁護士といえども、法律のすべてを知っているわけではありません。わからないことはわからないという、誠実な回答をしてくれる弁護士を選びましょう。なんでも知っているといったような態度を取る弁護士は避けるべきです。
経験年数が長い弁護士を選ぶ
もちろん、弁護士としての経験が長い弁護士が必ず良い弁護士というわけではありませんが、経験が長いほうが知識が豊富な可能性が高いことは確かです。なるべくならば、経験年数が長い弁護士を選ぶようにしましょう。
懲戒歴がない弁護士を選ぶ
弁護士、及び弁護士事務所は、弁護士法や所属弁護士会・日本弁護士連合会の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」を起こした時に、懲戒を受けます。弁護士に対する懲戒処分は
- 戒告
- 2年以内の業務停止
- 退会命令
- 除名
の4つがあります。このうち、戒告については比較的よく見られる処分ですが、当然、戒告を受けたことがある弁護士をわざわざ選ぶ理由はありません。もちろん、懲戒処分を受けた弁護士が全て悪徳弁護士というわけではないでしょうが、懲戒歴が無い弁護士を選ぶべきです。
なお、弁護士の懲戒歴を知りたい場合は、日本弁護士連合会に開示を求めると教えてもらうことができます。また、弁護士懲戒処分検索センターというウェブサイトから検索することもできます。
説明が丁寧な弁護士を選ぶ
これから何をすべきか、何をしないべきかについてしっかりと説明してくれる弁護士を選びましょう。「あなたは何もする必要はない、全て私に任せなさい」といってくれる弁護士は心強いかもしれませんが、リスクが高いことは間違いありません。
また、依頼者にとって都合のいいことしか言わない弁護士も要注意です。一方だけが正しいのならば、紛争は起こりません。
連絡が取りやすい弁護士を選ぶ
債務整理は弁護士と依頼人が二人三脚で進めていくものです。弁護士と依頼人の連携が不十分だと、事務処理に時間が買ったり、意識の齟齬が生まれたりすることがあります。あまりに忙しそうな弁護士は避けましょう。もちろん、依頼者側も弁護士と協力する姿勢を見せる必要があります。
最後に
上記で示した例はほんの一部であり、弁護士事務所や弁護士を選ぶ基準は他にもいろいろあります。たとえここに書いていなくても、より優先させたい条件があるのならばそちらを優先すべきです。自分なりにいろいろと考えて、弁護士事務所と弁護士を選んでください。