借金がいくらあるかわからない、返済が苦しい、闇金から借金をしてしまった……一口に借金に関する悩みといっても、いろんな種類のものがあります。このような悩みをどこに相談すればいいのかわからない方のために、いざというときの相談先をまとめてみました。
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近場で気軽に相談したいなら「役所の無料相談」がおすすめ
匿名で相談したいのは山々だけど、やっぱり対面のほうが安心できる、でも弁護士や司法書士にいきなり会うのは気が引ける……という方には、市役所や区役所、県庁などが開催している無料の相談会をお勧めします。
たとえば、横浜市の場合は横浜市消費生活総合センターで借金問題に関する相談を受け付けています。
ただし、こうした市役所・区役所の相談は自治体が業務のひとつとしてやっているものなので、時間が限られています。たいていの場合は平日の9時~17時ぐらいまでしか受け付けていないので、働いている人にはやや利用しづらいという欠点があります。
電話相談ではなく、対面での相談を受け付けているところもありますが、そうした相談会は月1,2回程度しか開かれていないことも多いので、やはり働いている人には利用しづらいかもしれません。
たとえ相談会に出席できたとしても、参加者が多い場合は一人当たりの相談時間が極端に制限されてしまうこともあります。無料のサービスなので、ある程度割り切って利用することが必要です。
法テラスは生活困窮者の心強い見方
役所の無料相談は人気が高すぎて時間があわなくて利用できないという場合は、法テラス(日本司法支援センター)に相談するといいでしょう。法テラスとは、法律に関する身近な悩みが相談できる窓口です。
離婚問題、相続問題などはもちろん、借金問題に関する相談についても答えがもらえます。もちろん、相談内容は厳重に管理されるので、借金問題について相談したことが外部に漏れるリスクはほぼ0といえます。
無料費用は無料(通信費や交通費は本人負担)。ただし、法律による解決が可能な案件についてしか相談することはできません。
また、法テラスは収入や資産の額が一定以下の人しか利用できないという条件があります。法テラスに相談する際の収入・資産要件については、法テラスの公式ウェブサイトの表を参考にしてください。
法テラス相談の流れ
ここでは、対面で相談する場合の流れを解説いたします。
- 近所の法テラスに電話か対面で予約を行いましょう(電子メールやはがきによる受付はしていません)。また、面談ができるのは自宅か勤務地がある都道府県の法テラスのみとなっていますのでご注意ください。
- どこに法テラスがあるのかわからないという場合は、こちらから検索を行ってください。予約の際に、収入や資産状況、家族構成などについて質問されるので、事前に源泉徴収表や確定申告書など、収入が確認できるものを用意しておくといいでしょう。
- 予約時には当日持って行く書類についての説明がありますので、それを用意してください。
- 当日になったら法テラスに行き、窓口の職員に名前と予約時間を伝えてください。相談の前に援助申込書が手渡されるので、それに必要事項を記入しましょう。
- 相談に乗ってくれるのは司法書士、もしくは弁護士です。1回の相談時間は30分程度です。1回で問題が解決しなかった場合は、1つの問題につき3回まで相談することができます。
法テラスの費用立替制度とは
弁護士や司法書士に対して債務整理を依頼する場合は、彼らに対して報酬を支払う必要があります。費用立替制度は、法テラスが彼らに支払う報酬を立て替えてくれる制度です。
利用者はその後分割で、法テラスに費用を返済していく必要があります。返済は分割で行うので、毎月の負担が少なくなるというメリットがあります。
法テラスQ&A
法テラスに関する疑問と回答をまとめました。何かわからないことがあったら参考にしていただければと思います。(ここにない疑問がある場合はコメント欄から質問いただければ、回答できることがあります)。
弁護士や司法書士は紹介してもらえるの?
法テラスは公的な機関ですので、個別の弁護士や司法書士の紹介は行っていません。紹介を受けたい場合は、弁護士会や司法書士会などに相談したほうがいいでしょう。
高齢や障害などで窓口にいけない場合はどうすればいい?
法テラスは高齢、障害、近くに法テラスがないなどの理由で直接訪問が難しい人を対象とした出張相談を実施することがあります。必ず出張相談ができるわけではないので、まずは法テラスに電話でご相談ください。
外国人でも相談できる?
法テラスでは外国人向けの多言語情報提供サービスを実施しています。0570-078377に電話をすると、通訳を介して相談することができます。対応言語はスペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語、英語です。
法テラスの弁護士や司法書士って質に問題はないの?
法テラスの弁護士は無能が多い、なんてうわさもありますが、これは個人的には正しいと思いません。むしろ問題があるのは法テラスの構造です。
法テラスに相談に来るのは基本的に経済的に困窮しており、なおかつ法律的な問題をかかえている人です。
弁護士は法律的な問題を抱えている人からは多額の報酬をもらってしかるべきなのですが、相手が生活困窮者ではそれもできません。利用者の経済事情を考えると、弁護士としても報酬は低く設定せざるを得ないのです。
つまり、法テラスから入ってくる仕事は弁護士にとっては割に合わない仕事なのです。割に合わない仕事を進んでやりたがる人間はめったにいません。
弁護士だって慈善活動家じゃないんですから、割に合わない仕事にはそれなりの態度で臨みます。その態度は、利用者から見れば無能にも見えるのです。
法テラスが弁護士に対する待遇を改善すればこの状況も変わるのかもしれませんが、待遇を改善する元手を利用者が払わないのですからそれも難しいでしょう。
そもそも、いいサービスを受けるにはお金がかかって当然です。高品質のサービスを受けたい場合は、法テラスの無料相談は避けたほうがいいでしょう。
弁護士会の相談は高品質だが有料
弁護士会とは弁護士を構成員とした団体です。弁護士法という法律に基づいて構成されている団体であり、地方裁判所の管轄区域ごとに弁護士会がおかれています。東京には3つ、北海道には4つ、その他の都道府県には1つずつおかれています。
また、弁護士会とは別に日本弁護士連合会という組織もあります。日本の弁護士は日本弁護士連合会と、いずれかの弁護士会の両方に登録する必要があります。
弁護士会は市民向けの法律相談や法案の制定に対する意見表明、学校への弁護士の派遣を通じた法律教育など、幅広い業務を手がけています。
弁護士会は法律相談センターを独自に持っており、そこで法律相談を受け付けています。構成員は全員弁護士なので安心して利用できます。相談時間は弁護士会によって異なります。
相談料はどこでも大体30分で5000円と定められているようです。ただし、中には債務整理の相談については無料としている弁護士会もあります(東京第一弁護士会、横浜弁護士会など)。
司法書士会への相談は原則無料
司法書士会は弁護士会の司法書士バージョンといえるものです。各都道府県に原則1つ置かれていること、司法書士会とは別に日本司法書士連合会があることなども一致しています。
司法書士会への相談は原則として無料です。
街の弁護士事務所や司法書士事務所は身近な法律の専門家
弁護士会や司法書士会はなんか敷居が高く感じる、という場合は、街中の弁護士事務所や司法書士事務所に相談するのも有力な選択肢といえます。
最近は初回相談に限り無料としている弁護士事務所や司法書士事務所も多いので、以前よりは気軽に相談できる環境が整えられているといえます。
弁護士と司法書士ってどう違うの?
弁護士と司法書士は一部取り扱う業務が重なっている部分もありますが、異なる点も少なくありません。弁護士は法律や裁判の専門家であり、代理人として交渉を行うこともある法律のプロです。
それに対して、司法書士は不動産や会社などの登記の専門家です。登記とは登記簿という帳簿に事実を記載し、それを法務局に届け出ることです。
登記はその不動産や会社が実在するのか、実在するとしたら誰のものなのかという関係性を明確にするためのものです。
このように両者の職域は本来異なるものです。弁護士の仕事(法律行為)は原則として司法書士が行ってはいけないことになっています。
債務整理による交渉や訴訟なども本来は弁護士の業務なので、司法書士が行ってはいけないことになっていたのですが、2003年に法律が一部改正され、総負債額が140万円以下の場合に限り、司法書士でも債務整理ができるようになりました。
しかし、依然として総債務額が140万円以上の場合は、弁護士でなければ債務整理が行えません。借金が140万円以上あるという場合は、必然的に弁護士を選ぶことになります。
また、借金が140万円以下であるという場合でも、基本的に弁護士に相談されることをお勧めします。
前述のとおり司法書士は基本的に登記がメインの仕事であり、債務整理はあくまでもサブ的な仕事です。債務整理そのものに慣れてない司法書士も少なくありません。それよりも債務整理に詳しい弁護士に相談したほうが、いい結果は得やすいでしょう。
いい弁護士事務所とだめな弁護士事務所の見分け方
債務整理を行うにあたっては、当然債務整理に強い弁護士事務所を選ぶ必要があります。今までの実績を開示している弁護士事務所をいろいろと見比べて見ましょう。
また、基本的に所属している弁護士の数は大いに越したことはありません。弁護士が多い事務所は事務員も多く、仕事がスムーズに行く可能性が高いからです。
逆に連絡が遅かったり、電話しても折り返しの連絡がなかったり、契約書を作ってくれなかったりするような弁護士事務所は避けたほうがいいでしょう。特に連絡が遅いというのは、債務整理を行ううえで致命的ともいえるので注意が必要です。
まとめ
いきなり弁護士や司法書士に相談するのが厳しいという場合は、街角法律相談所や自治体の相談を利用しましょう。経済的に困窮しているという場合は、法テラスがお勧めです。
資金に比較的余裕があり、早期の解決を望んでいる場合は、弁護士会や弁護士事務所、司法書士事務所に相談するのが手っ取り早いといえます。自身のおかれた状況に応じて、相談先を決めましょう。